現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「クーペ」と「バルケッタ」は今見ても最高のデザイン! フィアットが弾けていた時代の2台とは【カタログは語る】

ここから本文です

「クーペ」と「バルケッタ」は今見ても最高のデザイン! フィアットが弾けていた時代の2台とは【カタログは語る】

掲載 11
「クーペ」と「バルケッタ」は今見ても最高のデザイン! フィアットが弾けていた時代の2台とは【カタログは語る】

独自の走りの世界観をカジュアルに楽しませてくれるクルマだった

クーペ フィアット&フィアット バルケッタ。こう書くと、まるでトム&ジェリーのコンビか何かのようだが、見るからに個性に溢れたこの2車は、日本市場へもクーペ フィアットが1995年3月、フィアット バルケッタが1996年3月に、それぞれ相次いで導入された。

【潜入調査】250台以上!! 「ランチア」「アバルト」「フィアット」のマニア垂涎マシンやコンセプトカーが集結! 夢のFCAヘリテージ ハブとは

どこをとっても個性を主張するディテールで構成

その頃というとアルファ ロメオの164、155、145といったモデルのほか、その次世代のGTVとスパイダーなどが人気となり、ほかのイタリア車でもランチア(テーマやデドラ、デルタ・インテグラーレ)、マセラティ(ギブリ、シャマルなど)などイタ車好きにとって気になるモデルが目白押しだった時期。

そうした中でフィアットというと「鉄板」のパンダや初代プント、一瞬だけ輸入されたハッチバックのブラビッシモなどがあったが、いずれもフィアットの王道をいく実用車ばかりだった。そうした中で忽然と姿を現したクーペ フィアットとフィアット バルケッタは、当然ながらイタ車に目がないマニアの目と気持ちを惹きつけたクルマなのだった。

登場順でいくとまずクーペ フィアットだが、このクルマは何といっても奮った……というより意表を突いたスタイリングに目が釘付けになった。この外観デザインは、のちにBMWの7シリーズ(E65)や5シリーズ(E60)をまとめたクリス・バングルがフィアット時代に手がけたものという。

観察すると、全体に丸みを持たせながらも前後フェンダーアーチ上にはナイフで切り欠きを入れたようなプレスラインが走り、フロントのそこから開くクラムシェル状のフードには樹脂のアウターカバーに収まるヘッドライト、裁ち落としたリアエンドには斜めに配したテールランプ&ウインカー、アルミ製フィラーキャップなど、どこをとっても個性を主張するディテールで構成されていた。

インテリアはインパネ、ドアトリムにボディ色を引き込むことで、モダンながらクラシカルな趣も醸し出していた。奇をてらったというよりむしろプレーンに仕上げられたデザインで、居心地のよさが味わえる、そんな室内空間に仕上げられていた。

その一方、走りは非常に刺激的だった。それもそのはずで、エンジンはあのランチアデルタインテグラーレと共通の2L(1995cc)ツインオーバーヘッドカム16バルブにGarrett社製水冷ターボを搭載。最高出力195ps、最大トルク30.2kgmを発揮、さらに左右輪へのトルク配分を常に最適に制御する、ヴィスコドライブと呼ばれるトラクションコントロールも備えた。こうした結果、一見すると雰囲気重視のクーペか!? と思わせておきながら、いざアクセルを踏み込めば豪快な加速を示し、その意味でも実に刺激的なドライブが味わえるクーペとなっていた。

バルケッタらしさが表現できていたディテール

もう1台のフィアット バルケッタは、クーペ フィアットのダイナミックさに対して、よりカジュアルで軽快な走りが愉しめるオープン2シーターに仕上げられていた。

このクルマは当時のプントをベースに作られた。全長3920mm×全幅1640mm×全高1265mmのコンパクトなボディは、「小舟」の名のとおりキュートなスタイリング。デザインをまとめたのは、フィアット在籍時代のアンドレアス・ザパディナスで、彼はアルファ ロメオで145、SUBARUでR2、トライベッカなどにも関わっている。

インテリアはフロントスクリーンの付け根部分、インパネ下側、ドアトリム部などにボディ色を引き込み、オープンモデルらしく外と中の繋がりをもたせたデザイン。これは近年ではNDロードスターなどでも見られる手法だ。

さらにいたずらに寝かされすぎないフロントスクリーン、心地よいタイト感が味わえる室内スペースも、バルケッタらしさが表現できていたと思う。また乗り込む際に操作するドアハンドルも、親指でボタンを押すと通常は埋め込まれた細いレバーが起き上がり、それをさらに引くことでドアが開けられる仕組み。ドアハンドルといえばいうまでもなく乗るたびに操作する部分だが、デザインもユニークな専用パーツで、別のクルマのドアハンドルの流用ではないコダワリがいいと思った。

そして走らせると理屈抜きで爽快感が味わえた。ハンドリング云々というより、他のフィアット車同様にクルマの挙動はあくまでも自然体で、山道も街中も気分よく駆け抜けられる……そんな持ち味がよかった。1746ccの4気筒DOHCはアクセルと5速MTの操作に対しストレスなく応えてくれ、これも気持ちよい走りに貢献していた。

デザインは感性によるものだから無粋な解説は不要かもしれないが、あえて言葉で表現するなら、まさしく車名のとおり現実世界を海や湖に見立てて、そこを肩の力を抜いて浮遊感覚で乗る……そんなクルマだったといえばいいか。

