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フォルクスワーゲン・ルポGTI 英国版中古車ガイド 軽量ボディのポケット・ロケット

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フォルクスワーゲン・ルポGTI 英国版中古車ガイド 軽量ボディのポケット・ロケット

車重978kgに124psの1.6L NA 4気筒

フォルクスワーゲンがUp!を発表する以前、同社はルポと呼ばれるモデルを作っていた。発売は1998年。価格帯が1つ上で、ひと回り大きいポロを下から支える、優れたハッチバックだった。

【画像】フォルクスワーゲン・ルポ GTI 後継のUp! GTI 最新のゴルフ GTIも 全51枚

全長3525mmの小さなルポだったが、その能力に多くのユーザーが集まった。3気筒1.2Lディーゼルターボ・エンジンを搭載した例では、巡航で42.5km/Lという驚くべき燃費を2001年のAUTOCARで残している。

われわれの興味を喚起させたのが、高性能なGTIの登場。同時期に、パフォーマンスでもフォルクスワーゲンはクラス上位を狙おうとしていた。

ルポ GTIへ搭載されたエンジンは、16バルブの1.6L自然吸気4気筒で、最高出力は124ps。現代基準では目立った馬力ではないものの、軽量化も施され、ポケット・ロケットと呼べる動力性能が与えられていた。

ボンネットとフロントフェンダー、ドアをスチール製から軽いアルミニウム製へ変更。車重は978kgと1tを切っていた。かといって、充実装備はしっかり残ったままだ。

ヘッドライトは当時としては新しいキセノンで、ホイールは15インチのバサースト。マフラーはセンター2本出しで、車高が20mm落ちるスポーツ・サスペンションとディスクブレーキ、ボディ同色のサイドモールなどで見た目が引き締められていた。

インテリアは、メーターリングがクロームメッキになり、軽快な動きに身体を支えてくれるスポーツシートも奢られていた。製造品質は今でも高いといえるもので、ドアの開口部はミリ単位で一致。今でも、凛々しい姿は失われていない。

今でも霞まないホットハッチとしての魅力

そういっても、ルポ GTIは発売から20年が経過している。駆動系統などはくたびれていても不思議ではない。

多くの英国人オーナーが悩んでいるのが、リアスポイラーの劣化。水分で塗装に気泡が出てしまうようだ。ドアハンドルや内装部品の緩みも珍しくはない。

トランスミッションは、初期型には5速マニュアルが組まれていたが、2002年には6速マニュアルも登場している。6速の方がクルージング時の質感は高いものの、ファンの間では5速の方が速いと支持する傾向もある。

ベストコンディションなら、0-100km/h加速は7.7秒。機敏なシャシーと鋭いステアリングフィール、優れたグリップ力などが相乗し、実際以上に速く感じる。そんなルポ GTIへ刺激され、オーナーが改造を施すケースも珍しくなかった。

ただし、これから探すなら、可能な限りオリジナル状態の方が良いだろう。ちなみに、2003年からエンジンはユーロ4へ準拠するよう、アップデートされている。燃費は普通に運転しても、14.0km/Lに届くはず。

ルポ GTIは、ホットハッチとして魅力の塊だった。しかし、オプションレスの英国価格は約1万3000ポンドとお高めだったのが難点。ミドルグレードのゴルフと同等、ミニ・クーパーより少し安価な設定だった。

結果的に、英国では1000台も売れていない。近年ではますます珍しい存在になってきている。それでも能力に優れ運転も楽しい。ルポ GTIの訴求力は、今でも衰えてはいない。

オーナーの意見を聞いてみる

ジョシュア・ホプキンス氏

「初めてルポ GTIを買ったのは、自分が18歳のとき。ダウンサイジング・ターボではない自然吸気のツインカムエンジンを搭載し、珍しくて特別だと感じて選びました。すごく気に入っていました」

「7年間幸せに過ごした後、ミニJCW(ジョン・クーパー・ワークス)へ乗り換えましたが、結局ルポ GTIに戻りました。今の目標は大切に維持して、まだ赤ちゃんの息子が18歳になった時に、受け継いでもらうこと」

