近年、フロントバンバーに穴が設けられているクルマが増えています。「エアカーテン技術」とよばれる空力性能を向上させるアイテムのひとつですが、スポーツカーやセダン、コンパクトカー、SUVのみならず、日産「セレナ」のようなミニバンにも採用されるようになりました。もはやブームとなりつつあるエアカーテンの効果についてご紹介します。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA
アルファードに無くてセレナには有る!? バンパーにある「穴」の正体
セレナの場合、燃費性能向上のほか、直進安定性も改善
従来のガソリンエンジン車の場合、速度が上がって巡行走行になると燃費はよくなりますが、EV走行では、巡行走行をしてようと、速度が上がるぶんだけ燃費(電費)は悪くなります。そのため、電動車にとって空力性能をよくして走行抵抗を減らすことはガソリンエンジン車以上に影響がありますが、その走行抵抗のなかでも、走行中の空気の力(空気抵抗力)はかなりを占めるため、如何に空気を上手くさばいて車両後方へと流すかは、クルマの電動化が進むなかにおいて、非常に重要な性能となっています。
空気抵抗低減のため、各自動車メーカーは近年さまざまな空力アイテムを採用しており、タイヤ周りの空気の流れをコントロールする「エアカーテン」もそのひとつです。絶えず回転するタイヤの周りにある空気は、ボディサイドの気流の流れに影響を与え、空気抵抗の一部となってしまいます。できることならばホイールハウスに蓋をしてしまいたいのですが(初代インサイトの後輪カバーのように)、蓋の代わりに、走行風の向きをコントロールしてタイヤに空気のカーテンをつくってしまおう、というのがエアカーテンです。
日産「セレナ」のエアカーテンは、フロントバンパーの左右両端に開けられたエアインテークから空気を取り込み、隙間を通して、フロントタイヤのホイールアーチ前側へ放出する構造です。フロントバンパーのデザインに溶け込ませていますので、露骨なエアロパーツの主張はなく、セレナでは燃費性能向上に加えて、ミドルクラスミニバン共通の弱点である直進安定性の改善にも、大きく効果があったそうです。ちなみに同じミニバンである新型「アルファード」にも似たような造形がありますが、こちらは無貫通です。
新型「セレナ」に装備されたエアカーテン。フロントバンパー左右にある縦型のスリッドがエアインテーク(空気導入口)であり、デザインに同化されている
エアカーテンに加えてエアブリーザーも普及
エアカーテン技術は、2012年に登場したBMW 3シリーズ(F30)では既に採用されており、その後、欧州の各メーカーへ広く広がっていきました。近年のBMWでは、フロントホイールインナーハウスの後方からダクトを介し、ボディサイドへと排出する「エアブリーザー」も、エアカーテンとセットで採用するようになりました。
また、2021年に生産終了となったホンダ「クラリティ」では、リアタイヤへもエアカーテンを採用していました。リアドア下部にエアカーテンダクトを設けており、ダクトを通った空気が、リアタイヤホイールハウスから発生する空気の乱れを整流することで、空力効果を獲得するとしています。4ドアセダンとしては世界初の採用でした。
これらのアイテムの効能は、燃費改善に対しては1~2%とされていますが、小さな効果を積み上げることで、大きな成果につなげるよう、日夜研究開発が続けられています。
ホンダクラリティのリアエアカーテンダクト。リアドア下部にエアカーテンダクトを設け、ダクトを通った空気が、リアタイヤホイールハウスから発生する空気の乱れを整流することで空力効果を獲得する。4ドアセダンとして世界初の採用だった
電動車が増えていく今後、空力性能はますます進化する!!
空力アイテムときくと、スポーツカーにある大きなリアウイングや派手なバンパーなどを思い浮かべますが、今回ご紹介したエアカーテンやエアブリーザーのほか、エアディフューザーやエアロスタビライジングフィン(トヨタ)など、縁の下の力持ち的な空力アイテムが多数登場しています。電動車が増えていく今後、ますます重要性が高まっていく空力性能は、いま自動車メーカーがもっとも力を入れている性能のひとつなのです。
新型アルファードでは、エアカーテンの採用はないものの、直進性向上の効果があるエアロスタビライジングフィンが採用されている
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みんなのコメント
空力を改善して、燃費の悪化を減らしたいのだろうな。