現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 高速道路での2人乗り、場合によっては違反!? 意外と知らないバイクタンデムの基礎知識

ここから本文です

高速道路での2人乗り、場合によっては違反!? 意外と知らないバイクタンデムの基礎知識

掲載 47
高速道路での2人乗り、場合によっては違反!? 意外と知らないバイクタンデムの基礎知識

バイクに2人乗りをするシチュエーションに憧れた人も多いのではないだろうか。甘いデートの光景として、ドラマやマンガで描かれることも多いバイクの二人乗り、通称「タンデム」。

しかし、排気量や装備によってタンデムができないバイクがあること、免許取得直後からタンデムができるわけではないこと、タンデムが禁止となっている道路区間があることなど、複雑なタンデムのルールをしっかりと知っている人は案外少ないのではないだろうか。
「自分は2人乗りをしないから知らなくても……」と思っていると、いざという時困るかもしれない。
そこで本記事では、タンデムの豆知識を交えながらそのルールについて見ていこう。

【関連画像11枚】タンデムできるバイクとできないバイクの違いを写真で解説!!

そもそも「タンデム」という言葉の由来は?

バイクにおける「タンデム」とは、ライダーの後ろに「パッセンジャー」と呼ばれる同乗者が乗り込み、2人乗りをすることである。

「タンデム」という言葉は元々、馬車が日常的に使われていた時代に馬を縦並びに配した2頭立ての馬車として使われていた用語である。その後、自転車が一般的に流通すると2人乗り用自転車のことを「タンデム自転車」と呼ぶようになり、転じてライダーとパッセンジャーが縦列に並んで乗車するバイクの2人乗りを「タンデム」と呼ぶようになった。
よって、サイドカーなどのようにライダーとパッセンジャーが横並びになって1台のバイクに同乗する場合、「タンデム」とは呼ばないことが多い。

50ccを超える原付二種以上の多くのバイクには、シートの後ろに「タンデムシート」と呼ばれるパッセンジャー用の座席、「タンデムステップ」と呼ばれるパッセンジャー用の足掛け、パッセンジャーがつかまっておくためのグラブバーやベルトなど、タンデム用の装備が備えられている。パッセンジャーはこの装備を使って、ライダーが運転するバイクに同乗するのだ。

タンデムが可能なバイクの条件とは?

道路交通法と道路運送車両の保安基準(2020年4月1日現在)によると、タンデムが可能なバイクは50ccを超える原付二種以上の車両で、パッセンジャー用の装備「タンデムシート」「タンデムステップ」「パッセンジャーがつかまっておくことのできるパーツ」の3点が備えられた乗車定員2名以上のものに限定される。

なお、タンデムシートには、ライダー用のシートとつながっているように見える(実際につながっているものもある)一体型と、ライダー用のシートと完全に分かれている独立型がある。「パッセンジャーがつかまっておくことのできるパーツ」には主に「タンデムベルト」と「グラブバー」の2種類がある。

小排気量のスクーターから大型スポーツバイクまで、様々なモデルを幅広くラインアップするホンダに、バイクの乗車定員が2名となる詳しい条件を聞いた。広報担当者によると、バイクの乗車定員を2名とするために必要な「パッセンジャー用の各種装備」とは、パッセンジャー用のシート、ステップ、パッセンジャーが掴むためのベルトもしくはグラブバーの3点のことを指すが、この3点にはそれぞれ明確な基準はなく、何をもってして「備えている」とするかは難しいのだそうだ。

わかりやすい例として、ホンダの人気原付二種車両であるCT125・ハンターカブとモンキー125の対比を紹介してもらったので見てみよう。

CT125・ハンターカブには「タンデムステップ」と「グラブバー」が備えられているのを確認できる。一方でメインシートの後ろはリヤキャリアとなっており、一見すると「パッセンジャー用のシート」を備えていないように思える。

