BMWの最新クルーザーである「R 18 B」に、モーターサイクルジャーナリストの河野正士がドイツ・フランクフルトで試乗した。
BMWが充実を図るクルーザー・ラインナップ
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BMW Motorradは2020年4月に「R 18」を発表し、クルーザーカテゴリーに再参入した。今回フランクフルトで試乗した「R 18 B」は、このR 18をベースとし、BMW Motorradが拡充を図るクルーザーカテゴリーの最新モデルである。
クルーザーとは、日本では“アメリカン”として浸透しているバイクのスタイルだ。エンジンはR 18のために新開発された、いまどき珍しい空冷OHVで、その総排気量はBMW Motorrad史上最大の1801ccにおよぶ。ニッケルメッキを施したトライブシャフトをカバーで覆わずに装着したり、あえてプッシュロッドカバーをシリンダー上部に配置するなど、デザイン面でも興味深い。
R 18 Bの“B”とは、クルーザーの中でも、アメリカで人気のスタイルである“Bagger=バガー”の頭文字を取ったもの。車体前方に装着した大型カウルと、リアフェンダーとデザインをリンクさせた大型サイドバッグが特徴だ。“バッグを持つ車両”だからバガーと名付けられたのである。
多くの荷物を搭載して長距離を走りたいという要望の高まりで、クルーザーやバガーのマーケットは世界中に広がり、各メーカーはそこでのシェア獲得を競っている。BMW Motorradが「R 18 B」をはじめとするR 18シリーズのラインナップを拡充したのも、そのためだ。
BMW Motorradは2014年、2020年までの5カ年計画で世界での新車販売台数を20万台に引き上げる計画を発表した。感染症の蔓延などの影響を受け、最終的にその数字は達成できなかったとはいえ、2019年までは順調に数字を伸ばしており、計画達成まであと一歩に迫っていた。
その原動力は、新しいカテゴリーへの積極的な参入だ。スーパースポーツ、小排気量モデル、スクーターの各カテゴリーに、BMW Motorradらしいテクノロジーとクオリティで挑み、成功を収めた。そして最後に参入したのが、クルーザーカテゴリーだったのである。
フランクフルトでおこなわれた国際試乗会で、BMW Motorradの上級副社長(二輪部門最高責任者)であるマーカス・シュラム氏は「R 18シリーズは、登場から約1年で4000台以上販売されました。クルーザー市場の本場であるアメリカはもちろん、ドイツ本国および中国で好調なセールスを記録しています。そしてR 18 BとR 18 Transcontinentalの追加で、BMW Motorradのクルーザーセグメントはさらに大きく飛躍すると確信しています」と、述べた。
見た目以上に動きは俊敏
「R 18 B」はじつにモダンなクルーザーだった。ビッグボクサーエンジンの強烈な個性を堪能することに重きを置いている「R 18」や「R 18 Classic」とは異なるキャラクターが与えられていたからだ。
フロントフォークに装着したカウルと、リアフェンダーのラインと一体化したデザインをもつ車体左右のリアケース。それらの大型装備品を装着してもなお、ボディラインはエレガントだ。
これら装備の追加にともない、R 18 Bの重量は、R 18よりさらに増えている。しかし、見た目とは裏腹にワインディング・ロードでも俊敏なフットワークを見せる。クルーザースタイルを強調するR 18からサスペンションのアラインメントが変更されていることもあって、車体を直立状態から傾けるにあたっての抵抗感が少ない。フロントタイヤに舵角を自然に与えられるため、旋回動作を素早くつくり出すことができる。
水平対向エンジンゆえ、ふたつのシリンダーに等間隔で点火されることに起因する滑らかさと、1801ccという大排気量が生み出す強力なトルクを活かし、エンジンの低回転域だけを使用してもキビキビとコーナーをクリアしていけることが、じつに楽しい。軽量でエンジンも高回転まで回るスポーツバイクによる軽快なライディングとは異なるが、これはこれで“スポーティ”というべき走りだ。安定感と軽快感の絶妙なバランスがR 18 Bの特徴である。
最新の電子制御システムを搭載
このハンドリングを実現するため、これまでのR 18およびR 18 Classicとはフレーム上部の部材を変更したという。パイプ材から、より高い剛性が得られる板金成型部材を採用し、かつフロントフォークをステアリングヘッド後方に配置。これらの変更によって安定感と軽快感を高めたのだ。
くわえてR 18 Bは、前走車との車間距離を自動的に調整することができるACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)や、ライダーおよびパッセンジャー、そして積載物の重量を感知し自動的に車体姿勢を調整するオート・レベリング・リア・サスペンションなど、ほかのBMW Motorradモデルが採用する数々の電子制御システムを、R 18シリーズとしては初めて搭載する。
クルーザーカテゴリーのバイクは、いまやアメリカン・カルチャーを好むマニアだけのための乗り物ではなくなってきた。新しい解釈と技術によってこのカテゴリーに参入したR 18 Bに試乗し、そのことをより強く感じた。
9月下旬より販売開始されるR 18 Bは、日本のクルーザー市場にも大きなインパクトを与えるはずだ。
文・河野正士
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