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「この手があったか」ライバルが歯噛みした意欲作! 初代ワゴンRが爆売れした理由とは

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「この手があったか」ライバルが歯噛みした意欲作! 初代ワゴンRが爆売れした理由とは

スッキリとした室内の広さに驚かされた

 筆者個人の認識と記憶が正しければ、初代ワゴンRの登場はイキナリだった。誤解なく言っておけば、決して“急造車”だった訳ではなく、企画自体は発表の数年前から動いていたという。しかし、これだけの存在感のあるクルマだったにもかかわらず、世間ではノーマークだったというか、事前のスクープやこんなクルマが出るらしい……のウワサもほとんど流れていなかったような気がする。

「安かろう良かろう」のスズキ! 100年の歴史はアイディアと技術力のカタマリだった

 ついでながら実車を初めて見たときのことも覚えている。初代ワゴンRの正式発表・発売は1993年9月3日だったが、その直前、雑誌媒体向けの事前撮影&取材会があり、横浜某所のスズキの関連施設で実車を目の前にしたのが初対面だった。 ただしその日(発表前の8月中だったと思う)は大型台風が首都圏を直撃、まさに“昼過ぎには上陸”といった状況。なので屋内のインタビューはともかく、撮影部隊は果たしてどうやって仕事をこなしていたか。

 雨だけは凌げるちょっとした屋根の下のような場所でストロボをバシバシ焚きながら撮影を強行したのか? 屋外に出れば瞬間に傘はひしゃげるし、首からぶら下げていた大事な仕事道具のCONTAX Tvs(初代ワゴンRと同じ1993年発売の、チタンボディの当時のフィルムカメラ)が濡れないようかばうことに必死になったり、建物のエントランスで、自動ドアが開くたびに吹き込む折りからの強風と濡れた床で足を滑らせそうになったり……と、(じつはクルマのことよりも)とにかく相当に過酷なコンディションでの取材会だったことのほうが、まず頭をよぎる。

車名の“R”は「Revolution」と「Relaxation」を意味する

 初代ワゴンRに話を軌道修正しつつ、今だから白状しておくと、「あら、21年前(1993年時点)のホンダ・ライフステップバンのスズキ版!?」が筆者の第一印象だった。冒頭にも書いたとおり何しろ何の予備知識もないままの実車との対面だったから、ステップバンを知っていれば誰でも条件反射的にそう思ったはずだ。

 とりわけ背が高くショートノーズのフォルムは、そう思わせた主な要因。と同時に、スズキが模倣したというより、ホンダに対して「ほーら、ステップバンの後継車を作らないからスズキに先を越されちゃいましたね」と、そんな思いを抱いた。 それくらい、それまでの他の軽自動車とはひと味もふた味も違う先進性、斬新さ、提案をひと目見て感じさせてくれたのが初代ワゴンRだったのである。車名の“R”は、Revolution(革新、画期的)とRelaxation(寛ぎ)のふたつの意味と思いが込められたもので、発表当時、一部で囁かれた“ワゴンでア~ルだからワゴンR”は、もちろん公式見解ではなかった(初代アルトのCMで“アルトがあると……”というのはあったが)。

ボディデザインは軽自動車ながらクッキリとシンプルだった

 外観では1680mm(ルーフレール込み)の高い全高と2335mmのロングホイールベース(当時のセルボ・モードがベースだった)に、右側1枚、左側2枚の1+2ドアが特徴。縦に大きいヘッドライトを配したデザインは、コンパクトな軽自動車ながらクッキリとシンプルであり、骨太感のあるもので、そんなスマートな道具感に好感の持てる仕上がりだった。 室内も、今のような軽のスーパーハイトワゴンなどない時代だったから、スッキリとした広さに驚かされた。ポイントはフロアからシート座面を高い位置に置き、背中を立てて座る、いわゆるアップライトな姿勢としたこと。前席座面高は625mm(FF車)とし、反対にサイドシルは315mm(同)と低く、さらにドア開口部の上下寸法のゆとりも大きかったから乗降性のよさも特徴だった。

実用性をさりげなく高めるスマートなアイデアも満載だった

 また運転席をクルマの中心寄りに30mmオフセットした非対称レイアウトとし、シート自体も助手席より大きく設計。ドライバーがゆったりと座れるように配慮されていた。これは軽自動車以外のユーザーからも注目された理由のひとつでもあった。

 助手席の座面の下にセットされた約16Lのシートアンダーボックス、背もたれを倒すだけのワンアクションで座面が沈み込みながら畳まれるダブルフォールド式の後席など、実用性をさりげなく高めるスマートなアイデアも満載だった。 登場直後初の追加機種は1993年11月登場の“Loft”で、(少し前の“コラボモデル”の記事で取り上げたばかりだが)このクルマには電動スライド式ガラスサンルーフを装備。 1995年2月になるとターボを設定、さらに1996年4月には5ドアが特別仕様として登場し、同年8月には正式なカタログモデルとなった。 1996年10月には発売から3年で累計販売台数50万台を達成。1997年になるとオールアルミのDOHCエンジン(ターボとNA)を登場させたほか、外観、インパネなどのデザイン変更を実施。この1997年には、1Lエンジンを搭載し、軽のワゴンRよりも全幅が180mm広いワゴンRワイドをデビューさせている。

初スライドドア仕様のワゴンRスマイルが登場

 先ごろ、シリーズでは初スライドドア仕様のワゴンRスマイルを登場させたばかり。ワゴンRは初代の登場から数えて今年で早28年、現行モデルで6世代目となり、進化を果たしてきた。とはいえ、やはりワゴンRというと、いまだにこの初代のイメージが真っ先に頭に思い浮かぶのは、それだけ存在感、インパクトがあったということだろう。 初代ワゴンRの広報資料を見返すと「余暇の増大にともない、個人生活を大切に考える人たちが、ますます増えています」の文言があった。余暇の増大……はともかく、今でも(今だからこそ)通用する普遍的なコンセプトを打ち出したクルマだった。

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みんなのコメント

37件
  • 「キャビンを背の高い形状にすることで、運転席から荷室にかけ広々とした車内空間を作る」というコンセプトの『ミニカトッポ』を"軽トールワゴンの元祖"とする文献も、確かにある。

    だが、この一見同じように見えるコンセプトは、その設計思想が全く違うのだ。

    『トッポ』が、ただ単に屋根を高くしただけで、あとは運転ポジションも何も、ほとんど従来型の『ミニカ』と変わらないのに対し、『ワゴンR』は、フロアパネルを新設計の二重構造にすることで、座面を高くして乗員の視点を上げ、眺望性・視認性および開放感を向上させると共に、乗降のし易さまで獲得している。

    同時期、スズキは『ハッスル』で『トッポ』に対抗したが、やはり単に屋根を高くしただけでは売れなかった。また「『ステップバン』こそ元祖」とする説もあるが、その発想はあくまで商用バンの亜流であり、市場規模を変える程のインパクトは無いことからも『ワゴンR』こそが"元祖"なのだ!
  • 他社が真似すればするほど、本家まで没個性になって行くのは残念なところ。
    今は現行型としてのコンセプトなんてないもんね。もちろんスズキだけの問題ではない。
    これがフツーになって、かえってアルトが個性的に思えるほど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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