走りの動力性能や操安性で クラストップレベルを実現
2002年にスズキからOEM供給される「モコ」でスタートした日産の軽事業も、11年に三菱との合弁会社NMKVを設立して、独自の商品企画とデザインに踏み出した。そして、この二代目デイズ/デイズハイウェイスター(以下、デイズ)になると、設計開発も日産自身が手掛けるようになった(商用車だけは現在もスズキOEM)。日産の国内戦略においては、軽は押しも押されもせぬ主力事業ということだ。
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エクステリア
「ハイウェイスター」系は専用バンパーや大きなVモーショングリルを備え、シグネチャーランプ付きLEDヘッドランプも標準装備される。ボディカラーはツートーンを含めて合計18種類もラインナップ。最小回転半径はグレードにより4.5mから4.8m。ただ、生産は先代同様に三菱の水島製作所で行なわれる。設計と生産はクルマづくりの両輪であり、その意味では、軽を巡る日産と三菱の協業は深みを増しているということだ。 例えば、デイズのデザインでは軽らしからぬ立体感なサイドパネルが特徴的だが、これもデザイン力と生産技術が伴って初めて実現している。 また、日産は軽の枠にとらわれない性能レベルを目指したというが、その一方で「軽ならではの低コストの部品調達などは、商品としてまとめるには三菱のノウハウが不可欠だった」とも語っている。
乗降性
前席後席スライドドア採用車ほどではないにせよ開口部は十分に広く、少し頭を傾ける程度で乗り降りできる。シートの座面が適度な高さにあり、足元のスペースが広く取られているところもスムーズな乗降性に貢献するポイントだ。1640mm(FFの場合)という全高は最新ハイトワゴン軽としては平均的で、2495mmというホイールベースはホンダに次いで二番目に長い。後席はライバル同様のスライド機構が備わるが、座面は一体式で、可倒機構も背もたれを前倒しするだけだ。つまり、リヤシートのつくりは良くも悪くもライバルよりシンプルだ。ただ、後席膝前はクラストップ級に広く、後席スライドを最後端にした状態でも、荷室の奥行きは最も大きい。小手先の使い勝手より、まずは絶対的に広いのが一番便利 ……というのが日産の思いのようだ。さらに目からウロコのアイデアなのは、助手席ドアトリムに設けられた車検証収納スペース。車検証はグローブボックスに入れるのが一般的だが、考えてみれば、こんな場所を普段使わない書類(=車検証)で占拠するのは無駄というほかない。
プレミアムコンビネーションインテリア装着車は、ブラウンのレザー調インパネを装備。 販売店オプションの9インチ大画面ナビゲーションはアラウンドビューモニター対応だ。プラットフォームからパワートレーンまですべて日産がゼロから開発されたデイズの走りは、動力性能、快適性と操安性すべてでクラストップを窺うデキだ。エンジン回転を上げずともキビキビ走ることを意識したセッティングのおかげもあって、自然吸気でもパンチ力と静粛性の両面で余裕を感じる。さらには、上級のハイウェイスターに搭載されるマイルドハイブリッドの効果もあるかもしれない。また4WDは軽では珍しいリヤモーターを備える電動式で、雪道の走破性も高い。
居住性
後席前席前席は適度な高さで見晴らしも良好。プレミアムコンビネーションインテリアを選ぶとシートトリムもブラウンの合皮/トリコットとなる。膝を伸ばしてゆったりくつろげる後席空間。一体式のシートスライド機構も備わり、一番前までスライドさせても十分な広さを保てる。さらに高速直進安定性もいい。高速ではエンジンに余裕があって重厚なターボも悪くないのだが、パリッと軽快なハンドリングの自然吸気が特に好印象なのは、クルマとしての素性が優秀な証拠かもしれない。
うれしい装備
「S 」を除いて助手席のシートバックにアッパーポケットを装備。左右に分割されており、スマホなどを収納するのにちょうど良いサイズ。荷室にはラゲッジアンダーボックスを標準装備し、荷物によって分類できるところが便利。ただし、FF車と4WD車で容量が少し異なる。「ハイウェイスター」系に設定されているプロパイロットは、手元のスイッチでシステムの起動や速度調節などを行なう。「ハイウェイスター」系は緊急時にオペレーターに接続するSOSコールを標準装備。急病などの際にスイッチで手動通報できる。シフトレバーの下には引き出し式のインストセンタースライドトレーを標準装備。必要に応じてカップホルダーも引き出せる。ルームミラー内蔵のディスプレイに車両周辺の映像を表示するインテリジェントアラウンドビューモニターをグレード別設定。月間登録台数 4045台(21年8月~22年1月平均値)現行型発表 19年3月(一部仕様向上 20年8月)WLTCモード燃費 21.2km/l ※自然吸気のFF車
ラゲッジルーム
通常時後列格納時通常時の奥行きは後席シートを前にスライドさせることで約530mmまで拡大できる。シートバックの格納機構はパタンと倒すだけのシングルフォールドで、フロアには少し段差ができる。デイズは軽だが日産自慢の「プロパイロット」が(上級のハイウェイスターに)用意されるのも注目。最近の軽では全車速対応ACCや車線維持アシストも常識となりつつあり、プロパイロットも表面的な基本機能は大きく変わりはない。しかし、実際に走ったときの滑らかさや積極的に車線中央をトレースする精度に、一日の長があるのもまた事実だ。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/140/
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