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色気の雫が落とされたレーシー マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション

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色気の雫が落とされたレーシー マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション

MC20がケンタカクラではない理由

昨年ドライブしたクルマの中で、私的カーオブザイヤーに輝いたのはマセラティMC20だった。

【画像】マセラティMC20チェロ・プリマセリエ・ローンチエディション試乗の様子をみる 全63枚

カーボンモノコック製シャシーの中心に、マセラティ謹製のネットゥーノと呼ばれる630psもの最高出力を発生する3LのV6ツインターボエンジンが載っている。

なぜMC20の印象がダントツに良かったのかといえば、一言で言い表すのは簡単ではないのだが……性能面では車体がロードカーのレベルを超越して硬くて軽く、すぐに相思相愛になれるハンドリングを秘め、エンジンがパワフル&トルクフル。

しかしそれだけでは模範的なマセラティとはいえない。吹けあがっていく最中の野太い排気音、シフトチェンジの不協和音、ミドルレブからのターボの盛り上がり等々、たっぷりと込められた色気にこそモデナが薫るのである。

MC20のカーボンモノコックシャシーを設計しているのがイタリアのレーシングカー・コンストラクターであるダラーラであることは公然の秘密である。以前、そのダラーラが製作したダラーラ・ストラダーレなる公道を走るレーシングカーに乗せてもらったことがあるのだが、とにかく正確無比で無表情。まるで自動車界のケンタカクラだった。

そういえばかつてステアリングを握ったことがある純レーシングカーはおしなべて“速くてナンボ”の無表情だった。MC20はレーシングカーにマセラティの色気を何滴か落とした感じだったのである。

今回の主役はそのオープントップモデルのMC20チェロである。チェロ=空。ネーミングがいきなり粋なのである。

常時加速型、イタリアン・ジョブに浸る

青空に溶けてしまいそうなアクアマリーナ色のボディが美しい。

電動のトップはコクピットの上部のみで黒っぽいパネルになっている。斜め上方に跳ね上がるドアを開け、身体を雲のように白いシートに潜り込ませる。

ステアリングリムに使われているカーボン地が、内に隠された“炭素繊維製車体構造”を想起させる。やはりカーボン製のカバーの上にシフトボタンが配された細めのセンタートンネルはミッドシップマニアをニヤッとさせずにいられない。

パッセンジャーとの距離が酷く近くなるわけだが、それは副産物(?)のようなもの。より重量物を車体中心に近づけたい! というエンジニリング魂にこそ、マニアは心打たれるのである。

最大サイズのiPhoneを横向きにしたようなモニター内のスイッチで、実は液晶ガラスパネルになっているトップを開け放ち、ステアリング上に配されているブルーのボタンでエンジンを始動させる。するとクーペの時よりもさらに生々しく、背後からターボらしい若干不揃いな排気音が聞こえはじめた。

かつてビトゥルボ時代のマセラティのパワートレーンは、低めの1速でドンッとターボを覚醒させ、そこからブーストを保ったまま2-3-4-5速と繋いでいく常時加速型のマナーを持っていた。

以前のMC20も今回のチェロの加速にも、そんなビトゥルボの片鱗は感じられた。スポーツモードを選び、シフトパドルでデュアルクラッチATを操り、エンジンを8000回転近くまで引っ張れば、矢継ぎ早のシフトを要求される。これはドイツにもイギリスにもありえないイタリアンの性質である。

欲しいのはサービス精神ではなく一体感

低回転でトルク、ターボが本領を発揮する高回転域ではパワーが弾けるネットゥーノは相変わらずすばらしいエンジンだと感じた。過給のありなしに関わらず、自然吸気エンジンのようなレスポンスを示してくれるのだ。

だが630psものアウトプットを誇るエンジンを「自信をもって踏ませてくれる」のはシャシーの功績に違いない。カーボンモノコックのミッドシップスーパースポーツというとパッと思い浮かぶ比較対象はマクラーレンになると思う。

だが例えチェロのサスペンションセッティングをソフトにしても、スポーツシリーズのマクラーレンほど乗り心地は良くない。絶えず路面のザラザラ感を伝えてくるし、高速道路の継ぎ目からの入力がそのままダイレクトに伝わってくる時もある。

でもそれはエンジンが時おり発する不協和音と同じように、レーシングライクな味つけなのだと解釈したい。

もちろんスイッチ操作ひとつで雲に乗ったような乗り心地からF1マシーン風のダイレクト感まで瞬時に替えられたら夢のようだが、純粋なスポーツカーがそこまでサービス精神に富んでいる必要はないと思う。それよりもドライバーの意思を105%くらい、微かに盛って表現してくれるドライバビリティの方がよほど重要だと思う。

MC20と同じように今回のチェロも、ちゃんと飛ばして走った時にハッキリと“ゾーンに入った!”と感じられる、一体感溢れるドライバビリティの持ち主だったのである。

試乗車のスペック

価格:4438万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4670×1965×1215mm
最高速度:320km/h以上
0-100km/h加速:3.0秒以下
駆動方式:MR
車両重量:1750kg
パワートレイン:V型6気筒DOHC2992cc+ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.44kg-m/3000~5750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:245/35ZR20(フロント)305/30ZR20(リア)

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みんなのコメント

2件
  • まこと
    なるほどね、日本のナンバープレートつけようとしたらこになっちゃうんだ。
    確かにエンブレム被せるわけにはいかないわな。
    この車欲しい。
  • ori********
    マセラティのエクステリアは素晴らしい。ただインテリアのデザインが一昔前なのが残念。新鮮さに欠ける。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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