現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 細かな改良で導いた別次元 アストン マーティンDBS770アルティメットへ試乗 DB12への期待 後編

ここから本文です

細かな改良で導いた別次元 アストン マーティンDBS770アルティメットへ試乗 DB12への期待 後編

掲載 3
細かな改良で導いた別次元 アストン マーティンDBS770アルティメットへ試乗 DB12への期待 後編

ダンパーの減衰力を調整 ボディ剛性を向上

アストン マーティンDBS770アルティメットの目玉といえる、肝心のシャシーだが、特筆する新アイテムは得ていない。細かなアップデートが施されたに過ぎないようだ。

【画像】高まるDB12への期待 アストン マーティンDBS770アルティメット 競合モデルと比較 全160枚

サスペンション・スプリングは、従来のDBSスーパーレッジェーラと同じ。ダンパーの減衰力は、より引き締まった姿勢制御を目的に調整を受けた。実際、垂直方向のボディの動きは明確にタイトになりつつ、乗り心地のしなやかさも高められている。

シャシーに漂っていた、緩さ脆さが完全に排除されたといっていい。1770kgという軽くない車重を高速域で完璧に制御しつつ、市街地で出くわす舗装の剥がれた穴を見事にいなす。

シャシー剛性の向上も、能力の拡張を実現させた要素だろう。クロスブレースが新設計され、エンジン下部に渡されるクロスメンバーも強化。フロントの剛性は25%も高められている。リア側も、パネル類の技術的な改良で改善されたという。

そのおかげで、ダンパーがより緻密に仕事をこなせるようになり、コーナリング時の挙動で特に成果が表れている。DBSスーパーレッジェーラでは、ステアリングホイールを操作してから、ノーズが反応するまでに極めて僅かな遅れが存在していたのだ。

DBS770アルティメットでは、それが一掃されている。ステアリングコラムから、ラバー製のダンパーを省いたことも相乗しているだろう。ステアリングホイールへ伝わる感触や精度を高めつつ、路面からの衝撃はしっかり遮断されている。

増強されたパワートレインで驚異的な進化

アストン マーティンの技術責任者、サイモン・ニュートン氏の話では、コーナリング性能の向上は、ダンパーのチューニングによるところが大きいようではある。しかし、それ以外のブラッシュアップも、滑らかで一貫したマナーに反映しているはず。

そして、精度としなやかさを増したシャシーが、増強されたパワートレインと組み合わされ、驚異的な進化へ帰着している。5.2L V12ツインターボエンジンは、スロットルマッピングとトルク特性が慎重に練られたという。

DBS770アルティメットでは、1速から4速で4000rpm以下にある場合、だらしないホイールスピンを招かないギリギリのトルクを発揮するよう、制御が加えられる。不自然さを生む抑制にも思えるが、実際はより自由に右足を動かすことを許している。

770ps、91.63kg-mを発揮するスーパー・グランドツアラーらしく、幅が305もあるピレリ・タイヤを滑らせ、オーバーステアへ持ち込むことも容易い。リアアクスルのリミテッドスリップ・デフは、標準から手は加えられていないそうだ。

2018年に登場したDB11以来、最も心地良い乗り心地と操縦性に抱かれながら、V型12気筒エンジンのパワーを寛大に解き放つことができる。電子アシストをオフにしても、予期せぬカウンターステアでのリカバリーに慌てる場面はほぼないと思う。

DBS770アルティメットの操縦性は、調整しろが広く懐が深い。多くの名車と同様に、ドライバーの能力へ不足なく応えてくれる。その点で、トヨタGR86とも通じるといえるだろう。

グランドツアラーとしてフェラーリを凌駕

さらにトランスミッションは、従来以上に素早いシフトチェンジを可能とした。トルクの寸断が最短化され、シームレスな脱出加速を生んでいる。変速に悩むような素振りも消えたようだ。

18か月に及んだという開発期間で得られた成果に、圧倒されずにいられない。これまでのDBSを運転したことのあるドライバーなら、770アルティメットが得た変化に気づかないことはないはず。

ステアリングは一貫性と正確性を高め、300km/hでも30km/hでも、流暢で確実な操縦性を堪能できる。走行時のノイズは若干増したようではある。それでも、グランドツアラーとしての能力は、フェラーリ812 スーパーファストを凌駕するのではないだろうか。 

DBS770アルティメットは、恐らく最も研ぎ澄まされ、高い能力を得たモダン・アストン マーティンだといっても過言ではない。高速道路でも郊外の一般道でも、ベントレーやフェラーリと同等の充足感をドライバーへ与える。

加えて、ポルシェ911 ターボと比較しても、日常的な使い勝手は引けを取らない。所有する誇りへ満たされるに違いない。

繰り返すようだが、DBS770アルティメットの能力の拡張ぶりには驚嘆だ。「わたしたちは大きなエンジンを搭載した、単純なホットロッドを作ろうとは考えていませんでした」。技術責任者のサイモンが口にする。なんと謙虚な発言なのだろうか。

アストン マーティンDBS770アルティメット(欧州仕様)のスペック

英国価格:31万4000ポンド(約5055万円)
全長:4715mm
全幅:1970mm
全高:1280mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1770kg
パワートレイン:V型12気筒5204ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:770ps/6500rpm
最大トルク:91.6kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

