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乗ってわかった日産「セレナe-POWER ハイウェイスター/ルキシオン」の買い得度

掲載 更新 52
乗ってわかった日産「セレナe-POWER ハイウェイスター/ルキシオン」の買い得度

今では多人数乗車、国産ミニバンの中心になっているのが、Mクラスボックス型ミニバンである。アルファード、エルグランドが君臨するLクラス、シエンタ、フリードが属するSクラスの中間に位置し、スライドドアを備え、ボックス型ならではのゆとりある室内空間に3列シートを配した、取り回し性にも優れるある意味万能のクルマと言っていい。

そんなMクラスボックス型ミニバンは、トヨタ・ノア&ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴン、そして日産セレナがしのぎを削っているのだが、6代目新型セレナが登場したことで、Mクラスボックス型ミニバンの最新型が出揃ったことになる。

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「セレナe-POWER ハイウェイスター/ルキシオン」試乗レポート

ここでは、前回、お伝えした新型セレナの概要、パッケージの報告に続き、新型日産セレナのe-POWER、ハイウェイスター、および最上級グレードとなる、プロパイロット2.0を搭載するルキシオンの試乗記をお届けしたい。

まず、新型セレナの魅力と言えるのが、日産自慢の100%電動駆動となるe-POWERを用意していること。そしてライバルとは違い、クラス唯一の5ナンバーとなるボディ(ガソリン標準車)を基本にし(最大全幅1715mm=3ナンバー)、最上級グレードのルキシオングレードを除き、2列目席キャプテン&ベンチシート自在による全車8人乗りを実現。さらにボックス型ミニバンのウィークポイントである車体後方にスペースのない場所に止めてもラゲッジスペースの荷物の出し入れを容易にするデュアルバックドアを先代に引き続き採用していることなどが挙げられる。

さて、新型セレナのe-POWERハイウェイスターに乗り込めば、新型らしさは一目瞭然。何しろメーターパネルはフードレスのタブレットのような大型液晶メーターとなり、その横に大型液晶のセンターディスプレー(純正ナビ)が並ぶ、電気自動車のアリアを思わせる先進感が演出され、シフターもプッシュボタン式電制シフトが採用されているのである。

もちろん、ファミリーミニバンとして不可欠な”運転のしやすさ”もぬかりなし。パノラミックなフロントウインドー、特徴的な前席ショルダーラインのシュプールライン、先代より下端が低まったリヤウインドー=デュアルバックドア部分によって、全方向の視界はルーミーだ。

e-POWERハイウェイスターで走り出せば、出足からモーター走行。100%電動駆動の電動感の極めて強いドライブフィールを味わせてくれる。軽くスッキリとしたパワーステアリングの操舵感も好印象。誰もが運転のしやすさを実感できるに違いない。ちなみに、贅沢なデュアルピニオン式パワーステアリングのラックマウントは、世界のコンパクトカーのベンチマークであり続けている、歴代ゴルフの超完成形と言われているVWゴルフのVIIをベンチマーク(フロントサスも)にしているとのことだ。

エンジン性能は?

加速力も文句なしだ。先代では1.2Lエンジン+モーターのe-POWERより2Lエンジンを積むガソリン車のほうが速く感じるシーンもあったわけだが、この新型では第二世代e-POWERを新採用。発電専用のエンジンは1.4Lに改められ、EM57と呼ばれるモーターも先代の95ps、32.6kg-mから163ps、32.1kg-mへと大幅にパワーアップ。新型で8人乗りとなったe-POWERモデルのほうが圧倒的に速くなった印象が持てる。

ちなみにその印象は、エコ/スタンダード/スポーツの3種類あるドライブモード(+EVモード)がスタンダード以上での話(スイッチの位置がサクラ同様にステアリング右下のブラインド操作しにくい場所にあり不満だが)。

燃費重視のエコモードではアクセルレスポンスと加速力が急激に穏やかになり、幼児やペットを乗せてゆったり走りたいときには好都合ながら、キビキビした走りには不向き。一方、スポーツモードではアクセルレスポンスの高まりと持ち味のパワフルでスムーズな加速力が一段と高まるとともに、アクセルペダルを踏む右足と駆動モーターが直結しているかのような、100%電動駆動車感をダイレクトに感じることができるようになる。車種によってはエコモードでも不足なく走ってくれるクルマもあるのだが、新型セレナに関してはスタンダードモードの常用がベストだと思える。

ガソリン車よりフロントで約80kg、リアで約20kg重くなり、e-POWER専用の足回りを持つe-POWERハイウェイスターの乗り心地は、先代の穏やかさ重視のタッチから、しっかり感と快適さを見事にバランスさせているのが特徴だ。先代ユーザーなら「ちょっと硬めになったかも」と思えるかも知れないが、荒れた路面やゼブラゾーン、段差などでの不快なショック、振動は抑え込まれ、うねり路の通過を含めた足回りの収まりの良さはなかなかだ。

