この記事をまとめると
■フランス車メーカーのルノーやシトロエンはグレード名によく「ZEN(ゼン)」を用いる
ワーゲンバスより目立つこと間違いなし! いまシトロエン・タイプHが世界的に「キテ」る
■フランスでは自動車業界以外でも「ZEN」という単語が頻繁に使われている
■「ZEN」は「禅」という仏教や東洋から由来している
欧州車で使われる「ZEN」とはどんな意味か
薄々、誰もが気づいていたことかもしれないが、フランス車はグレードなりインテリアのしつらえなり、「ZEN(ゼン)」と名づけるのが大好きだったりする。
ルノーはつい最近まで、カングーやルーテシアなどのエントリーグレードが連綿と「ゼン」を名乗っていたのはご存じのとおり。また、直近ではシトロエンが昨年10月に発表した「ë-C3」の内装インテリアを、「C-ZEN LOUNGE(シー・ゼン・ラウンジ)」と呼んでいる。
じつはフランスで「zen」という言葉は外来語として自動車業界以外でも頻繁に使われている。パリコレのレポートや有名人のファッションスナップ評で、「style zen(スティル・ゼン)」と形容されていたら、それは要素少なめで色合いもコントラストも大人しめのミニマルなコーディネイトだったりする。
また、バカンス用の観光案内等で「attitude zen(アティチュード・ゼン)」とか「ambiance zen(アンビアンス・ゼン)」とされるホテルやスパは、まったりと落ち着いた様子をウリにしていることが多い。ときどき、人工の滝が流れていたり、ハリボテの仏像の置物があるなどのカン違いもあるとはいえ……。
いずれ「禅」がサンスクリット語起源だとか達磨大師が始祖とまで知っていたら、フランスでは超インテリか哲学者レベル。とはいえ何となく仏教や東洋と結びつくだけでなく、「ゼン=視覚的にミニマルだけどマインドフルネス」というイメージは広く共有されている。
実際、シトロエンë-C3がインテリアのテーマとする「C-ZEN LOUNGE」は、まだ実車を見ていないのでコンセプトで伝わってくる限りだが、視覚的な煩さゼロのごくミニマルなダッシュボードでありながら機能面は充実。しかもスマートフォン連携でもスキのない、そんなモダンでインテリジェントな内装のことらしい。
また、ルノーは「ゼン」というグレード名こそやめてしまったものの、ルーテシアでは半分以上、アルカナやキャプチャーあたりではすべてのグレードで、ステアリングヒーターやシートヒーターまで標準装備だったりする。円安の影響でいまやドイツ車のハイエンド車種でも、けっこうオプション扱いになっていることが多い装備であることはいうまでもない。
ただ単にスカスカの状態を指して「ゼン」を名のらせるでなく、中身を充実させてこそという点が、フレンチなゼン・アティチュードの奥義のようだ。
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フランスは外来語に厳しいイメージあるけどけっこう日本語が元の言葉もあるのね。