こんな記事も読まれています

ポルシェやAMGも予算内? 今なら半額!な有能「中古」モデル(1) ホットハッチ/SUV編
ポルシェやAMGも予算内? 今なら半額!な有能「中古」モデル(1) ホットハッチ/SUV編
AUTOCAR JAPAN
メディアセンターでの至福の時間はエクレアとコーヒーで。ベルギーの町のパン屋のエクレアが昭和な味でオススメです【みどり独乙通信】
メディアセンターでの至福の時間はエクレアとコーヒーで。ベルギーの町のパン屋のエクレアが昭和な味でオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
【トヨタ分析】「ガチンコ勝負でパワーが落ちた」7号車のトラブル。「ワーストコンディション」で光った8号車平川/ル・マン24時間
【トヨタ分析】「ガチンコ勝負でパワーが落ちた」7号車のトラブル。「ワーストコンディション」で光った8号車平川/ル・マン24時間
AUTOSPORT web
フェラーリが快挙! 90年ぶりのにル・マンとモナコGP同年優勝。連覇達成で「まぐれではないことを証明した」
フェラーリが快挙! 90年ぶりのにル・マンとモナコGP同年優勝。連覇達成で「まぐれではないことを証明した」
AUTOSPORT web
F1復帰を諦めるつもりはないと主張するシューマッハー。一方でシート獲得に向けて戦うのは「消耗する」と明かす
F1復帰を諦めるつもりはないと主張するシューマッハー。一方でシート獲得に向けて戦うのは「消耗する」と明かす
AUTOSPORT web
元国民的アイドルが500万超の「国産カスタムカー」を購入! 加護亜依が“即決買い”する姿に「びっくり!」「センスいい~」と話題
元国民的アイドルが500万超の「国産カスタムカー」を購入! 加護亜依が“即決買い”する姿に「びっくり!」「センスいい~」と話題
くるまのニュース
狂気の空力マシンで300馬力 スターリング・モスが395km/hを記録した日 歴史アーカイブ
狂気の空力マシンで300馬力 スターリング・モスが395km/hを記録した日 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
RB代表「リカルドが結果を出せるよう努力している」必要とするものを与えるのはチームの責任だと語る
RB代表「リカルドが結果を出せるよう努力している」必要とするものを与えるのはチームの責任だと語る
AUTOSPORT web
高橋巧筆頭に3連覇狙うTeam HRC。「誰が乗っても速く走れると思っていた」新加入の名越と荒川が感じた課題/鈴鹿8耐テスト
高橋巧筆頭に3連覇狙うTeam HRC。「誰が乗っても速く走れると思っていた」新加入の名越と荒川が感じた課題/鈴鹿8耐テスト
AUTOSPORT web
ベントレーがゴージャスな「大人エレベーター」を手掛けたら…「How do you Bentley?」で「B世代」にアピールしたかったものとは
ベントレーがゴージャスな「大人エレベーター」を手掛けたら…「How do you Bentley?」で「B世代」にアピールしたかったものとは
Auto Messe Web
リバティ・グローバルがフォーミュラEの経営権を取得へ。保有比率65%の主要株主に
リバティ・グローバルがフォーミュラEの経営権を取得へ。保有比率65%の主要株主に
AUTOSPORT web
トヨタ新型「“タフ”ミニバン」発表! 斬新“大口顔”が超カッコイイ! MT&アンダー320万円設定ありの「プロエース“シティ”」墨に登場
トヨタ新型「“タフ”ミニバン」発表! 斬新“大口顔”が超カッコイイ! MT&アンダー320万円設定ありの「プロエース“シティ”」墨に登場
くるまのニュース
「南海フェリー」がトラック乗りの強い味方に! 始発便の「早乗り」がドライバーに優しいサービスだった
「南海フェリー」がトラック乗りの強い味方に! 始発便の「早乗り」がドライバーに優しいサービスだった
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(後編)
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(後編)
GQ JAPAN
テインから『ギャランフォルテス』用車高調「ストリートアドバンスZ」が発売
テインから『ギャランフォルテス』用車高調「ストリートアドバンスZ」が発売
レスポンス
わがままを叶えてくれるプレミアムSUV──新型レクサスNX350“F SPORT”試乗記
わがままを叶えてくれるプレミアムSUV──新型レクサスNX350“F SPORT”試乗記
GQ JAPAN
なぜ「ペダル踏み間違え」起きる? 原因はどこにある? 相次ぐ「重大事故」は“高齢者”特有の問題ではない! 有効な「対策法」はあるのか
なぜ「ペダル踏み間違え」起きる? 原因はどこにある? 相次ぐ「重大事故」は“高齢者”特有の問題ではない! 有効な「対策法」はあるのか
くるまのニュース
カーメイト、新型ワイドリアビューミラー発売…ホンダ WR-V などに対応
カーメイト、新型ワイドリアビューミラー発売…ホンダ WR-V などに対応
レスポンス

みんなのコメント

3件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3940.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2648.08000.0万円

中古車を検索
DBS スーパーレッジェーラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3940.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2648.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村