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清水草一がフェラーリ328GTSで訪れた南房総の新名所!『THE MAGARIGAWA CLUB』

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清水草一がフェラーリ328GTSで訪れた南房総の新名所!『THE MAGARIGAWA CLUB』

これまで10台以上の中古フェラーリを所有してきた清水草一が、本人の"愛馬"328GTSに乗ってショートトリップ。南房総に誕生したアジア初のドライビングクラブ、『THE MAGARIGAWA CLUB』を訪れた。

フェラーリにふさわしい目的地が欲しい

情熱的コレクターの希望を取り入れてデザインされた、フェラーリ最新ワンオフ!「488 GT3 Evo 2020」ベースの「フェラーリ KC23」誕生

30年前にフェラーリのオーナーになって以来、「日本にはフェラーリで乗っていくところがない」と思っていた。
そもそも自分は、大衆でありながらフェラーリを購入した者なので、ハイソサエティな社交の場など、あっても無縁に決まっているが、社会的な地位に関わらず、日本にはフェラーリで乗っていくところがあまりない。30年たった現在も。
個人的には、それに関して何の不満もない。かつては箱根のワインディングや常磐道が日常の目的地で、たまにサーキット走行会に参加して他流試合を楽しんだ。現在は、C2(高速中央環状線)の全線開通で都心部の渋滞が激減した首都高が、わがフェラーリ・ライフの庭である。328GTSで首都高を1周して戻ってくれば、強烈な満足感と快感で、"生きててよかった"と思える。
しかし、ハイソサエティに属する方は、それでは満足できないだろう。フェラーリにふさわしい目的地が欲しいはずである。
そこは、クルマが主役の場でなくてはならない。どんなに素敵なホテルに乗り付けても、フェラーリを駐車場に置いたままでは、自分がフェラーリと切り離されて、フェラーリで来た意味が半減する。フェラーリはスーパースターなのだから、自分とともに目立たなくてはいけない。
そういう常設の場はどこにもないので、結局、高速道路のSAやPAに集合するしかなかった。それはそれで楽しいが、周囲の目は温かいとは言えないし、フェラーリにふさわしい華やかな舞台でもない。
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが、そんな場所を作ってくれたという。南房総のTHE MAGARIGAWA CLUB(以下TMC)である。施設の概要は、ニュースで見知っていた。富裕層向けのドライビングクラブであり、入会金3600万円(2023年6月末締め切り募集分)であるという。大衆の興味の対象としての報道ゆえに、浮世離れしたゴージャスさが強調されていた。

ティルケ設計と知った段階で見る目が変わった

個人的に興味を持ったのは、ゴージャスな施設よりも、どんなコースかということだった。全長約3.5km。本格的なサーキットレベルである。ただ、勾配がすさまじい。下り最大16%、上り最大20%! 箱根ターンパイクでも最大勾配10%だ。その2倍! "峠道のよう"と伝え聞くが、それをはるかに超えるジェットコースターらしい。
ただ、設計したのは、あのティルケだという。正確には、ヘルマン・ティルケ氏率いる『ティルケ・エンジニアーズ&アーキテクツ』である。F1開催サーキットを19も設計した超名門。日本では、富士スピードウェイを手掛けている。あの後半のクネクネしたテクニカルな部分はティルケ設計なのである。
私はあの区間が大好きだ。一見どうコース取りしていいのか戸惑うが、一度攻略法を覚えると、何度走っても奥が深くて楽しい。人はこれを"ティルケ・マジック"と呼ぶ。458イタリアに乗っていた時は、この区間であらゆるクルマを抜きまくった。以来、私はティルケが大好きになった。
TMCがティルケ設計と知った段階で、私の見る目は変わった。下り勾配の恐怖よりも、興味が勝ったのである。というわけで、今回の地味トリップは、我が328GTSで、南房総の地を目指すことにした。

山中に突如コロッセオが現れたよう

南房総は亜熱帯だ。アクアラインで海を渡り富津館山道を南下すると、植生がみるみる亜熱帯と化す。湘南が日本のコート・ダジュールだとすれば、南房総はシチリアだ。開放的で気取らない空気が横溢している。富津館山道は東名などと違って、大型トラックがほとんどいない。道中からリゾート感満点で、思わずルーフを開け放ちたくなった。東京からわずか1時間あまりでシチリアに行けるのなら、フェラーリで向かうしかなかろう。終点の富浦インターからカントリーロードを走って約10分。そこにTMCの入口が待っている。
入場間もなく、下り勾配が行く付くスプーンカーブの巨大な擁壁が見えてきた。山中に突如コロッセオが現れたようである。すごいものができている。
コースに沿ってアクセス路を登ると、視界が開け、山の頂上部にクラブハウスが姿を現した。空が広く、風が抜ける。冬の晴れた日は富士山が見えるという。"山の中のサーキット?"という疑問が一気に氷解した。ここは気持ちのいい、山のてっぺんなのだ。
続いて度肝を抜かれたのがピットだ。まるでハイクラスホテルのロビーである。ロビーの中に車寄せがあると言ったほうがいい。ピットスペースの後方にはソファがしつらえられている。こんなピットがあっただろうか? 間違いなく世界初だ。

「あれっ、怖くない!」

驚きとともに、スケジュールの関係で、慌ただしくコースインした。
まず現れるのが、強烈な下り勾配だ。ここが16%の勾配だろうか。峠にも滅多にない斜度だが、コース幅がまったく違うので、思ったほどの怖さはない。
左コーナーをふたつ抜けると、いよいよ800メートルの下りストレートだ。鈴鹿のグランドスタンド前とほぼ同じ長さが、ずっと下り勾配なのだから、その恐ろしさはいかなるものかと構えていた。
「あれっ、怖くない!」
この区間の下り勾配は、思ったよりはるかに緩かった。ストレートエンドのスプーンカーブは、ティルケ設計らしい奥の深いテクニカルなコース取り。攻略は難しいだろうが、なにしろティルケだ。F1ドライバーを満足させる設計なのだから、難しさは一流の証である。

