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ニュルの頭文字を掲げる電気自動車【ヒョンデ Nブランド】

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ニュルの頭文字を掲げる電気自動車【ヒョンデ Nブランド】

新車試乗レポート [2024.04.27 UP]


ニュルの頭文字を掲げる電気自動車【ヒョンデ Nブランド】
文●九島辰也 写真●ヒョンデ

ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定

 メルセデス・ベンツに“AMG”、BMWに“M”があるように、ヒョンデにも“N”なる称号のモデルがあるのをご存知でしょうか。彼らはスタンダードモデルのハイパフォーマンス版として“N”の名を付けたモデルをラインナップしています。2015年のフランクフルトショーでNブランドの立ち上げを発表しました。
 最初にそれを知ったのは2022年7月でした。そこで行われた釜山モーターショーの夜ヒョンデは「Nナイト」を開催し、我々プレスに新たなNシリーズのデザインコンセプトをお披露目したんです。それまで彼らにそんなラインナップがあるとは知らなかったので、少しばかり驚いたのを覚えています。

 知らなかった理由は簡単です。これまで商品化してきたのは日本に入っていないモデルなかり。つまり内燃機関を持った車両となります。ですが、今回日本でも販売しているIONIQ 5(アイオニック・ファイブ)にもそれが追加されることになりました。なので、ほとんど発表と同時期にお披露目され、ステアリングを握る機会を得たのです。それもサーキットで。“N”らしいステージですね。そうそう、“N”は開発の拠点になっている韓国の南陽(ナムヤン)と開発テストに使うドイツのニュルブルクリンクの頭文字だそうです。かなり本気なのがわかります。

 では、IONIQ 5 Nとなった新型はどうなんでしょう。とその前に確認ですが、このクルマはN初の電気自動車になります。つまり、開発陣にとってこれまでとは異なる初挑戦。その意味でも出来栄えは気になります。

 スタンダードモデルとの違いはいろいろあります。パワーソースは高出力化され、足回りも手が入ります。最高出力はフロント175kW、リア303kWのシステム合計448kW(ブースト使用時478kW)となります。足回りは、N専用電子制御サスペンションを採用。大容量の可変ダンパーにより挙動を安定させます。リア左右のタイヤの回転数を適正化するe-LSDを含め、この辺は走りに直接的に関係します。バッテリーのプレコンディショニングもそう。事前にドラッグモードかトラックモードにセッティングしておくと、走行までにバッテリーを適切な温度に設定します。最近のBEVに用意されるトレンド的な装備ですね。通常走行よりも高く温度設定します。

 この他にも興味深いシステムは導入されます。ローンチコントロールやドリフト・オプティマイザーです。後者はなんとドリフト走行を可能にするもの。駆動力の配分を前後に最適化させると同時に、車両制御を寛容にします。今回水をまいたエリアでそれを試しましたが、なかなか楽しいドリフトが出来ました。

 レフトフットブレーキングもユニークです。ブレーキペダルとアクセルペダルを同時に踏むことを一時的に許容し、いわゆる「左足ブレーキ」を可能にします。これは試していませんが、BEVでこの装備は見たことがありません。というのも、現行の安全基準ではブレーキとアクセルの踏み間違えによる事故をなくすため、同時に踏んだときブレーキを優先するようになっているからです。つまり、それを解除しさらに踏むタイミングや踏み込み量でどちらを優先するか決めているのでしょう。なんか漫画みたいですが、サーキット走行ではあるといい気がします。

 では走らせた感想ですが、総合的によくできていました。ベースとなるIONIQ 5もクオリティは高いですが、それ以上と言えます。ステアリングの正確性、応答性は光ります。濁りがありません。それにリアのスタビリティは高く、高速域からのブレーキング、そこからのステアリング操作とアクセルの踏み込みに対し、姿勢は乱しません。キャビンは常に安定していて、フラットライドが保たれます。

 アクセルに対する仮想のエンジン音も秀逸です。アバルトでは一定なサウンドの強弱に留まりましたが、このクルマはシフトアップまで演出されます。もはやサーキットを何周かしているとBEVであることを忘れてしまうほど。ある意味感動的です。この辺はいろいろ説明するのではなく、リアルに体感してみてもらいたいです。

 試乗会場をサーキットにしたのは相当な自身があったと思いますが、その狙いは見事に達成したと思います。IONIQ 5 Nというか、Nブランドへの関心は正直高まりました。あとは、日本のマーケットにBEVでここまで走り込みたい人がいるかどうかです。その意味では若干時期早々な気もしますが、国産メーカーの開発陣にはいい刺激になるでしょう。「BEVでここまでできるんだ」、なんて可能性を感じさせる仕上がりでした。

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