現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 幾多の困難乗り越え、スーパーGT初予選で鮮烈な輝き放ったGAINER Z。踏み出した第一歩……「真の完成形」に向けて奮闘は続く

ここから本文です

幾多の困難乗り越え、スーパーGT初予選で鮮烈な輝き放ったGAINER Z。踏み出した第一歩……「真の完成形」に向けて奮闘は続く

掲載
幾多の困難乗り越え、スーパーGT初予選で鮮烈な輝き放ったGAINER Z。踏み出した第一歩……「真の完成形」に向けて奮闘は続く

 スーパーGT第2戦富士の予選、ピットアウトしていく1台の車両に大きな注目が集まった。デビューが遅れていたGAINER Zが、初めてファンの前で走行を果たしたのだ。

 今季からGT3車両のGT-Rに代わり、自社製作のZでGT300クラスに参戦することになったGAINER。詳細は後日紹介するが、彼らは関係各所との協議の結果、現在のGTA-GT300規定車両で主流となっているパイプフレームではなく、市販の量産モノコックをベースに車両を製作することになった。量産モノコックを使っての製作は時間も手間もかかるというが「人を育てられる」ことには多くのスキルを学べるというメリットもあり、決断に至ったという。

■アップデート投入でGT300予選を制圧! 88号車JLOCランボルギーニに取り付けられたパーツとは

 モノづくりとして非常にチャレンジングな取り組みになったこともあり、GAINER Zのデビューは遅れた。シーズン開幕前の公式テストは欠席し、開幕戦岡山でも車両を持ち込みはしたが、走行することは叶わなかった。しかしその後岡山でシェイクダウンを実施し、ゴールデンウィークの富士に車両を持ち込むことができた。

 しかしその富士でもGAINERを苦難が待ち受けていた。搬入日に行なわれる事前車検で、車両の全幅が規定をオーバーしているという指摘を受けたのだ。

 これは過去にもGT300の複数のチームが指摘しているが、チームのファクトリーでの計測、そしてスーパーGTの車検場での計測では、その測定方法にも違いがあるため、大なり小なり誤差が生じるケースもあるという。エントラント代表でありチーフエンジニア、そして今回のZ製作を率いた福田洋介氏も、工場での測定精度に十分な自信を持った状態で車両を持ち込んだというが、「そういった誤差を見越して、寸法をそこまで攻めずに作らないといけなかったのかなとも思います」と振り返る。

 その後修正し、予選日の朝にもう一度計測したが、合格はならず。むしろ以前よりも大きくオーバーしているという結果が出たという。

「ピットの中で測ったからなのかは分かりませんが、それ以外の部分でもすごくズレが出て、『そんな数字あり得ないけど……』というような数値が出ていました」(福田エンジニア)

 結局GAINERは、午前の練習走行を欠席し、パーツを切ったり加工することで規定の全幅に合わせたという。福田エンジニア曰く、「カウルやフロアなど全て外して、切ったり削ったり穴を広げたりして、幅を詰めました」とのことだ。

 そうして晴れて車検に合格し、GAINER Zは予選に出走することができた。そしてQ1では、富田竜一郎が1分36秒484というタイムをマーク。これはA組の4番手タイムであり、Q1全体でも5番手。いきなりの登場でポールポジションも狙えるようなパフォーマンスを見せたのだ。

 その後Q2ではシフトトラブルが発生してしまい、ノータイムに。これによりGAINER Zは、規定により決勝ピットスタートとなる。なお予選後の時点ではトラブルの原因が判明しておらず、取材した18時ごろの時点では、チームのスタッフが原因を究明すべく慌ただしく作業をしていた。

 決勝に向けて苦難は続くが、それでも予選Q1で目の覚めるようなパフォーマンスを見せたGAINER。しかし福田エンジニアは「とりあえず転がって悪くはなかったので良かったな、くらいですかね」と冷静だ。予選一発のタイムだけでは、パッケージの競争力を測るのは難しいという考えもあるようだ。

「今年、レギュレーションでタイヤのセット数が削減された中で、一発のタイムが速いというのはあまりメリットがない状態になっています」

「結局はレースで強いかどうかになってきますから、この予選のタイムは『悪くなかったね』ということに過ぎません」

 GAINERは幾多の困難を乗り越えて、まず一歩目を踏み出した。ただ福田エンジニア曰く、車両はまだ“完成”していないという。

「まずは完成を目指さないといけません」

「まだこの状態は未完成です。例えばフロントにはサードダンパーが付いていますが、リヤはまだ付いていません。暫定の部品も多いので、まずは完成形に持っていきたいです」

 また来季に関してはタイヤにまつわる規定が変更されるという噂もあるが、GAINERはそういった来シーズン以降にもしっかりとパフォーマンスを発揮できるマシンを目指し、開発を進めていくという。産声を上げたばかりのGAINER Zの進化には今後も注目したい。

