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【楽しさの小さな塊】ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW)へ試乗 理想はMT

掲載 更新 5
【楽しさの小さな塊】ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW)へ試乗 理想はMT

20周年に合わせてJCWもリフレッシュ

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)

【画像】楽しさの塊 ミニ・クーパーJCW 競合の小型ホットハッチと比較 全159枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


最新のミニには、レスイズモア:少ない方が良い、ということわざが当てはまる傾向がある。馬力や装飾が増えるほど価格も上昇し、上品で小柄なハッチバックの魅力が薄まってしまうように思える。

それは、2021年に向けてアップデートを受けた最新のジョン・クーパー・ワークス(JCW)にも当てはまるだろうか。限定モデルのJCW GPを除き、最も速く、馬力が高く、高価なミニだ。

BMWがアレック・イシゴニスの発明品を再解釈してから20周年を祝うように、3代目のほかのミニと同様に、ミニJCWもマイナーチェンジを受けた。といっても、見た目の変化は小さい。

特にJCWの場合、ウイングやスプリッターなどのボディキットは従来のJCWと似ているから、違いは観察しにくいだろう。デザインが改められたバンパーと、大型化されたディフューザーがわかりやすい部分だ。

LEDヘッドライトは、グロスブラックのトリムで隈取りされるようになった。フロントグリルも同様に、リデザインされている。

車内では、インフォテインメント・システムが新しくなっている。モニターのサイズは8.8インチと今の水準では小さく見えるものの、グラフィックは鮮明で操作性もいい。

3スポークのステアリングホイールも新しくなっているし、サポート性に秀でたバケットシートも新形状。あちこちにJCWのロゴが散りばめられている。

ボディの内側のJCWは、先代から大きな違いは与えられていない。つまり多くの強化パーツが投入され、クーパーSのECUをリマッピングした以上の内容に仕上がっている。

231psと32.5kg-mで0-100km/h加速6.1秒

ブレーキはブレンボ社製のシステムで、フロントは330mmのディスクに4ポッド・キャリパーが付く。サスペンションのスプリングとダンパーは引き締められ、マルチリンク式のリアサスも含めて、各所で強化と軽量化が図られている。

マイナーチェンジ後のミニで注目となるのが、インテリジェント・アダプティブ・ダンピングと呼ばれるダンパー。鋭い入力が加わるとダンパー内のバルブが開き、柔らかく減衰力を変化させるものだ。

試乗車のミニJCWには装備されておらず、そのかわり従来の可変式ダンパーが備わっていた。ミニはドライバーがモード選択する必要がないというメリットを主張するが、コスト削減の目的もあるように思える。

エンジンは従来通り少しノイジーな2.0L 4気筒ターボ。最高出力231psと、1450rpmから最大トルク32.5kg-mを発生する。本気を出せば、0-100km/h加速を6.1秒でこなし、最高速度は246km/hに届く。

しかし実際は、この数字ほどは速く感じられなかった。その理由は、1700ポンド(25万円)のオプションとなる8速ATにあるようだ。

とても滑らかに、しずしずと変速してくれるトランスミッションで、燃費効率との相性は良いのだろう。WLTP値での数字も改善している。反面、活き活きとしたスピード感を弱めている。

シフトパドルで自ら段数を選ぶこともできるが、即時的な変速は得られない。トルクコンバーターが仲介し、加速にはどこか鈍い印象を受けてしまう。太いトルクを活かし鮮烈なダッシュを味わいたいなら、MTを選びたいところ。

より楽しく魅力的なミニJCWならMT

今回は、パワーで劣るMTのクーパーSと乗り比べる機会があった。体感的には、MTのSの方が速いように感じられたことは確かだ。それ以外の部分では、JCWは楽しさの塊なだけに少しもったいない。

標準のサスペンション設定は、依然として超が付くほどアクティブ。一見滑らかに見える路面でも、ドライバーには振動が伝わってくる。

コンパクトなボディサイズに抑え込まれたボディロールと、やや感触は薄いものの、クイックなステアリングホイールが組み合わさり、ミニJCWは一層ダイレクト感が強い。

クーパーSより明確にコーナリング速度は高い。思い切って飛び込めば、ドライバーの背中のあたりを中心に鋭く旋回していく。

一方で、全体的に引き締められたシャシーのおかげで、荒れた路面での影響は受けやすい。コーナー入り口から頂点をかすめ、脱出するまでのラインを正確にたどるのは、簡単とはいえないだろう。

そのかわり、高められたパワーを活かしたアプローチは可能。多くのドライバーにとって、JCWの魅力に感じられる部分だとは思う。

リフレッシュされたミニJCW。楽しいことに変わりはないが、レスイズモアはやはり当てはまるようだ。多くのドライバーの場合、英国では5000ポンド(75万円)安いミニ・クーパー Sを選んでも、9割以上の楽しさを享受できるように思う。

一方でATではない、英国では1700ポンド(25万円)安いMTを選べば、より楽しく魅力的なミニJCWが手に入ることは間違いない。その点で、JCWにもレスイズモアが当てはまるようだ。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)のスペック

英国価格:2万8675ポンド(430万円)
全長:3821mm(標準ミニ)
全幅:1727mm(標準ミニ)
全高:1414mm(標準ミニ)
最高速度:246km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:14.5-15.2km/L
CO2排出量:150-157g/km
車両重量:1275kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:231ps
最大トルク:32.5kg-m
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

5件
  • いずれMTも出そうな気がするのですが。
  • 前期型のMTモニターで借りましたが楽しい車でした。
    が、今乗ってる2世代ミニのクラッチのO/H代が高額で笑えませんでした。純正フライホイールは何でお高いんでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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