2023年秋に開催されたジャパンモビリティショー2023。そこに出展され話題となった中国製高級ミニバン、DENZA D9は日本に対する黒船となりえるのか? その魅力と実力に海外試乗で迫った!!
※本稿は2023年12月のものです
文/大音安弘、写真/ベストカー編集部、BYD
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
中国市場で2ヶ月で3万台受注の超実力派!! 4人乗り仕様も登場!? BYDの高級ミニバン「DENZA D9」 PHEVモデル試乗でわかった実力
■中国版アルファードなのか!?
ジャパンモビリティショー2023に出展されたデンザ D9。中国版アル/ヴェルといった雰囲気だ
JMS2023で、日本初披露された中国製高級電動ミニバン「デンザD9」は、中国版アル/ヴェルの日本進出か!? と大きな話題となった。まずは簡単にそのデンザについて解説したい。
同社は、2010年にBYDとダイムラー(現メルセデスベンツグループ)が共同出資した合弁会社「シンセンBYDダイムラーニューテクノロジー」が原点で、後に「デンザ」を名乗る。当初は共同開発による中国向け電動車の新車投入を行っていた。
しかし、2022年にダイムラーは株式をBYDに譲渡し、持株比率を10%まで縮小。協業関係は継続するが、実質的にBYD傘下に収まった形となった。その後のテコ入れとして、新型車を続々と発表。その第一弾がD9なのだ。
中国で2022年5月に発売され、2カ月で3万台を受注したという同車は、全長5m超えのラージミニバンだ。パワートレーンは、BEVとPHEVを展開。内装こそ共通だが、顔はパワートレーンによって異なる。
大きな違いはEVが縦基調のグリルとされるのに対して、PHEVは横基調とされている。2024年には4人乗り豪華仕様「D9プレミア」が登場予定だ。
■その完成度は侮れない!
筆者は2023年9月に中国・深セン(センは土ヘンに川)にあるBYD本社を訪れた際、PHEV「D9DM-i」に短時間だが試乗することができた。感想はちゃんと高級車を目指して開発されているな、というものだ。
外装・内装ともに上質さを意識した作り込みで、まさに彼の地では、アルファードとガチンコ勝負になりそう。確かに外観は、先代アルファードとイメージが重なるが、よりメッキパーツを多用し、フォーマルさを強調している。
内装では独自性も発揮。BYDお得意の回転機能付センタータッチスクリーンやシフトまわりにボタンを集約したセンターコンソールを備える。後席はセカンドがキャプテンシート、サードがベンチシートの7人乗りだが、シートデザインに一体感があり、見た目も美しい。レザーシートの手触りと座り心地も上々だ。
試乗は、構内道路に限定され、最高時速50km程度。EVモード走行となったが、その走りはしなやか。そのビジュアルを裏切らない立ち振る舞いを見せる。
また大きさを意識させず、運転もしやすかった。ドアの開閉やウィンカーレバーの操作の感触もいい。これだけで評価を下すのは早計だが、その完成度は侮れないと感じたのも事実だ。
DENZA D9 DM-i 945 DELUX 主要諸元
・全長×全幅×全高:5250×1960×1920mm
・ホイールベース:3110mm
・パワーユニット:1.5Lターボ+モーター
・エンジン出力:139ps/23.6kgm
・モーター出力:231ps/34.7kgm
・システム総合トルク:58.2kgm
・バッテリー容量:11.06kWh
・最小回転半径:5.95m
・航続距離(NEDC複合):945km
・価格(中国国内):33万5800元(日本円換算 約695万円)
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東南アジア市場が心配です。