新型日産セレナのe-POWERハイウェイスターでは山道も走行したのだが、操縦性は穏やかながらリニアなステアリングの応答性によって狙い通りのラインを取りやすく、それは運転のしやすさに直結。ただし、ライバルに対して依然、フロア(セレナのみスライドドアからの乗降は2ステップで、フロア地上高はノア&ヴォクシーの380mm、ステップワゴンの390mmに対して485mm)と重心が高く、カーブでの傾きは決して小さくない。勢いよくカーブに飛び込んだり高速レーンチェンジを行う際には、フロントシートのサイドサポートを重視していないため(リラックスした運転姿勢を重視)、上半身の左右への動きもまた少なくないのが惜しまれる。

もっとも、4輪のタイヤがしっかりと路面を捉え続ける安定感によって、運転初心者であろうと、運転熟練者であろうと、少々飛ばしても不安はない。いや、走りが思いのほか気持ちいいと感じるほどである。ゆったり走っている限り、乗員の頭の動きを抑制してくれる制御も盛り込まれているため、車酔いのしにくさも新型セレナの売りのひとつとなっている。

ボックス型ミニバンウィークポイントのひとつとなっているのが、スピーカーボックス的なボックス型ボディならではのこもり音の発生だ。しかし新型セレナではこもり音を徹底的に排除するとともに、車内へのロードノイズの侵入はe-POWERハイウェイスターの場合、最小限。排気量の小さい発電専用の1.4Lエンジンを回したときのノイズレベルの低さも特筆モノで、総合的な車内の静かさはクラスベストと言っていいほどだ。

そうした走りの良さ、操縦性の良さ、車内の静粛性の高さを実現できた理由のひとつとして、剛性面での飛躍的な向上が挙げられる。実際、ボディ剛性のUPは当然として、先代比でサスペンション剛性50%UP、ロール剛性20%UP、コーナーの安定感23%UPを実現しているとのこと。

ファミリーミニバンで「そこまでやる必要があるのかっ」と思いがちだが、それには大きな理由がある。つまり、新型セレナの最上級グレードとして、プロパイロット2.0を搭載するルキシオンがラインナップされている点である。

プロパイロット2.0を標準装備

ルキシオンに標準装備されるプロパイロット2.0は高精度地図データと360度周囲センシングによる同一車線内のハンズオフが可能で、前方車の速度に応じて、システムが追い越しを提案し、ハンドルに手を添えスイッチを押すだけで車線変更を支援してくれるなど、極めて高精度な走行を行う。そのため、車両の操縦性、動的レスポンス、安定感もハイレベルなものが要求され、同じ16インチサイズながらルキシオン専用タイヤ(より応答性に優れたスポーティと言っていいタイプ)が奢られるのだ。そのハイレベルな走行性能が新型セレナの基本となり、プロパイロット1.0を用意するe-POWERハイウェイスターにも惜しみなく備わっていることになる。

ところで、新型セレナはアウトドアや車中泊、災害時の避難場所としても適するシートのフラットアレンジにおいて、クラスベストであると断言したい。その理由のひとつがセレナだけのスマートマルチセンターシートにある。ノア&ヴォクシーやステップワゴンの2列目席は、購入時にキャプテンシートまたはベンチシートを選ぶ必要があり、もしキャプテンシートを選択したとすれば、横スライド機構を廃止したノア&ヴォクシーの場合は2/3列目席フラットアレンジ時の2列目席左右部分に隙間ができてしまい、2人の就寝には大きな影響がないものの、車内をお座敷化する際のデメリットになる。また、ステップワゴンのキャプテンシートは6代目となって初めて中寄スライド機構を採用し、ベンチシート化が可能なものの、2列目キャプテンシート2座をくっつけただけのシート幅は新型セレナのスマートマルチセンターシート使用時の1260mmに対して1030mmと狭くなってしまうのだ。

さらに、2/3列目席フラット化では、新型セレナはもっとフラットかつ隙間なくアレンジでき、その全長は2150mmとクラス最大(ノア&ヴォクシー2080mm、ステップワゴン2040mm)。長身の人でも足を真っすぐに伸ばして横になることができ、さらにマットレスなどを敷かなくても快適に真横になれるベッドに変身させられるのである!!

一方、16インチホイールのデザインが専用化され、インテリアと装備も一段と豪華になる最上級グレードのルキシオン(479万8200円!!)の走行性能はといえば、動力性能のゆとりはe-POWERモデル同様ながら、操縦性は僅かだが、ステアリング応答性のさらなる良さが認められる。ただし、プロパイロット2.0に対応した専用タイヤによる乗り心地はやや硬めになり、車内へのロードノイズの侵入も僅かとはいえ高まる。

個人的には、先進運転支援機能を極めたハンズオフドライブまで求めないのであれば、購入時の税額でも有利なハイブリッドのe-POWERハイウェイスターで十二分に新型セレナの魅力、商品性の高さを味わえると思える。推奨グレードはエアロ系エクステリアデザインを持ち、装備も充実して新型らしさを120%味わえるWLTCモード燃費19.3km/Lのe-POWERハイウェイスターV(368万6100円/防水シート仕様は373万0100円)である。AC100V/1500Wコンセントを備えれば、電源付きのマイルーム、ベッドルームとしても活用でき、アウトドア、車中泊、災害時に大活躍してくれること必至である。

文/青山尚暉
写真/日産・青山尚暉

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