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いよいよ稼ぎ頭もEVに ポルシェ・マカン・プロトタイプへ試乗 兄弟のSQ6と異なる体験

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いよいよ稼ぎ頭もEVに ポルシェ・マカン・プロトタイプへ試乗 兄弟のSQ6と異なる体験

アウディQ6 eトロンと並行して開発

ポルシェの電動化が更に1歩進む。中型SUVのマカンが、バッテリーEVへ進化する。

【画像】いよいよ稼ぎ頭もEVに ポルシェ・マカン・プロトタイプ 同クラスの電動クロスオーバー SQ6の試作車も 全125枚

フォルクスワーゲン・グループの最新プレミアム・プラットフォームを採用し、電動パワートレインの制御電圧は800V。アウディQ6 eトロンと並行して開発が進められており、タイカンに次ぐ、2番目の電動ポルシェとなる。

既にほぼ仕上がった状態にあるようで、2023年末からドイツ・ライプツィヒ工場で生産が始まる。今回筆者は、そのプロトタイプの試乗へ招待された。

BMW iX3などのライバルより登場は遅れたが、パワートレインや様々なシステムを制御するネットワークの開発へ手間取ったらしい。また、インフォテインメント・システムや運転支援システムなどを統合するソフトウエアにも、時間が必要だったという。

「複雑さを増すソフトとネットワーク化は、すべての電気自動車にとって重要な課題です。クルマをお客様へお届けする前に、すべてが開発の新基準へ達しているか確認する必要がありました」。開発を取り仕切る、同社のロバート・マイヤー氏が説明する。

バッテリーEVのマカンは、内燃エンジンを搭載する現行型のマカンと、世界の市場で当面は並行して販売される。モデル名は共有するものの、設計やデザインなどは大きく異なっている。

テールゲートが寝たリフトバックスタイル

プロトタイプのボディは偽装されていたが、タイカンへ似たヘッドライトなど、差別化されているのがわかる。ホイールアーチは拡大され、ドアはフレームレスだ。

リア側は、現行のマカンよりテールゲートが寝かされたリフトバックスタイル。クーペのようなシルエットを生み出している。リアガラスの付け根には、4段階に変化するリアスポイラーが載っている。

アルミホイールのデザインも専用となり、最大22インチまで選択できるそうだ。標準では19インチになる。

インテリアについては、まだ詳しくお伝えできないが、こちらも現行マカンとは違う。ダッシュボードは、最近フェイスリフトを受けたカイエンに近い。マイヤーによれば、市場によっては大きなグラスルーフが載る予定らしい。

メーター用モニターとインフォテインメント用タッチモニターが独立しており、シフトセレクターはダッシュボード側に位置する。着座位置は低い。ルーフラインの影響で、リアシート側の空間は若干狭くなっている。

パワートレインは、シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が予定されている。ニッケル、マンガン、コバルト(NMC)を正極材に用いた三元系の駆動用バッテリーの容量は約100kWhで、航続距離は500km以上になるという。

急速充電能力は、最大270kWまで。最短4分で、100kmぶんの電気を蓄えられる計算になる。リアアクスルへ2速ATが組まれるタイカンと異なり、マカンには1速リダクションギアが組まれる。

ツインモーターで611ps以上 ポルシェらしい個性

北米で試乗したのは、最高グレードに据えられる予定のモデルで、恐らくマカン・ターボを名乗るだろう。永久磁石同期モーターが前後に搭載され、システム総合での最高出力は611ps以上、最大トルクは101.8kg-m以上に達するという。

車重は不明だが、0-100km/h加速は4.4秒でこなすとか。ちなみに、2.9L V6ターボエンジンを積むマカン GTSは、441psと56.0kg-mで、0-100km/h加速は4.5秒。従来のマカンより、遥かに高い動力性能が与えられるようだ。

同時に開発が進むアウディQ6 eトロンの最速仕様、SQ6 eトロンも同じツインモーターの構成となる。だが最高出力は517ps、最大トルクは83.4kg-mで、差別化されている。

今回試乗した限り、加速力には確かに驚かされた。フルスロットルを何度か与えても、パワーが絞られる様子もなく、毎回見事なダッシュを披露してみせた。駆動用モーターの洗練性も相当に高い。最高速度は271km/hに設定される。

それ以上に胸を打たれたのが、操縦性の精度と動的特性の幅広さ。マイヤーは、ポルシェらしい個性を与えるために、多大な労力が費やされたと認める。

まだ量産レベルではないのかもしれないが、既にこのクラスのバッテリーEVでは際立って研ぎ澄まされている印象。リアアクスルへ主軸が置かれたパワー分配率で、一切の不安を感じることなく、感動的なグリップ力で鋭敏な回頭性を叶えていた。

試乗車は、オフロードにも対応するオールテレーン・タイヤを履いていたのだが。後輪操舵システムが、敏捷さを支えていたに違いない。

際立つブレーキ制御 アウディとは異なる体験

ステアリングの反応は極めて正確。先日筆者が試乗した、SQ6 eトロンよりステアリングホイールは重く感じられた。

サスペンションは、最新のポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント(PASM)システムを実装。エアスプリングにツインバルブ・ダンパーが組み合わされ、秀でた姿勢制御とセルフレベリング機能を実現させるという。

乗り心地には多少の硬さがあり、荒れた路面ではロードノイズが小さくなかった。それでも、アスファルトの凹凸を巧みに均し、大きな入力もピタリと1度の揺れで抑えていた。ただし、お手頃なマカンにはスチールコイルが組まれるとのこと。

ブレーキの制御も際立つ部分。回生ブレーキと見事に融合させつつ、バッテリーEVとしては新次元といえる、ペダルの感触が備わるようだ。

「ポルシェは、(アクセルペダルだけで発進・停止をまかなえる)ワンペダルドライブは検討しませんでした。そのかわり、ワンペダルブレーキを追求しています」。とマイヤー氏が話す。

アウディの兄弟モデルとは、明らかに異なるドライビング体験を享受できる。スポーティな性格は強いものの、シリアスさは少し穏やかといえるかもしれない。

まだ価格は決まっておらず、プロトタイプの段階ではあったが、期待を大きく膨らませる試乗となった。2020年代後半までに、マカンの販売の大多数を電動版が占めるとポルシェは予想する。それに疑問を抱かせない第一印象だ。

ポルシェ・マカン・ターボ・プロトタイプ(北米仕様)のスペック

英国価格:9万ポンド(約1629万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:271km/h
0-100km/h加速:4.4秒
航続距離:500km以上(予想)
電費:5.1km/kWh(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:2200kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:約100.0kWh(実容量/予想)
急速充電能力:270kW(DC)
最高出力:611ps以上
最大トルク:101.8kg-m以上
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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