折り返すと緩い上り勾配のストレートに続いて、ティルケらしいテクニカルセクションに差し掛かる。右へ左への折り返しに、かなりの高低差が加わる。これまたテクニカルでチャレンジングだが、ランオフエリアが広く、舗装されているので、コースアウトによるマシンへのダメージを過度に恐れず、思う存分攻めることができる。
このコースなら、我が328のようなクラシックモデルから、最新の最速系モデルまで、あらゆるクルマでドライビングが楽しめる。なにも、ギリギリまで攻める必要はない。そもそもここはサーキットではなく、ドライビングコースなのだ。目を三角にしてタイムを削っても意味はない。あくまでドライビングを楽しむ場なのだ。

あのKANAYA RESORTSが担当するというホスピタリティについては、編集担当による解説もご覧頂きたいが、ひと言で表せば、"最上の満足"である。すべてが、ここに来るハイソサエティたちをいかに満足させるかを考え抜いて設計されており、表面的なゴージャスさよりも、ナチュラルな満足を目指している。つまり、間もなく日本に初めて、フェラーリで向かうべき最上の目的地が完成するということだ。

編集担当によるコース解説

2015年にコーンズの渡代表がリゾートを併設したスペインのアスカリ・サーキットを見たのが、アジア初となる会員制ドライビングクラブ『THE MAGARIGAWA CLUB』(以下TMC)誕生の原点。東京都心、特に羽田空港からクルマで約1時間の距離で探したところ、南房総市の現在地が見つかった。
コース設計を担当したのは世界中のF1コースを担当してきたティルケ・エンジニアーズ&アーキテクツで、800mのストレートと、高低差がある気持ちよく走ることを追求したツイスティな22のコーナーを兼ね備えた魅力的なコースレイアウトとなっている。一方で目に見える安全性にも拘り、ガードレール、テックプロバリア、デブリフェンスなどはF1で使用されるのと同等のものを採用。FIAの基準に準拠できるほどのレベルを目指したそうだ。

編集担当による施設解説1




オーナーズパドックと呼ばれる分譲タイプの宿泊ヴィラは、コースを眼下に望む景観のよさやオーナー専用ガレージ、コンシェルジュサービスの付帯などが特徴。使用しない時は施設側でホテル使用として枠を買い取ることもあるそうだ。サイズ違いで合計9戸用意されたが、既に第1次販売分は完売。あまりの好評ぶりに、戸数を増やすべくさらに14戸の建設を準備中とのこと。




まるで高級ホテルのロビーのようなピットレーンは、もちろん冷暖房完備。レース場ではないから作業をする必要がなく、ピット特有の"現場感"をなくせたのは大きいだろう。外に出ると目の前がコースだが、スターティンググリッドが必要ないので、ホームストレートの加速ではなくコーナリングを見学できるのもサーキットと大きな違いとなっている。オーナーズガレージと呼ばれる、約300台を収容できる長期保管ガレージも用意される。

編集担当による施設解説2






ドライビングコースがあるとは俄かに信じ難くなるような、高級リゾートといった雰囲気。施設を例に挙げると、ダイニング、インフィニティプール、ジム、トリートメントスペース、ヨガルーム、バーラウンジ、シミュレーターなどを備える娯楽室、ファミリーラウンジテラスとなり、しかもクラブハウス全体のホスピタリティはKANAYA RESORTSが担当するというから万全だ。
他にも富士植木が担当する日本庭園、竹藝家の中臣一氏が約1万2000本の竹ヒゴを使用して1年かけて作ったという作品、アーティスト森勉氏の絵画、アルミの色をひとつずつ変えて自然に馴染むよう工夫したルーバー、MAGARIGAWAのロゴをモチーフとした欄間などなど、拘っていない部分は1ヵ所も感じられないほど驚くほどの作りこみだった。まさに家族や友人と積極的に訪れたい場所と言えよう。

INFORMATION
THE MAGARIGAWA CLUB

●所在地:千葉県南房総市 ●敷地面積:約100万平方メートル ●コース設計:全長3.5km/上り20%/下り16%勾配/ストレート800m/コーナー22/高低差80m ●メンバーシッププログラム(正会員)
会員上限:500名/入会金:3600万円(2023年6月末までの価格)/年会費:22万円(同)/有効期限:無制限(5年間は譲渡付加)/更新費:なし/コース利用日数:315日前後(年間90%)/コース利用料:1万1000円(1セット半日)/ゲストドライバー費用:5万5000円(1セット半日) ●メンバーシッププログラム(アソシエイト会員)
会員上限:750名/入会金:400万円(2023年6月末までの価格)/年会費:105万円(同)/有効期限:5年間毎更新/更新費:180万円(同)/コース利用日数:270日前後(年間75%)/コース利用料:1万1000円(1セット半日)/ゲストドライバー費用:5万5000円(1セット半日) ●問い合わせ
https://www.magarigawa.com/
phone:03-5730-1606
e-mail:club.magarigawa@cornes.jp *グランドオープンを記念したイベント『房巛走巛祭(ぼうそうさい)』が7月29、30日に同クラブで開催。詳しくは下記にて。
https://bososai.jp/ *当記事はSCUDERIA No.141より転載致しました。他にもフェラーリの最新トピックや周辺のライフスタイルが満載です。ぜひご覧ください。
http://www.scuderia-mag.com/

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