いざ新車を買おうと思っても、数か月の納車待ちが当たり前となった今。「だったら今のクルマに乗り続けようかな」と考える人もいるに違いない。
とはいえクルマは古くなると大きな故障の可能性も高まるし、税金の割り増しなども待っている。そこでクルマを乗り続けるのは損なのか得なのか、カーライフに詳しい渡辺陽一郎氏に分析してもらった!
ながーい納車待ちに悩んでいる人必読!! 今のクルマに乗り続けたら損する? 得する?
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカーWeb編集部、AdobeStock(トップ画像=javier@AdobeStock)
※画像はすべてイメージです。
■新車不足が原因で中古車価格も高騰中
納期が6か月以上に達する車種が増え、中には1年以上も待たされる車種も。待てないユーザーが中古車へと流れている
最近は新車の納期が大幅に延びている。以前は契約から納車までの期間が1か月から2か月だったが、今は3か月なら短い部類に入る。納期が6か月以上に達する車種が増えて、1年間も珍しくない。
納期が遅延する理由は、一般的には半導体の不足とされるが、自動車メーカーの開発者は「さまざまな供給が滞っている」という。半導体が中心ではあるが、信号を伝えるワイヤーハーネス、塗料、樹脂など、供給が遅れている品目は多い。
そして新車の納期遅延は、中古車市場にも影響を与える。今の新車販売では、約80%が乗り替えに基づくためだ。新車の納期が遅延して売れ行きが下がると、新車の販売に伴って発生する下取り車も減り、中古車市場の流通台数まで下がってしまう。
その結果、中古車価格が上昇している。例えばヴェゼルe:HEV・Z・2WDの新車価格は289万8500円だが、走行距離の少ない中古車は、300万円を超える価格で販売されている。
ヴェゼルは大量に販売されるコンパクトSUVで、プレミアム価格が付く特殊な車種ではないが、ハイブリッドのe:HEVは納期が6か月以上と長い。そのために中古車需要が高まり、中古車価格も高騰させて、走行距離の短い車両は新車価格を上まわった。
ちなみに2022年7月のオートオークション(中古車の競り市)における成約単価は、前年同月の1.2倍から1.3倍に上昇している。中古車の供給台数が不足して、需要を下まわった結果、中古車価格が大幅に高まった。
■売買の回数が増えるほどクルマの値段は高くなる
車検を取って現在のクルマに乗り続けるのと、新車や中古車に乗り換えるのとはどちらがいいのだろうか?(umaruchan4678@AdobeStock)
こうなると一番困るのは、クルマを乗り替えたいユーザーだ。先に触れた通り今の新車需要の約80%は乗り替えに基づくから、新車の納期が延びたり中古車価格が高騰すると、今まで使ってきた愛車の車検を取って乗り続けねばならない。
これは損失に繋がるのではないか? 愛車の車検を取って乗り続けることと、新車や中古車に乗り替えることのメリットとデメリットを考えたい。
まず新車や中古車の価格には、ざまざまなコストが含まれ、これは売買の回数が増えるほど上乗せされていく。まず新車を買うと、その価格には、製造メーカーと新車販売会社の利益が上乗せされている。
この新車を数年間にわたって使い、売却すると、買い取った中古車販売店のコストもプラスされる。オートオークションに出品すると、その費用も加わり、購入した中古車販売店の利益も乗せて中古車市場に流通させる。
従って1台のクルマが売買の回数を増やすほど、業者のコストもたくさん上乗せされ、価格が割高になっていく。何度も売買を繰り返された中古車は、低年式だから価格自体は安いが、商品価値はそれ以上に低いことになるわけだ。
そうなるとクルマ関連の出費をなるべく少なく抑えたいなら、売買の回数を少なく抑えるのが最も効果的だ。新車を購入したら、消耗品以外の各種パーツの交換、故障が増え始めるまで使いたい。
その時期は車種や使い方によって異なるが、一般的には10年/10万kmから12年/12万kmだ。日本における乗用車の平均使用年数(乗用車の平均寿命)は、14年弱とされ、そこに近付くとパーツ交換や故障も増える。それまで使うのが得策だ。
なお1年間の走行距離が5000km程度に収まり、定期点検を受けている車両は、14年/7万kmでもパーツ交換や故障が増えず問題なく使える場合もある。
■充実した運転支援機能は新型車の大きなメリット
注意したいのは、1台のクルマを長く使うと愛着も強まり、手放す時期を喪失する心配があることだ。「これ以上使うと損をする!」と分かっていながら、トランスミッション、燃料噴射装置、エアコンなど、高額なパーツを交換してしまう。
1台のクルマを長く大切に使うのは好ましいが、行き過ぎると損失に繋がるから注意したい。
また衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの運転支援機能は、古いクルマと新車では充実度が大幅に異なる。10年前の新車では、これらの先進装備を装着する車種は少数派であった。古いクルマから新車に乗り替える一番のメリットは、先進装備の充実にある。
特に交通事故は、クルマの最も深刻な欠点だ。安全装備の充実した新車を買うことで、交通事故の危険を低減できるメリットはきわめて大きい。逆に古いクルマを使い続けると、安全性を向上させることはできない。
■13年目と18年目には税金の割り増しも待っている
最初に登録されてから13年を経過すると、自動車税、軽自動車税、自動車重量税が増税されてしまうのが今の自動車税制だ(KATSU@AdobeStock)
そして今の自動車税制では、最初に登録されてから13年を経過すると、自動車税、軽自動車税、自動車重量税が増税されてしまう。
例えば2019年9月30日までに登録された1.6~2Lエンジンを搭載する自家用乗用車の場合、初度登録から13年までの自動車税は年額3万9500円だ。
これが13年を超えると、15%増税されて約4万5400円になる。軽自動車税は、2015年3月31日までに届け出された自家用軽乗用車は年額7200円だ。これが13年を超えると1万2900円になり、1.8倍の大幅増税になる。
自動車重量税は、13年と18年の2段階にわたって増税される。13年未満の場合、車両重量が1001kgから1500kgに収まる大半の自家用乗用車は、車検時に納める2年分の自動車重量税が2万4600円になる。
これが13年を超えると3万4200円に高まり、比率に換算すると1.4倍だ。18年を超えると3万7800円だから1.5倍に達する。
公共の交通機関が未発達な地域では、年金で生活する高齢者が、買い物や通院に古い軽自動車を使っている。今はコロナ禍で所得が減ったり、新車の納期遅延や中古車価格の高騰により、仕方なく古いクルマに乗り続けるユーザーも多い。
このようなクルマについて困っている人達から、多額の税金を巻き上げるのが今の自動車税制だ。
古いクルマの車検を取って乗り続ける欠点に、自動車税や自動車重量税の増税も挙げられるが、この場合は増税する制度が間違っている。
税金を使って電気自動車に補助金を交付することは、ユーザーにとってメリットになるが、それ以前に困っている人達を一層困窮させる増税を廃止すべきだ。納期が遅延する今だからこそ、愛車を長く使うユーザーに対して、優しい自動車税制であるべきだ。
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