この記事をまとめると
■自動車を大衆向けにするという流れのなか、1936年に初代フィアット500が誕生した
ドアも屋根もぶった切るとちょ~オシャレ! 許されるなら日本でも乗りたい「ビーチカー」が楽しすぎる
■大ヒットとなった初代フィアット500はイタリアの街の至るところで見ることができた
■初代フィアット500は1955年まで生産が続けられ、2代目フィアット500の開発に大きな影響を与えた
大衆車を目指して人気を博した初代フィアット500
フィアットのチンクエチェントといえば、街でよく見かけるオシャレなコンパクトカー。デザイン的なモチーフがあって、それがいわゆる「ルパン三世のクルマ」とよくいわれる1957年に発売されたFIAT 500というのは、あまりクルマに詳しくない人でも知っているかもしれない。
ただ、初代と2代目という認識になりがちなのだが、じつはそれぞれ2代目と3代目で、1936年に初代が登場している。ちなみに2代目と3代目の間にチンクエチェントというモデルも存在しているのでややこしいが、こちらはFIAT 500と表記されることはないので、歴代モデルとして数えないことが多い。
初代FIAT 500に話を戻すと、貴族などに向けた高級な乗り物だった自動車をより大衆向けにするという流れが起きていた1936年に登場した。
その開発には、2代目で責任者を務めたダンテ・ジアコーサも携わっており、それゆえデザインやメカニズムはかなり独創的だった。
ちなみに2代目のことをトッポーリーノと呼ぶ人がいるが、実際は初代のニックネームで、丸みを帯びたボディと丸いライトがハツカネズミ(トッポリーノ)みたいだったのでこのニックネームが付けられた。
ふたり乗りのかなりコンパクトなボディは、当初の予定よりも高価になったとはいえ、世界恐慌で冷え込んだイタリアでもヒット作となって、街なかの至るところで見ることができた。
映画『ローマの休日』では、オードリー・ヘップバーン扮する女王とグレゴリー・ペック扮する新聞記者が乗るベスパを追いかけるのにチンクエチェントで出てくるが、当時の様子がよくわかるシーンだ。
メカニズムもユニークで、エンジンは直4というぜいたくなもので、排気量569ccから13.5馬力を発揮したのも当時として立派なスペックだ。
丸みを帯びたボディゆえフロントにラジエーターを設置する場所がなく、やむなくエンジンの後ろ側に配置。暖まった冷却水は自然に循環するようになっていて、ウォーターポンプがない構造となっている。また、前輪独立懸架や油圧ブレーキなど、当時としては贅沢な装備を採用していた。
生産は戦後も続けられ、ヘッドライトがフェンダー埋め込みになったりしたが、最終的には1955年まで作られた。構造などはまったく異なるとはいえ、そのコンセプトは2代目開発に大きな影響を与えたのは確実だろう。
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