ポルトガル語で「驚き」を表す感嘆詞が車名というトヨタオーパ。ミニバンのキャビンスペースと多機能性、高級サルーンの走りを掛け合わせた5人乗りの「次世代ミディアム車」とうたって、2000年5月にデビューしたが、たった5年で消滅。今回はそんな儚い運命を辿ったオーパにスポットを当ててみたい。
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ
【BC中古車ウオッチ】時代の徒花! たった5年で人知れず消えていった悲しき「トヨタオーパ」を君は知っているか?
■ルーミー&トールがバカ売れする今なら5ドアハッチバックのオーパは売れる?
ミニバンでもないセダンでもない2BOXでもないトヨタの意欲作だった
2000年当時、全盛だったミニバンでもなく、セダンでもなくワゴンでもない中途半端なスタイル。でも今改めて見ても、デザイン的には前衛的で、2列5人乗りというシートレイアウトも、ルーミー&トールを少し大きくしたようなパッケージング。2列シートの5人乗りだからキャビンはミニバン並みに広く、足元、頭上空間とも余裕がある。今なら売れていたかも……。
5ドアハッチバックボディの全長は4250mmと短いが、プラットフォームはプレミオ&アリオンと共通で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2700mmに達する。
ロングホイールベース&ショートオーバーハングのボディを、ソリッド感のある面質で独創的にまとめたリアビュー
しかし空間効率の優れた5ナンバー車でありながら、売れ行きは芳しくなかった。25年前はまだまだ猫も杓子もミニバンという時代だったため、2列シートのオーパは見向きもされなかったのだ。当時、ベストカー本誌でも、なかなか登場する機会が少なく、似たような存在のナディアやルネッサ、ティーノ(前席3人乗りだったが売れ行きさっぱり)も同じような運命を辿った。
ただ魅力的な部分も多い。後席を畳むとフラットな荷室に変更されて、床面積が広い。走行性能が優れ、なおかつ荷室も使いやすかった。しかし、後席の格納方法が、座面を前側に反転させて背もたれを倒す方式で、荷室床面は長くできたが後席の背もたれが低かった。同様の方式がナディアにも採用されたが、後にSグレード以外は一般的な格納方法に変更されている。
オーパのコクピット。センターメーター、しかもデジタルメーターは時代の先をいっていた
搭載されたエンジンは1.8L、直4と2L、直4直噴の2種類。2Lにはトヨタ初のCVT「Super CVT」が組み合わされ、1.8Lには電子制御4速ATの「Super ECT」が組み合わされていた。2001年8月には、シートやドアトリムなどの表皮を変更して質感を高めるともにグレードも拡充。
さらに2002年6月にはマイナーチェンジを行って内外装のリフレッシュをすると同時に装備を充実させ、車両価格も一部のグレードを除いて2~6%値下げした。しかし、販売が好転することなく、2005年8月に販売終了。当然、2代目があるはずもなく、5年という儚い命だった。
■中古車価格は19.8万~39万円、流通台数はたったの2台
オーバーハングを極端に短く取り、タイヤをより四隅に配置することでゆとりのある室内空間を実現
オーパの新車登録台数は約5年間で7万8883台、月平均販売台数は1300台。となると、現在、中古車流通台数は案外多いのではないかと期待しながら、いざ大手中古車検索サイトを調べて見ると、なんとたったの2台。2002年式/走行距離1万kmが19万8000円、2001年式/走行距離4.9万kmが39万円だった。
前衛的なデザインで室内も広く、なんといっても知る人ぞ知る、あまり知られていないクルマなのだから欲しい人はぜひ!
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みんなのコメント
フランス車みたいな雰囲気の車で「トヨタも面白い車だすなー」と話したものです。
昔からのトヨタの客には理解されなかったようですが輸入車に乗った経験のあるひとには気に入られたみたいです。