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ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ

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ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ

アルピーヌの飛躍を支えたA110

「ルノー4CVでアルプスを疾走しているときが一番楽しかった。だから、これからのクルマを “アルピーヌ” と呼ぶことにした。わたしが作りたいと思っているクルマのハンドルを握れば、お客様も同じような喜びを感じてくれるはずだ」とジャン・レデレ氏は言う。

【画像】運転の楽しさを教えてくれるスポーツカー【現代のアルピーヌA110を写真で見る】 全24枚

時は1950年。ノルマンディー出身で当時28歳のレデレ氏は、ルノー・ディーラーという仕事柄、この年のモンテカルロ・ラリーに4CVでエントリーしていた。

「レースは市販車をテストする最良の方法であり、勝利は最高の販売ツールである」

レデレ氏は2度目の挑戦で勝利を収め、最終的には独立してルノーの部品を使ったスポーツカーを製造するようになった。それから20年あまり、アルピーヌはフランスの国内ラリーやヒルクライムのほとんどすべてのレースで勝利を収め、国境を越えてその名を轟かせた。

この好調を支えたのが、1962年に発表され、その後も改良が続けられた「ベルリネット」ことA110である。

FIAが世界の主要な7つのラリーを統合して国際マニュファクチャラー選手権(IMC)を創設したとき、当然のごとくアルピーヌも前のめりに参戦した。A110は、1970年の最初のシーズンでポルシェ911にわずか2ポイント差で敗れ、2位となった。

当時の試乗記を振り返る

それから間もなく、弊誌は英国人ラリーストのナイジェル・ホリエ氏がオーバーホールしたばかりのセミワークスA110 1600 Sを試乗する機会を得た。マイケル・スカーレット記者はそのレビューとして、次のように書いている。

「我々は通常、競技車両の説明を騒音に関するパラグラフから始めることはないが、アルピーヌに関してはそうせざるを得ない」

「恐ろしいことに(サイレンサー)バルブがストレートスルーの位置で固定されていて、そのまま動かないとわかった。このスズメバチみたいな小さなクーペの怪しげな笑い声も、最後には印象的なものになる」

「その性能は疑う余地がない。4気筒プッシュロッドエンジンは、基本的にはルノー16のTSユニットだが若干の改良が加えられている。吸気バルブが0.3インチ大きくなり、バルブタイミングが大きく変わり、圧縮比が11.25となり、2基の大型ウェーバーキャブレターが装備されている。結果、最高出力156ps/6800rpm、最大トルク17.3kg-m /5300rpm(R16の84psと12.0kg-mを上回る)を発生する」

機械的な同情から、クラッチを滑らせたり回転数を限界まで上げたりしてベストタイムを狙うことはできなかったが、「0-97km/h加速は8.8秒、0-160km/h加速は27.1秒と、1.6Lとしてはかなり心強いタイムだった」。

「普通に運転してみると、アルピーヌのラック&ピニオン・ステアリングは素晴らしく正確で、かなりハイギアードだ。驚くほど優れた直進安定性を備えている」

「車輪の動きは小さくは見えないが、ラリーカーとしては非常に乗り心地が良い。ドライ・ターマックでの激しいコーナリングでキャンバーが変化するのを避けられるほど小さくはないので、リアの重さと相まって、少しでもリフトオフするとテールが大きく出てしまう」

かなり速いスピードでコーナーに進入し、パワーをかけると、(良質なターマックであれば)車体はほぼニュートラルに保たれる。

滑りやすい脇道に入ってパワーをかけると、リヤのリミテッド・スリップ・デフが大きな音を立て、フロントタイヤを一瞬浮かせるほどのトラクションを発揮する。

「路面とタイヤの角度の関係がほとんど重要にならないような路面では、勇気さえあれば自分のやりたいことがほとんどできるだろう」

「MIRAの広々としたスペースでこのクルマと戯れたところ、スライドすること自体は簡単だが、思い通りにスライドするのはそう簡単ではないことを知った。アルピーヌのドライバーはほとんどのラリータイプよりも勇敢だと思う」

その勇敢さが功を奏し、アルピーヌは1971年のIMCでタイトルを獲得し、1973年には初の世界ラリー選手権を制覇した。もし、ラリーで勝つために四輪駆動が必要でなければ……。

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