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ボルボのワゴンはやっぱりイイね──V90リチャージ アルティメイト T8 AWD プラグインハイブリッド試乗記

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ボルボのワゴンはやっぱりイイね──V90リチャージ アルティメイト T8 AWD プラグインハイブリッド試乗記

ボルボのフラグシップ・ワゴン「V90リチャージ アルティメイト T8 AWD プラグインハイブリッド」を、山本シンヤがドライブ。福岡~島根を往復した印象をレポートする。

進む熟成化

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ボルボのフラッグシップは現在、“90”を名乗るが、なかでもステーションワゴンであるV90の最新バージョン、2023モデルに試乗した。しかも、グレードのフラッグシップであるリチャージ・プラグインハイブリッドだ。

2023モデルで大きく変更されたのはグレード体系。「プラス」(従来のモメンタム相当)と「アルティメット」(従来のインスクリプション相当)のふたつの仕様に変更されたのだ。

ちなみにV90は全車アルティメット。エクステリアは従来のスポーティ仕様である「Rデザイン」に近い意匠で、インテリアは従来の豪華仕様インスクリプションに近いものとなった。

エクステリアは光沢のあるパーツが控えめとなったディテールに、大径タイヤ(245/40R20)と5本スポーク・アルミホイールの組み合わせによって、従来モデルよりもスポーティな方向へシフトしているものの、メルセデスやBMWといった欧州のライバル勢と較べると、エレガントで上品。流麗なスタイルは今なお古さを感じない。

インテリアは、シンプルかつクリーン。温かみのある空間はデビュー時から変わらない。ただし、メーターまわりのデザインは変更され、インフォテインメントシステムはGoogleに刷新された。音声操作でナビゲーション設定や選曲はもちろん、エアコンの温度設定まで出来る。操作性はすこぶる高い。

居住性はどの席もゆったりとしている。とくにリヤシートの足元は、2940mmのロングホイールベースを活かし、ショーファー需要も賄えるくらい広大だ。SUVの「XC90」と較べ、頭上(=縦方向)のスペースはそれなりかもしれないが、適度なタイト感は“パーソナル感”を高め、個人的には好ましい。

パワートレインは、2022年1月の改良時に、エンジン、モーター、バッテリーが一新された。具体的には2.0リッター直列4気筒ガソリンターボは高効率化とドライバビリティの改善を目的に、スーパーチャージャーを廃止するとともにCISG(クランク・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)の出力をアップ。リヤモーター出力は従来から65%アップの107kW、バッテリー容量は従来から60%アップの18.8Whにアップデート。結果、EV走行時のパフォーマンスアップとEV航続可能距離向上(81km)を実現した。

実は今が旬かもしれないEV走行時はモーターの特性を活かした応答性の高さは言うまでもないが、見た目以上に軽快な動きで、アクセルを踏めば“スッ”と動き始める。大柄なボディかつ車両重量が2tを越えるクルマとは思えないほどだ。

日常域はドライブモードの「Pure」で“ほぼEV”として使えるが、長距離は「Hybrid」となるだろう。どの速度域でも瞬発力のある力強さを体感出来る。余裕のある滑らかさが印象的で、V90のキャラクターに非常にマッチしていた。

走行状況やバッテリー残量に応じてEV→ハイブリッド(エンジン+モーター)に切り替わる。それは、従来よりも確実に滑らかだ。くわえて、少々ノイジーだったエンジンも常用域では静粛性が向上。高回転域では、心地よいサウンドと爽快なフィーリングを楽しめる。モーターと内燃機関、両方の旨味を実感できるパワートレインだ。

足まわりに関して、公式には変更のアナウンスはないものの、改善されたように思う。20インチ・タイヤを履いているがゆえ、従来のRデザインに近いスポーティな乗り味を予想したが、異なったのだ。

操縦安定性はRデザインを継承しつつも、路面からの入力を優しく受け止め、凹凸をしなやかに吸収する。従来のインスクリプションより優れるのでは? と、感じたほど、優秀なセットアップだった。熟成が進んだとはいえ、これほど激変するとは驚きだった。

ワインディングでは重く大きなボディであるにもかかわらず、1クラス下の「V60」に乗っているかのような一体感あるキビキビとした走りが楽しめた。ただ、V90がもっとも得意とするのは長距離クルージングだ。矢のように“ビシッ”と突き進む直進安定性の高さ、バネ上を常にフラットに保つ快適な乗り心地、巧みな制御の運転支援システムなどの相乗効果で、どこまでもでも運転出来そうだ。今回、福岡県から島根県まで、往復500kmほどを半日で走ったが、「ちょっとそこまで……」というような感覚。疲れ知らずだった。

V90は優美なエクステリア、歴代モデルと変わらぬぬくもりのあるインテリア、最先端のパワートレイン、充実した安全装備、長年のステーションワゴン作りの経験を活かした実用性の高さ、と、ボルボの“昔”と“今”、そして“アナログ”と“デジタル”を巧妙にバランスしたモデルだった。デビューから6年ほど経つが、完成度の高さを実感すると、実は今が旬かもしれない。

文・山本シンヤ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

4件
  • いいのはよく分かっている。
    しかし、車両価格が1000万。
    頑張っても買えないのだよ。
  • VOLVOの趣きは感じられなくなったナ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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