現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > [VW ゴルフ 50周年]ビートル後継モデル開発の舞台裏

ここから本文です

[VW ゴルフ 50周年]ビートル後継モデル開発の舞台裏

掲載 更新 1
[VW ゴルフ 50周年]ビートル後継モデル開発の舞台裏

1960年代後半、世界は様々な変革を迎えていた。自動車業界でも新たな動きが見られた。フォルクスワーゲン(VW)においては、『ビートル』の後継車が模索されていた。のちの『ゴルフ』だ。エンジニアやデザイナーたちは、大小さまざまな新型車のアイデアを練っていた。

実はビートル後継車には、VWにとって新型車1車種以上の使命が課せられていた。ビートルのアメリカへの輸出に収益を依存している状況はリスクをはらんでおり、1964年にアメリカから帰国し取締役に就任したカール・H. ハーン(後に会長)は「ビートルが心臓発作を起こせば、私たちの終わりを意味する」と当時述べている。ビートルの空冷エンジンや、リアエンジンで後輪を駆動するレイアウトも旧態化していた。

[VW ゴルフ 50周年]フォルクスワーゲンの歴史が切り替わった瞬間

ビートル後継車の開発作業は、この後、1960年代後半にウォルフスブルクで始まった。例えば、試作車の一つ「EA 266」は、車体中央床下にエンジンを搭載するユニークなフォーマットだった。1970年代初頭までは、実験や開発、そして選択肢の排除の連続だった。当時デザイン開発の先駆者だったイタリアのスタジオ、ベルトーネ、ギア、イタルデザイン、ピニンファリーナも関与していたという。

1970/71年ごろには、ビートル後継車の基本要件が確立していた。それは、フロントに4気筒直列エンジンを搭載し、トランスミッションもフロントに配置し、時代で古びないボディデザインを組み合わせる、というものだった。

いくつかの試作車の中で、1969年の「EA 276」は、後のゴルフの多くの特徴を備えていた。フロントエンジン、大きなトランクリッド付きのハッチバック、トーションビームアクスルなどである。ただボンネットの下には、ビートルと同じ空冷ボクサーエンジンが搭載されており、信頼性と低コストが重視されていた。

しかし空冷の時代は終わりを告げつつあった。EA 276のデザインは先駆的だったが、量産に向けて別のコンセプト車両がさらに開発され、新型車のデザインはジョルジェット・ジウジアーロ(イタルデザイン)が手がけることになった。

ついに新たな時代がゴルフで始まった。フロントエンジンと前輪駆動の時代だ。なお、この動きは、VWでは1973年に発表された『シロッコ』と『パサート』によって始動していた。またVWで最初のフロントエンジン・前輪駆動車は、1970年に発表された『K70』だ。NSUが開発していたミドルクラスのセダンで、NSUがVWグループになったことから、ラインナップの刷新を準備していたVWブランドで発売されたのだった。ビートルを置き換えた事実、そしてその後の成功の大きさから“革新的”という文脈で語られがちなゴルフだが、“満を持して”の登場でもあったわけだ。