「初めて買った時と同じくらい、運転は今でも楽しいです。機敏で速い。中間加速も。製造品質が高く、経年劣化も上手に先送りできていると思います」

「正しいタイヤのチョイスと、コイルオーバーキットを組めば、まだまだ楽しめるクルマだと思います。ちなみにタイヤは、トーヨーがオススメですね」

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

クラッチが弱点らしい。試乗では滑りがないか確かめたい。トランスミッション自体は堅牢だが、あまり積極的に変速するとシンクロメッシュに不具合が起きる。2速と3速は要注意。

シフトフィールが良くない場合は、リンケージが原因かも。修理はさほど難しくない。

エンジン

ここ最近の交換がまだなら、タイミングベルトとウオーターポンプは新調したい。フォルクスワーゲンは6万4000km毎の交換を推奨している。

マフラーカッターやリアバンパーにエンジンオイルによる汚れが付着していないか、観察する。ミスファイアは、コイルパックの劣化で発生することが多い。

サスペンションとブレーキ

ダンパーからのオイル漏れや、スプリングのサビなどがないか確かめる。走行中のコツコツという異音や振動は、ゴムブッシュやジョイントまわりの劣化のサイン。

ブレーキは前後ともにディスク。パッドの残りと、ディスクの摩耗具合を確かめたい。交換費用は、さほど高くない。

ボディ

ドアハンドルの状態を確かめる。アルミニウム製のフェンダーや、ルーフの雨樋部分の腐食がないかも確認する。新車時は補修対象になっていた。ジャッキアップ時に正しくポイントへ合わせず、下回りが歪んでいる場合もある。

リアスポイラーは、水が侵入し塗装が浮いて、気泡ができることがある。ハイマウント・ストップランプ内部も腐食してしまう。補修は安くできないうえ、交換用の部品も出てきにくい。

インテリア

シートの角度調整などがスムーズか、パワーウインドウは滑らかに上下するか、実際に試す。エアコンからしっかり冷気が出てくるかも確かめたい。サンルーフが付いている場合、シールが劣化していないかもチェックポイント。

知っておくべきこと

ポロの楽しい走りを支えているのが、軽量なボディ。先述した、アルミ製のボンネットやドアなどだ。フェンダーは太いタイヤが収まるよう、ワイド化されてもいる。

過去に、事故で損傷した部分などが標準のスチール製に交換されている可能性もなくはない。クルマを見に行くときは、養生した磁石をお忘れなく。アルミ製なら磁石はくっつかない。

英国ではいくら払うべき?

1500ポンド(約23万円)~2999ポンド(約45万円)

状態が悪いか、改造されたルポ GTIが英国では出てくる。1.8Lターボエンジンが載っている例も見つけた。

3000ポンド(約46万円)~3999ポンド(約61万円)

多少の補修は不可欠な、走行距離の長い例が中心。執筆時に整備記録が残っていない、走行距離20万kmの2002年式などを見つけた。

4000ポンド(約62万円)~4999ポンド(約76万円)

状態の良いルポ GTIが英国では選べるようになってくる。改造された例も含まれる。

5000ポンド(約77万円)以上

全体的にレストアされた2004年式で19万7000kmのルポ GTIが、5500ポンド(約85万円)など。走行距離はどれも長めだ。

英国で掘り出し物を発見

フォルクスワーゲン・ルポ GTI 登録:2005年 走行距離:18万3400km 価格:5489ポンド(約85万円)

大切に手入れされてきた、6速MTのルポ GTI。これまでに14回、整備点検を受けている。最近には17万7000km時点で、タイミングベルトとウオーターポンプが交換されている。

ダンパーはビルシュタイン社製に交換済み。ブッシュはポリウレタン製ということだから、走りはタイトだろう。

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みんなのコメント

8件
  • アメリカの民間調査会社「J.D.パワー」の調査によると、2017年に実施された「日本自動車耐久品質調査」でフォルクスワーゲンの故障率は最下位です。主要メーカーの中では、日本でもっとも故障の多いメーカーとなっています。
  • これは酷いクルマだったなぁ!
    でも日本のメディアでは批判されてた記憶ないね。
    なぜならば、ワーゲンであり欧州車であるから!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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