■過走行&サビ浮きもあるのに… 驚愕の新車価格超え
2023年12月7日、アメリカのカーオークションサイト「Cars & bids」において、スズキ「アルト」が8500ドル(当日レートで約123万円)で落札されました。
どのような個体なのでしょうか。
【画像】超カッコイイ! これが「28年前のアルト」です!(51枚)
Cars & bidsはアメリカのオークショニアです。日本をはじめ、ヨーロッパや米国などのクルマを取り扱っており、1981年以降のクルマ幅広くオークションが開催されています。
今回、約123万円で落札されたのは1995年式の「アルト ワークス」で、米国には2023年8月に輸入されたといい、現在アラバマ州で登録されているようです。
アルトは1979年5月に登場したエントリー軽コンパクトカー。使い勝手や経済性の高さを追求したシンプルで低価格な実用車として展開され、初代は47万円という驚異的な低価格を実現しヒット作となりました。
2021年12月現在までに国内累計526万台を販売し、スズキを代表するベーシックモデルとして位置しています。
一方で、1987年にはそんな実用重視ともいえるアルトのパッケージから大きくかけ離れたキャラクターを持つ、過激なモデルがアルト ワークスです。
64馬力を発揮する高性能なターボエンジンを搭載したうえ、派手なエアロパーツを装備しレーシーに仕上げ、さらにはフルタイム4WDを搭載するモデルも設定するなど、走り好きな若者を中心に人気を博しました。
今回出品されたアルト ワークスは4代目にあたるモデルで、グレードはFFモデルの「RS/Z」。5速MT車となっています。
走行距離は21万5400キロを走行しており、一般的には過走行車として扱われるものですが、内外装の状態は年式や走行距離を考えると比較的きれいに維持されています。
エクステリアは、アルト ワークスの特徴である大きなフォグランプ付きのフロントバンパーをはじめ、「WORKS」エンブレム付きサイドスカートや派手な大型リアスポイラーといった、専用エクステリアはそのまま残されています。
ボディカラーはサターンブラックで全体的にはツヤも残っていますが、ボンネット先端にはサビによる塗装浮きが見られるほか、いくつかの小キズがあるようです。また、出品者によれば一度全塗装された跡があるといいます。
また、ルーフ前部の塗装劣化や左ルーフモールは外れてしまっていることから、こういった部分は今後修理が必要と考えられます。
インテリアは経年による劣化が見られるものの、純正シートやシフトノブが残されており、ルーフライニングの状態や汚れやすいラゲッジスペースも良好な状態といえます。
なお、運転席シートは写真でも分かる程度のヘタリが見られ、またダッシュボードもテープ跡が確認できるなど、使用感はあります。
歴代のオーナーによるカスタムがされている点も今回のアルト ワークスの特徴といえ、先出のホイールに加え、ブースト計やアルミペダル、柿本製マフラーやエアクリーナーが交換され、スポーティな走行を楽しんでいたことが伺えます。
このアルト ワークスは444ドルで開始後、28件もの激しい入札合戦を経て8500ドルで落札。当時の新車価格110万円を超えるプライスとなりました。
米国では希少な5速MTの軽スポーツモデルという点に加え、複数のカスタム内容などが評価されたのか、28年前の過走行軽自動車としては異例ともいえる高値で取り引きされ、次のオーナーへと引き継がれていきます。
※ ※ ※
北米では「25年ルール」という決まりがあり、通常走行ができない右ハンドル車であっても製造から25年が経過すればクラシックカーとして登録でき、公道が走行可能になります。
近年は映画やマンガ、アニメなどの影響から日本車の人気が高まっており、その影響を受けて1980年代から90年代のスポーツカーが輸出され、高値で取り引きされています。
一方で、北米では軽自動車の人気が近年著しく高まっており、現地では全長5mを超える大型乗用車が少なくないなかで、4mを切るコンパクトなことや、愛らしい見た目で壊れない点、しかも燃費もよく、荷物もたくさん積むことができることなどが評価されています。
特に軽トラや軽バンが「JDM kei truck/van」として人気を博しているようですが、アルト ワークスや三菱「ミニカ ダンガン」、ダイハツ「ミラ アバンツァート」といった、かつて流行したホットな軽コンパクトも注目される存在です。
北米では軽自動車専門店も存在しているようで、25年経過した軽モデルは今後ますます需要が高まるかもしれません。
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