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『イタリア発 大矢アキオ ロレンツォの今日もクルマでアンディアーモ!』第46回 規則なもんですから。街にあった“変な”アルファ・ロメオ

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『イタリア発 大矢アキオ ロレンツォの今日もクルマでアンディアーモ!』第46回 規則なもんですから。街にあった“変な”アルファ・ロメオ

トナーレのパトカー

今回は、カタログカラーではなく、公式の車体色を無理やり塗られてしまったクルマのお話をしよう。まずは2023年のニュースを。イタリアでは、「アルファ・ロメオ・トナーレ」がパトロールカーとして、すでに業務にあたっている。2023年6月、メーカーであるステランティスが、イタリア軍警察(カラビニエリ: 本連載第2回参照)総司令部に1号車を納車した。1.5リッター・マイルドハイブリッド163HPエンジン+7段シーケンシャルシフトの仕様で、カラビニエリにとってCセグメントSUVの警察車両は初めてという。車両は1972年以来のカラビニエリ車両制式色である濃紺のボディ+白の屋根で、赤い線がアクセントとして走る。すでに配備が始まって久しい「ジュリア」を追うかたちで、400台のトナーレが全国に配車される予定だ。現地メディアによると、1台あたりの価格は、税別68,652ユーロ(約1100万円)である。アルファ・ロメオがカラビニエリに歴史上初めて車両を納入したのは、国営公社IRIの傘下だった1951年にまでさかのぼる。なお今日では、2004年にイタリア国家警察交通機動隊に納入された「ランボルギーニ・ガヤルド」のような寄付を除き、警察車両は原則として欧州連合の規則に基づいた入札である。したがって、もはや「イタリアのパトカーだからイタリア系ブランド」というわけではない。実際にカラビニエリは、「トヨタ・ヤリス・ハイブリッド」も市街地パトロール用に導入して久しい。

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そのアルファ、何かが違う

そのカラビニエリや国家警察のパトロールカーと比較すると、イタリアの日常生活で見かける機会がやや少ないのは、消防署の車両だ。歴史的旧市街に関していえば、建物の材質や暖房の種類上、日本と比較して一般家屋の火事が少ないためと考えられる。ただし、家のオートロック鍵が閉まってしまったときに、エンジンカッターを持って駆けつけて来てくれるのは消防署である。また、兵役が存在した2004年までは、消防署に配属された若者も少なくなかった。そうした意味では、日本の消防署よりも、市民に身近な存在かもしれない。おっと、話がそれたが、筆者の住むシエナの消防署には、ある時期からアルファ・ロメオ「156」が加わった。消防指揮車というやつである。その156、長いアンテナの他にも、何か雰囲気が違う。よく見ると、他の消防車両に合わせ、制式の赤に塗られていたのだ。カタログ色の赤と比べると、やや黄色がかっている。ナンバープレートからすると、少なくとも2台が存在したことがわかる。ともかく大半の一般市民は、消防署を示すVigili del fuocoの文字も無いことから、気がつかなかったに違いない。

筆者としては当初、「我々市民の血税を使ってわざわざ塗り替えなくとも、普通のアルファ・レッドで十分スタイリッシュじゃないか」と憤った。が、どの国でも規則にしたがうのが官公庁の仕事なのだ。クルマの色も“制服”でなければいけないのである。

あの名門も

同様に、無理やり公式色にされている車両を見ることができるのは、マラネッロのフェラーリ本社である。たとえフェラーリといえど、日々社員がそこいらの業務に用いる社用車に、さすがに商品であるスーパースポーツは使えない。そこで、ステランティス系ブランドの各車を用いる。その際、わざわざフェラーリの指定色にしてあるのである。2007年フィアット500や2012年同パンダのデザイナーであるロベルト・ジョリートが2022年に筆者に話してくれたところによると、同様にフェラーリ流レッドに塗り替えられた500が社用車として存在するという。前述の消防署と異なり、こちらは民間企業である。制服的縛りは無いはずだが、こうした細かいこだわりの積み重ねがブランドイメージを支えているのだ。イタリアでは、ときおり、車体文字を消した警察車両や消防車両の払い下げ車をスワップミート(蚤の市)などで見る。フェラーリ・カラーをまとった普通のクルマも跳ね馬マークを消して、どこかに払い下げられるのか興味深いところだ。

そういえば、あの消防署の“変な”アルファ156を最近見かけなくなった。街のトリビアがひとつ減って寂しいのは筆者だけか。

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