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【試乗】大幅改良したパサート オールトラックはDCTを多段化、さらにフットワークも格段に進化

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【試乗】大幅改良したパサート オールトラックはDCTを多段化、さらにフットワークも格段に進化

フォルクスワーゲンのDセグメントセダン&ワゴンのパサートシリーズがビッグマイナーチェンジを受けた。見た目の違いはさほど大きくないが、インフォテインメントや運転支援システムが強化された。今回はそのラインアップのなかでも、クロスオーバーSUVで4WDモデルの「パサート オールトラック」に試乗。進化のほどをレポートする。(Motor Magazine2021年6月号より)

フォルクスワーゲン初のLEDマトリックスヘッドライトを採用
フォルクスワーゲン パサートシリーズがマイナーチェンジを受けたことに伴い、その4WD版であるパサートオールトラックも新型に置き換わった。変更点の第一は運転支援システムやインフォテインメントの強化で、従来は渋滞時追従支援システムだったものが機能を強化して全車速域で作動するようになったほか、ハンドルを握っていることを判断するセンサーを従来のトルク検知式から静電容量式に置き換えて快適性を改善。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

さらに、フォルクスワーゲンでは初となるLEDマトリックスヘッドライトを採用して、視認性をさらに向上させたことが挙げられる。インフォテインメントでは9.2インチの大型モニターを初設定。その上、SIMを車載することにして常時コネクテッドを実現した。

前後のデザインが微妙に変更され、新しい「二次元系VWロゴ」が採用されたことも特徴だが、これらは新旧を並べて見比べない限り気が付きにくいだろう。それより重要なのはパワートレーン系の改良で、パサートシリーズ全体で見るとガソリンエンジンが従来の1.4Lから新型1.5Lに置き換えられたほか、2ディーゼルターボのDCT(DSG)が6速から7速に多段化されたことも特筆すべき点。

地味なところではガソリンエンジンにパティキュレートフィルターが追加され、Rラインのエンジンがガソリンからディーゼルに置き換わったことも挙げられる。このうちディーゼル専用モデルとなるオールトラックに関係するのはDCTの7速化くらい。ちなみに4WDの4モーションをパサートシリーズで唯一搭載する点も、オールトラックだけの特徴である。

ディーゼルエンジンは痛快。乗り心地の良さにも驚いた
今回、試乗したのは上級グレードのパサートオールトラック TDI 4モーションアドバンス。標準グレードに比べてインフォテインメントや運転支援系が微妙に充実しているほか、タイヤが1サイズ大きくなって18インチとなっていることが主な違いだ。

エンジン始動時は「ガラガラッ」という軽いノイズが聞こえるものの、走り出してしまえばディーゼルらしい部分はほぼ皆無。それどころか、ボトムエンドよりもエンジン回転を上げたほうが活発になるという、まるでガソリンエンジンのようなキャラクターを備えていることに驚かされる。

しかも、踏み続ければゼブラゾーンが始まる4500rpmを飛び越えてレッドゾーンすれすれの5000rpm近くまでタコメーターの針は上昇を続ける。なかなか痛快なディーゼルエンジンだ。

7速になったDCTはこれまでよりも一段と動作がスムーズになり、まるでトルコン式ATのよう。その一方で、アクセルペダルを戻したときにはエンジンブレーキが利いて減速Gを生み出すという、デュアルクラッチ式ならではの美点も備えていた。

そうしたドライブトレーン以上に印象的だったのが乗り心地の良さ。とりわけ低速域で段差を乗り越えたときのショックの吸収は模範的で、快適なことこのうえない。しかも、大きなうねりに遭遇してもたっぷりとしたサスペンションストロークで路面を捉え、ボディをフラットな姿勢に保ち続ける点も素晴らしい。Dセグメントのファミリーカーとして最上級の快適性と評価したい。決してシャープな性格ではないが、十分に正確なハンドリングにも不満はなかった。

シンプルな造形ながら良質な素材を用いて、ていねいに組み上げられたインテリアの仕上がりも上々。同じくきっちりとカーペットが敷き詰められた荷室はデコボコがなくて極めて使いやすそう。床面は長さ114cm、幅106cm(最小部分。もっとも広い部分は143cm)とそもそも広いが、後席はシートバックが3分割可倒式なので柔軟に使えそうだ。

正直、派手なところはない。けれども、それゆえに長く使えそうな質の高いファミリーワゴンとして、強くお勧めしたい。(文:大谷達也/写真:井上雅行)

フォルクスワーゲン パサート オールトラックTDI 4モーション アドバンス主要諸元
●全長×全幅×全高:4785×1855×1535mm
●ホイールベース:2790mm
●車両重量:1740kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1968cc
●最高出力:140kW(190ps)/3500-4000rpm
●最大トルク:400Nm/1900-3300rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:245/45R18
●車両価格(税込):604万9000円

[ アルバム : フォルクスワーゲン パサート オールトラック はオリジナルサイトでご覧ください ]

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