同じカテゴリーの2シーターオープンというと、いうまでもなくマツダのロードスターがあったが、アチラが走りの楽しさをスペック側から捉えているのに対して、フィアット バルケッタは、気持ちや感覚に訴えてくる独自の走りの世界観をカジュアルに楽しませてくれるクルマだった。

こんな記事も読まれています

予選大失敗のアロンソ、エミリア・ロマーニャGP決勝に向けセットアップ変更。ピットレーンスタートを選択「その方が、いくつかメリットがある」
予選大失敗のアロンソ、エミリア・ロマーニャGP決勝に向けセットアップ変更。ピットレーンスタートを選択「その方が、いくつかメリットがある」
motorsport.com 日本版
レッドブル&HRC密着:RB20に5つのアップデートを実施。初日は「期待ほどパフォーマンスはよくなかった」と不安が残る
レッドブル&HRC密着:RB20に5つのアップデートを実施。初日は「期待ほどパフォーマンスはよくなかった」と不安が残る
AUTOSPORT web
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの魅力
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの魅力
@DIME
マクラーレン、打倒フェルスタッペン狙いの”ギャンブル”はしない!「手は尽くすが、サイコロは振らない」
マクラーレン、打倒フェルスタッペン狙いの”ギャンブル”はしない!「手は尽くすが、サイコロは振らない」
motorsport.com 日本版
東京多摩を貫く「幻の街道」とは? 青梅街道から“分岐するはず”の大幹線 影も形も…ちょっとある!
東京多摩を貫く「幻の街道」とは? 青梅街道から“分岐するはず”の大幹線 影も形も…ちょっとある!
乗りものニュース
日産「新型ミニバン」初公開! ちょっとビッグな「エヴァリア」! 3列7人乗りの「欧州のオシャレミニバン」は日本でもアリか
日産「新型ミニバン」初公開! ちょっとビッグな「エヴァリア」! 3列7人乗りの「欧州のオシャレミニバン」は日本でもアリか
くるまのニュース
ルーキー岩佐歩夢が魅せた! 2番手以下にコンマ3秒差をつけSF初ポールを獲得【第2戦予選レポート】
ルーキー岩佐歩夢が魅せた! 2番手以下にコンマ3秒差をつけSF初ポールを獲得【第2戦予選レポート】
AUTOSPORT web
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの魅力
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの魅力
@DIME
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの実力
完成度の高いアッパーミドルサルーン、新型「クラウン」セダンの実力
@DIME
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年5月12日~5月18日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年5月12日~5月18日)
Webモーターマガジン
機能とデザイン、どちらも大事! 愛煙家は必見…新作アッシュトレイ【特選カーアクセサリー名鑑】
機能とデザイン、どちらも大事! 愛煙家は必見…新作アッシュトレイ【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
初優勝・牧野任祐の涙に、ダンディライアン村岡総監督も感極まる。苦悩する若武者に密かに感じていたシンパシー「自分を見ているようだった」|スーパーフォーミュラ第2戦
初優勝・牧野任祐の涙に、ダンディライアン村岡総監督も感極まる。苦悩する若武者に密かに感じていたシンパシー「自分を見ているようだった」|スーパーフォーミュラ第2戦
motorsport.com 日本版
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス 予選
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス 予選
AUTOSPORT web
アストンマーティン、イモラで投入のアップデートは”攻めの姿勢”の表れ「昨年の学びを生かした」
アストンマーティン、イモラで投入のアップデートは”攻めの姿勢”の表れ「昨年の学びを生かした」
motorsport.com 日本版
ハミルトン4番手「アップデートの効果を感じる。今までより上位との差が縮まった」メルセデス/F1第7戦金曜
ハミルトン4番手「アップデートの効果を感じる。今までより上位との差が縮まった」メルセデス/F1第7戦金曜
AUTOSPORT web
新型「大型商用バン」初公開! 全長5.4m超え「車中泊専用」仕様登場!? 西海岸風“オシャ内装”採用! デュカト発売へ
新型「大型商用バン」初公開! 全長5.4m超え「車中泊専用」仕様登場!? 西海岸風“オシャ内装”採用! デュカト発売へ
くるまのニュース
『帰ってきた あぶない刑事』は5月24日公開! 舞台は横浜、手放し運転でショットガン撃ちまくるのも「映画とは文化を描くもの」だからです
『帰ってきた あぶない刑事』は5月24日公開! 舞台は横浜、手放し運転でショットガン撃ちまくるのも「映画とは文化を描くもの」だからです
Auto Messe Web
アルファロメオが特別仕立てのジュリアとステルヴィオを発表、全世界450台限定
アルファロメオが特別仕立てのジュリアとステルヴィオを発表、全世界450台限定
Webモーターマガジン

みんなのコメント

11件
  • pro********
    この時代のフィアットが「いずれも王道をいく実用車ばかり」とありますが、ムルティプラを都合良くスルーしていますね。
  • hot********
    東京から菅生サーキットまで、私用で行く事になったら、おろしたてのデモカーのクーペフィアットに乗って行く様、社命が下りた。
    流石に慣らしが終わったばかりの新車、助手席には彼女も居り、制限速度を遵守して安全運転を…と、首都高の渋滞を抜ける迄は思っていた。
    クーペフィアットのスピードレンジは、日本の道交法には適合しない…気持ち良かった〜👍
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0188.0万円

中古車を検索
バルケッタの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0188.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村