しかし「パッセンジャー用のシート」には「クッションが敷かれていなければいけない」というような基準はない。そこで、パッセンジャーが安全に腰掛けられるスペースがあれば良いというという考え方から、リヤキャリアを「パッセンジャー用のシート」と解釈し、CT125・ハンターカブの乗車定員はノーマル状態でも2名となっている。

次にモンキー125を見てみよう。
シートの長さから見ると、とても小柄なライダーなら2人が縦に並んで腰掛けられそうにも思えるが「タンデムステップ」と「パッセンジャーがつかむためのベルトもしくはグラブバー」は装備されていない。
そのため、モンキー125のスタンダード状態では乗車定員が1名となっている。

よって、同メーカー、同排気量の車両でありながら、CT125・ハンターカブはスタンダード状態のままタンデム走行をしても法律、保安基準上問題なく(キャリヤに直接座るとお尻が痛くなること必至なので、どうしてもタンデムをする場合にはクッションを敷くなどすることをおすすめする)、一方でモンキー125でタンデム走行をしたい場合にはアフターパーツなどを利用してタンデムステップを増設し、乗車定員の変更を届け出なければならないという違いが生まれている。

なお、届け出ている乗車定員を超える人数で乗車した場合、道路交通法57条に定められた「定員外乗車違反」となり、二輪車6000円(原付は5000円)の違反金と1点の違反点数が課されるので注意が必要だ。

このように、一見しただけではなかなか「タンデムが可能なバイク」を見分けることができない。そんなときには各メーカーが公式ホームページやカタログなどで公開している車両諸元の「乗車定員」を見てみるのが確実だ。乗車定員に2名と書いてあれば、法律及び保安基準上、そのままの状態でタンデム走行をすることができる車両と言える。

では、絶版車などメーカー公式ホームページやカタログの確認が難しい車両については何を参照すれば乗車定員が分かるのだろうか。

251cc以上の「小型二輪」の場合、車検証を参照すれば乗車定員を知ることができる。126cc以上250cc以下の「軽二輪」の場合にはナンバーを取得する際に発行される「軽自動車届出済証返納済確認書」を見ると、乗車定員が記入されている。

複雑なのは、車検書も軽自動車届出済証返納確認書もない51cc以上125ccまでの「原付二種」だ。国土交通省 安全・環境基準課の担当者に問い合わせたところ、このクラスに該当する車両に関しては、残念ながらユーザーが自分のバイクの乗車定員を知ることのできる文書はないということが分かった。

ただし、前述したタンデムが可能なバイクはパッセンジャー用の装備「タンデムシート」「タンデムステップ」「パッセンジャーがつかまっておくことのできるパーツ」の3点が備えられたもの」という条件は適応されるため、客観的に見てこの3点が揃って装備されていないと判断される車両で2人乗りを行うと、違反となるそうだ。

パッセンジャー側に制限はあるの?

運転をするわけではないので、パッセンジャーは二輪免許を取得していなくてもバイクに同乗できる。体重や年齢に関しても、道路交通法で定められた制限はない。

しかし、体重移動が操作の要となるバイクの運転では、パッセンジャーの体重や動きも車両の挙動に関わってくるため、安全なタンデム走行をするためにはパッセンジャー側にも多少のコツが必要になる。

免許制度上のタンデムのルールとは?

道路交通法では、一般道でタンデム走行ができるライダーの条件として、大型自動二輪免許および普通自動二輪免許(400cc以下)、小型限定免許(125cc以下)を取得後、通算で1年以上が経過している必要があると定めている。

さらに高速道路や自動車専用道路では、運転者の年齢が20歳以上で、かつ二輪免許取得後3年以上が経過していることが必要だ。
高速道路を走行できない125cc未満の小型限定免許から、125cc~400ccを運転できる普通二輪免許に限定解除、もしくは排気量制限のない大型二輪免許を取得した場合、小型限定免許を持っていた期間は、高速道路タンデム解禁のための免許歴に含まれる。