関連タグ

こんな記事も読まれています

2024年ル・マン24時間、波乱の予感。23台参加のハイパーカークラスは「誰が速いのか全く読めない」とトヨタ小林可夢偉代表
2024年ル・マン24時間、波乱の予感。23台参加のハイパーカークラスは「誰が速いのか全く読めない」とトヨタ小林可夢偉代表
motorsport.com 日本版
1100馬力の日産「GT-R」でガチテスト!「TOYO PROXES R888R」はプロドライバーも納得の出来でした「食わず嫌いはやめましょう」
1100馬力の日産「GT-R」でガチテスト!「TOYO PROXES R888R」はプロドライバーも納得の出来でした「食わず嫌いはやめましょう」
Auto Messe Web
FP2でクラッシュのJOTA12号車、”最速ペース”でマシン修復進める「リビルド記録更新は間違いない」|ル・マン24時間
FP2でクラッシュのJOTA12号車、”最速ペース”でマシン修復進める「リビルド記録更新は間違いない」|ル・マン24時間
motorsport.com 日本版
トヨタ8号車が総合トップ! 雨が強まりSCでレース折り返し|ル・マン24時間:12時間経過
トヨタ8号車が総合トップ! 雨が強まりSCでレース折り返し|ル・マン24時間:12時間経過
motorsport.com 日本版
予選好調キャデラック、ル・マン24時間本戦では最高速が“足かせ”に? パロウ「コーナーは速いんだけど……」
予選好調キャデラック、ル・マン24時間本戦では最高速が“足かせ”に? パロウ「コーナーは速いんだけど……」
motorsport.com 日本版
市販車に近いパーティーレースとS耐マシンの「ロードスター」を徹底比較! なぜ富士スピードウェイで10秒も違うのか?
市販車に近いパーティーレースとS耐マシンの「ロードスター」を徹底比較! なぜ富士スピードウェイで10秒も違うのか?
WEB CARTOP
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
まさか!? 4時間セーフティカー&またSCでレースは振り出しに……2号車キャデラックが暫定トップ|ル・マン24時間:18時間経過
motorsport.com 日本版
FP2でクラッシュのJOTA12号車、マシン修復し飛行場でシェイクダウン完了。「英雄的な努力」とドライバーはチーム称える|ル・マン24時間レース
FP2でクラッシュのJOTA12号車、マシン修復し飛行場でシェイクダウン完了。「英雄的な努力」とドライバーはチーム称える|ル・マン24時間レース
motorsport.com 日本版
大排気量エンジン回帰の可能性がにわかに浮上するレース界。スーパーフォーミュラも“音”の重要性を認識も、やはり鍵は燃料面
大排気量エンジン回帰の可能性がにわかに浮上するレース界。スーパーフォーミュラも“音”の重要性を認識も、やはり鍵は燃料面
motorsport.com 日本版
ちょっと気が早すぎる!? ル・マン出場を望むフェルスタッペン、WEC複数チームからの「接触あった」と明かす
ちょっと気が早すぎる!? ル・マン出場を望むフェルスタッペン、WEC複数チームからの「接触あった」と明かす
motorsport.com 日本版
フェラーリカスタマーの83号車が首位。トヨタ8号車が3番手……夜と共に雨が襲来|ル・マン24時間レース:6時間経過
フェラーリカスタマーの83号車が首位。トヨタ8号車が3番手……夜と共に雨が襲来|ル・マン24時間レース:6時間経過
motorsport.com 日本版
ポルシェが最後の最後に大逆転でポール獲得! キャデラック、フェラーリら及ばず|ル・マン24時間ハイパーポール
ポルシェが最後の最後に大逆転でポール獲得! キャデラック、フェラーリら及ばず|ル・マン24時間ハイパーポール
motorsport.com 日本版
アルピーヌ、ル・マンの夜を前にダブルリタイア。エンジントラブルで夢潰える「来年、強くなって戻って来る」
アルピーヌ、ル・マンの夜を前にダブルリタイア。エンジントラブルで夢潰える「来年、強くなって戻って来る」
motorsport.com 日本版
おかえりLMP2! ル・マン24時間は変わらず競争激しい中間クラスにも注目
おかえりLMP2! ル・マン24時間は変わらず競争激しい中間クラスにも注目
motorsport.com 日本版
MotoGPマシンがスーパーバイクに負ける日は来ない? 排気量ダウンで懸念もFIM会長は自信示す
MotoGPマシンがスーパーバイクに負ける日は来ない? 排気量ダウンで懸念もFIM会長は自信示す
motorsport.com 日本版
2024年ル・マン24時間はスタート前から波乱。ウォームアップ走行でトヨタ7号車のデ・フリーズがGT3車両と接触
2024年ル・マン24時間はスタート前から波乱。ウォームアップ走行でトヨタ7号車のデ・フリーズがGT3車両と接触
motorsport.com 日本版
ACO、次世代の燃料電池プロトタイプカー『H24EVO』を公開。近い将来ル・マン出場の可能性も?
ACO、次世代の燃料電池プロトタイプカー『H24EVO』を公開。近い将来ル・マン出場の可能性も?
motorsport.com 日本版
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村