こんな記事も読まれています

今さら聞けない「レスト・モッド」、なぜ注目? あの頃のポルシェが最新技術で蘇る
今さら聞けない「レスト・モッド」、なぜ注目? あの頃のポルシェが最新技術で蘇る
レスポンス
フィアット『500』にハイブリッド「Ibrida」、2025~2026年に欧州発売へ
フィアット『500』にハイブリッド「Ibrida」、2025~2026年に欧州発売へ
レスポンス
VW『ゴルフGTI』に高性能モデル「クラブスポーツ」登場[詳細画像]
VW『ゴルフGTI』に高性能モデル「クラブスポーツ」登場[詳細画像]
レスポンス
新「スポーツ・クロスオーバー」発表間近 VWと共同開発、フォード・カプリ復活へ
新「スポーツ・クロスオーバー」発表間近 VWと共同開発、フォード・カプリ復活へ
AUTOCAR JAPAN
露ラーダが新型コンパクトセダン『イスクラ』を発表、2025年から生産
露ラーダが新型コンパクトセダン『イスクラ』を発表、2025年から生産
レスポンス
業界のコニサーがオススメする20代で乗っておくべき10台のクルマとは?「ロードスター」「空冷911」それとも…
業界のコニサーがオススメする20代で乗っておくべき10台のクルマとは?「ロードスター」「空冷911」それとも…
Auto Messe Web
リマックCEO、15年越しの夢『ネヴェーラ』を受け取る…1940馬力のハイパーEV
リマックCEO、15年越しの夢『ネヴェーラ』を受け取る…1940馬力のハイパーEV
レスポンス
ブガッティが新型ハイパーカーを発表予定…『シロン』後継 6月20日
ブガッティが新型ハイパーカーを発表予定…『シロン』後継 6月20日
レスポンス
ノンレストアの極上「ストラトス」が約1億円で落札! 走行距離たった1万2000キロの「ランチア・クラシケ」承認済みの個体でした
ノンレストアの極上「ストラトス」が約1億円で落札! 走行距離たった1万2000キロの「ランチア・クラシケ」承認済みの個体でした
Auto Messe Web
CX-80を猛追!? VWに7人乗りSUV誕生。日本にも来そうなその名は「タイロン」!
CX-80を猛追!? VWに7人乗りSUV誕生。日本にも来そうなその名は「タイロン」!
ベストカーWeb
ランボのヘッドライトがフェアレディZのもの! アストンマーティンのテールランプはファミリア!! さらに地下鉄のランプまで……日本車からの意外すぎる流用パーツ
ランボのヘッドライトがフェアレディZのもの! アストンマーティンのテールランプはファミリア!! さらに地下鉄のランプまで……日本車からの意外すぎる流用パーツ
WEB CARTOP
[15秒でわかる]VW『ゴルフGTIクラブスポーツ』…高性能のさらに高性能
[15秒でわかる]VW『ゴルフGTIクラブスポーツ』…高性能のさらに高性能
レスポンス
シリーズ最強、VWのEVワゴン『ID.7ツアラー』に340馬力の「GTX」仕様…予約受注を開始
シリーズ最強、VWのEVワゴン『ID.7ツアラー』に340馬力の「GTX」仕様…予約受注を開始
レスポンス
コンセプトがおもしろかった1980年代の日本車3選
コンセプトがおもしろかった1980年代の日本車3選
GQ JAPAN
【ニューモデル情報】VWトランスポーターファミリー完成!VW、新型第7世代トランスポーターのシルエットを発表
【ニューモデル情報】VWトランスポーターファミリー完成!VW、新型第7世代トランスポーターのシルエットを発表
AutoBild Japan
シトロエン 収益性重視のため小型・大型車を廃止へ C5 X後継は「存在しない」と否定
シトロエン 収益性重視のため小型・大型車を廃止へ C5 X後継は「存在しない」と否定
AUTOCAR JAPAN
【FIRST PICTURE】 新デザインによる懐古主義からの脱却と伝統のV12気筒エンジンの共存「フェラーリ・ドーディチ・チリンドリ」
【FIRST PICTURE】 新デザインによる懐古主義からの脱却と伝統のV12気筒エンジンの共存「フェラーリ・ドーディチ・チリンドリ」
LE VOLANT CARSMEET WEB
常に時代の半歩先を行くラグジュアリーカー「メルセデス・ベンツ Eクラス」の歴史
常に時代の半歩先を行くラグジュアリーカー「メルセデス・ベンツ Eクラス」の歴史
グーネット

みんなのコメント

1件
  • pro********
    一口に「前輪駆動」といってもエンジンの搭載方向によって生じる問題は決して無視し得ないのですが、縦置きのK70やパサートも一緒くたにしているあたりからしてそこまで深くは考えていないようですね。

    比較的数の出ない派生モデル(シロッコ)を基幹モデル(ゴルフ)に先行させるのも、よくある話です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.9467.5万円

中古車を検索
ビートルの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.9467.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村