自動車専用道路上には一部タンデム禁止の区間がある

前項で見てきたとおり、免許取得から3年が経過すれば一般道でも高速道路でもタンデム走行をすることが可能になるが、首都高速や、大型自動二輪車及び普通自動二輪車2人乗り通行禁止標識が出ている区間では、運転者の免許歴に関わらずタンデム走行禁止なので注意が必要だ。

首都高速道路(高速道路という名前ではあるが正確には自動車専用道路である)でタンデム走行のできない「自動二輪車二人乗り規制区間」(2021年3月現在)は次のとおりだ。

タンデムに関連する交通ルールに違反した時のペナルティー

大型自動二輪免許および普通自動二輪免許を取得していても、先ほど説明した免許取得後の経験年数の条件を満たしていない状態でタンデムをすると、ペナルティーが科される。
この場合の罰則は「大型自動二輪車等乗車方法違反」となる。
違反点数は2点で、反則金は1万2000円となるので注意が必要だ。

また、タンデム走行が可能な免許を保持していて、経験年数を満たしていた場合でも、「タンデムシート」や「タンデムステップ」などのタンデム用の装備のないバイクや原付でタンデム走行した場合も「定員外乗車違反」で罰せられる。
こちらの違反点数は1点で、反則金は6000円(原付の場合は5000円)となる。

以上、タンデムの豆知識やルールについて紹介してきた。
風が気持ちいい季節になったら、ルールに違反しないように十分注意しつつ、親しい相手をタンデムシートに乗せて一緒に出かけるのも楽しいのではないだろうか。

レポート●葉月智世 写真●モーサイ編集部/ホンダ/カワサキ/KTM/首都高速株式会社 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

