今年2月にフルモデルチェンジしたホンダ「アコード」について、商品企画担当者にインタビュー。日本導入が遅れた理由やタイ生産にまつわる話などを訊いた。
月間目標台数300台
ハイラックスがさらにカッコよくなった! 2020年モデル登場
2020年2月21日、フルモデルチェンジした10代目ホンダ「アコード」が日本市場で“ようやく”販売開始された。というのも、北米市場では2017年秋から販売されているからだ。
日本市場で販売されるモデルは、ハイブリッドのモノグレード。レザーシートやサンルーフなどが標準装備されるため、価格は465万円に達する。かつてのアコードを知る者からすれば、驚きの価格だ。ボディも拡大され、全長×全幅×全高は4900×1860×1450mm。5ナンバー・サイズのアコード時代からすれば、もはや「レジェンド」級だ。
大きく、そして高価になったアコードにどれほどの需要があるのか? ホンダの販売計画台数は月間300台。1985年登場の3代目アコードが月間6200台、4代目アコードが8500台だったことを思えば、メーカーじしんも需要が高くないことを承知のうえでの導入だ。
販売台数がそれほど望めないにもかかわらず、なぜ日本市場に導入するのか?
今回、アコードの商品企画を担当した日本本部・商品ブランド部・商品企画課の古川博朗(ふるかわひろあき)主任にオンラインで、話を聞いた。
--アコードを日本に導入した理由を教えてください。
古川 アコードは40年以上の歴史を有します。歴代モデルを乗り継がれているお客様が一定数いるため導入しました。アコードという伝統名を絶やさないことも、ホンダの使命であると考えています。
--「インサイト」でカバーするのは難しいでしょうか?
古川 アコードより1クラス下のインサイトでは、サイズやクオリティの面でアコードの顧客をカバーできないと考えています。
--かつてのレジェンドほどの大きさになりましたね。
古川 「駐車場に入らない」といった物理的な理由によってアコードを諦めるお客様はいらっしゃいます。逆に大きさを評価されるお客様もいらっしゃいます。
--アコードの日本市場導入が遅れた理由を教えてください。
古川 世界同時の生産立ち上げが技術的に難しく、結果として日本市場導入は遅れました。ただし、日本市場のアコードは、すでに販売済みのモデルから得られたフィードバックによって、熟成を図っています。たとえば、アダプティブ・ダンパー・システムは、通常ふたつのモードですが、日本仕様はSPORT/NORMAL/COMFORTの3つから選べます。
--10代目の開発当初から日本市場導入は決まっていたのでしょうか?
古川 はい。当初から日本市場を見据えています。
--タイ生産モデルを“逆輸入”することにした理由とは?
古川 日本市場を含むアジア・オセアニア地域のアコード生産拠点として、物流面などを総合的に判断した結果、タイ生産になりました。タイ工場は、日本向け「フィット・アリア」などの生産によってノウハウを蓄積した結果、高いクオリティを実現しました。たとえば、日本のユーザーはボディカラーのムラに厳しいため、塗装の検査ラインを見直しました。日本上陸後は、狭山工場内に設けたPDIセンターで傷などをチェックしています。
--タイ仕様と日本仕様に違いはあるのでしょうか?
古川 法規対応部品と一部装備以外はおなじです。使用されるパーツ類に差はありません。
購入者の約60%が50~60代
--アコードをモノグレードにした理由とは?
古川 先代の9代目アコードは2グレード設定でしたが、60%以上のお客様が上級仕様を選ばれました。それを踏まえ、上級仕様のみにしました。販売店からは、「お客様が悩まれないため、商談が進めやすい」と、聞いています。
--北米市場などに設定されるガソリン仕様導入の計画はありますか?
古川 ありません。日本仕様はハイブリッドのみで開発が進められました。ガソリン・モデル導入を求める声はたしかにあります。そこで、ハイブリッドはエンジン音を工夫し、そういった声に少しでも応えました。
--販売状況や購入層を教えてください。
古川 昨年11月から~5月末までで累計約2300台です。月間目標の300台をわずかにうわまわっています。購入層の多くは50~60代で、全体の約60%を占めます。
--下取り状況は?
古川 アコードからの乗り換えが約60%です。残りの約40%は「オデッセイ」や「ヴェゼル」などのホンダ車や、トヨタ「クラウン」や「カムリ」などといったおなじ国産プレミアムセダンが占めます。欧州製セダンからの乗り換えもありました。
--ボディカラーの割合は?
古川 アコードには全5色設定されていますが、1番人気はコミュニケーションカラーのプラチナホワイト・パールで約60%。次にクリスタルブラック・パールで約20%、ルナシルバー・メタリックが約15%。残りの約5%がブリリアントスポーティブルー・メタリックとパッションレッド・パールです。
--やはり保守的なボディカラーが人気ですね。
古川 東京モーターショー2019や各地方モーターショーに展示したプラチナホワイト・パールのモデルを見て、同色の購入を決めた人が多数いました。“モータショー効果”が大きかったようです。
日本市場に新型アコードがなかなか導入されなかったため、「アコードの名は日本から消えるのではないか?」といった噂もあった。しかし、今回のインタビューで、ホンダがいかにアコードを大切なモデルとして捉えているかがわかった。
「マークII」「セドリック」「ブルーバード」など多くの車名が消滅した今、どんなに大きくなっても、どんなに高価になっても、アコードの車名が存続する価値は大きいように思うのだった。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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ケツはシビック
これでアコードですか