こんな記事も読まれています

「タイレル」で親しまれた6輪ティレル「P34」がおよそ1億8000万円で落札! スペア用のシャシーで製作されても超人気でした
「タイレル」で親しまれた6輪ティレル「P34」がおよそ1億8000万円で落札! スペア用のシャシーで製作されても超人気でした
Auto Messe Web
メルセデスにはFEやハイパーカーで経験を積んだスタッフが多く在籍。ラッセルは2026年導入のPU新規則に自信
メルセデスにはFEやハイパーカーで経験を積んだスタッフが多く在籍。ラッセルは2026年導入のPU新規則に自信
AUTOSPORT web
超豪華キャンパー「キャンプ ア ラ ハリウッド」のオーナーはウィル スミス、ジェニファー ロペス、ブラッド ピット等
超豪華キャンパー「キャンプ ア ラ ハリウッド」のオーナーはウィル スミス、ジェニファー ロペス、ブラッド ピット等
AutoBild Japan
モナコでの接触を映像で見返したマグヌッセン、改めて見解語る「ペレスは僕のことを見ていた。だからスペースを空けてくれると信用していた」
モナコでの接触を映像で見返したマグヌッセン、改めて見解語る「ペレスは僕のことを見ていた。だからスペースを空けてくれると信用していた」
motorsport.com 日本版
【問われる「法令遵守」と「認証制度改革」】 メーカー5社が国に「型式指定」で認証不正を報告
【問われる「法令遵守」と「認証制度改革」】 メーカー5社が国に「型式指定」で認証不正を報告
AUTOCAR JAPAN
「日本一売れてる」クルマ、2年ぶりに”交代”! 「背の高いモデル」変わらず人気か 「納期問題」解決と続く「不正」で順位変動 24年5月販売台数発表
「日本一売れてる」クルマ、2年ぶりに”交代”! 「背の高いモデル」変わらず人気か 「納期問題」解決と続く「不正」で順位変動 24年5月販売台数発表
くるまのニュース
桐島ローランドプロデュースの「Felicity Cafe/フェリシティ・カフェ」が神奈川県葉山町にオープン!
桐島ローランドプロデュースの「Felicity Cafe/フェリシティ・カフェ」が神奈川県葉山町にオープン!
バイクブロス
トヨタ「RAV4」が30周年を達成! 世界中で1400万台以上を販売
トヨタ「RAV4」が30周年を達成! 世界中で1400万台以上を販売
バイクのニュース
日産“新型”「小さな高級SUV」登場! 3年ぶり顔面刷新で「斬新顔」に! 豪華内装も採用の“デュアリス後継”新型「キャシュカイ」英で生産開始
日産“新型”「小さな高級SUV」登場! 3年ぶり顔面刷新で「斬新顔」に! 豪華内装も採用の“デュアリス後継”新型「キャシュカイ」英で生産開始
くるまのニュース
BMW『5シリーズ』新型に直列6気筒ディーゼル、303馬力の「540d」
BMW『5シリーズ』新型に直列6気筒ディーゼル、303馬力の「540d」
レスポンス
ボルボのフラッグシップSUV「EX90」、米国サウスカロライナ工場で生産開始!今年後半には納車を開始
ボルボのフラッグシップSUV「EX90」、米国サウスカロライナ工場で生産開始!今年後半には納車を開始
LE VOLANT CARSMEET WEB
ホンダ純正ディスプレイオーディオ(VX-240ZFE)の適用範囲を拡大【中古で購入したクルマでも、最新システムを後付で装着することが可能に】
ホンダ純正ディスプレイオーディオ(VX-240ZFE)の適用範囲を拡大【中古で購入したクルマでも、最新システムを後付で装着することが可能に】
月刊自家用車WEB
ジープ ブランド初の電気自動車「アベンジャー」のティザーサイトを公開。日本発表は、2024年の第3四半期を予定
ジープ ブランド初の電気自動車「アベンジャー」のティザーサイトを公開。日本発表は、2024年の第3四半期を予定
Webモーターマガジン
トヨタの新型「シエンタ“車中泊仕様”」初公開!? オシャレすぎる「ウッド内装」が超カッコイイ! 「VANLIFE ROOMKIT」実車展示
トヨタの新型「シエンタ“車中泊仕様”」初公開!? オシャレすぎる「ウッド内装」が超カッコイイ! 「VANLIFE ROOMKIT」実車展示
くるまのニュース
ジープもBEVの時代!ブランド初の電気自動車「アベンジャー」日本発表を控えてティザーサイトが始動!
ジープもBEVの時代!ブランド初の電気自動車「アベンジャー」日本発表を控えてティザーサイトが始動!
LE VOLANT CARSMEET WEB
三陽工業が社員のバイクライフを応援する福利厚生「バイク免許取得補助」をスタート!(動画あり)
三陽工業が社員のバイクライフを応援する福利厚生「バイク免許取得補助」をスタート!(動画あり)
バイクブロス
650馬力で858万円ならドイツ製EVよりお得? [ヒョンデ アイオニック5 N]の楽しさはもはやガソリン車を超えた!?
650馬力で858万円ならドイツ製EVよりお得? [ヒョンデ アイオニック5 N]の楽しさはもはやガソリン車を超えた!?
ベストカーWeb
意外と見えない「フェンス越しの人」。|長山先生の「危険予知」よもやま話 第27回
意外と見えない「フェンス越しの人」。|長山先生の「危険予知」よもやま話 第27回
くるくら

みんなのコメント

47件
  • こんな何の役にも立たない雑文で飯が食えるライターはいい商売だな
  • タンデムの場合、首都高速だと都心環状線が走行禁止になるので、C2山手トンネルを通ることになりますが、夏の渋滞しているときは正に熱地獄!
    ソロなら走行の制約がありませんが、タンデムだと行く方向によっては選択肢がないのがちょっとね。。。
    しかしバイクで夏場の山手トンネル渋滞はマジに危険だと思う
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村