現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【ランドローバーの電動化戦略】次期イヴォーク、ディスカバリー・スポーツ ついにEV化 レンジエクステンダー搭載

ここから本文です

【ランドローバーの電動化戦略】次期イヴォーク、ディスカバリー・スポーツ ついにEV化 レンジエクステンダー搭載

掲載 更新
【ランドローバーの電動化戦略】次期イヴォーク、ディスカバリー・スポーツ ついにEV化 レンジエクステンダー搭載

次世代イヴォークは2024年登場

text:Hilton Holloway(ヒルトン・ホロウェイ)

【画像】英国ランドローバーの高級SUV【ディスカバリー・スポーツとイヴォークをじっくり見る】 全144枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ランドローバーは、次世代のイヴォークとディスカバリー・スポーツに革命を起こすべく、EVに特化した新プラットフォームを採用し、ガソリンを燃料とするレンジエクステンダー・ユニットを搭載する計画を明らかにした。

エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャー(EMA)と名付けられたこのプラットフォームは、はじめから高度な運転支援システムと広範なクラウド・コネクティビティに対応するように設計されている。

EMAの特徴であるシンプルさは、ジャガー・ランドローバー(JLR)が抱える品質上の課題にも対応している。同社のティエリー・ボロレCEOは最近、「年間10万台の販売を犠牲にしている」と認めている。

このEMAプロジェクトは、2026 年までの100億ポンド(155億円)規模の投資計画の一部となる。JLRは、新型レンジローバー・スポーツ、ヴェラール、ディスカバリーの発売を予定しており、これらは全て次期MLAプラットフォームをベースにしている。ディスカバリーは、スロバキアではなく英ソリフルで製造される予定。これは、ジャガーFペイスが廃止され、ジャガーブランドの完全EVの次世代ラインナップに移行するためだ。

EMAは、JLRの将来の展望と安定した利益創出を目指す上で非常に重要な役割を持つ。JLRは、2030年までにEMAをベースにしたモデルが会社全体の販売台数の半分を占め、年間32万5千台の高収益モデルになる可能性があると推定している。

AUTOCARは、EMAを最初に採用するモデルは、2024年に発売される次期イヴォークであり、その後すぐに第3世代のディスカバリー・スポーツが続くと予想している。EMAの生産ラインは、ランドローバーのヘイルウッド工場に設置されると考えられる。

一方で、ランドローバーはすでに投資家に対して、今後6年間でディフェンダー・ファミリーのモデルをさらに2車種発売することを明らかにしている。詳細は発表されていないが、一方は完全EVになると予想されており、どちらも現行のL663世代のディフェンダーが使用しているD7xプラットフォームをベースにしたものではなくなる。

つまり、どちらもEMAをベースにしていると考えられるため、スロバキア工場にも同生産ラインが導入され、EU市場向けの新世代車両の生産が可能になるかもしれない。

2つのプラットフォームで棲み分け

AUTOCARは、EMAモデルは高級車市場に投入されると考えている。投資家に公開された詳細情報によると、MLAベースのレンジローバーを始めとする将来のモデルは、最も収益性の高い市場にしっかりと配置されるという。

具体的には、新型ディスカバリー・スポーツとイヴォークは、電動プラットフォームの開発・製造コストがかかることもあり、ベース価格が高く設定されることになるだろう。2024年後半の発売時には4万ポンド(約618万円)近くになり、電気のみでの走行距離は最低でも97kmになると予想される。

JLRは、2030年までに、EMAベースの車両が全販売台数の約50%(34万台相当)、MLAベースの車両が約40%を占めるようになると見込んでいる。一方、ジャガーのEVは12%と控えめな数字となっている。

EMAは実質的に、床置きの大型バッテリーやハイブリッドサイズの小型バッテリーを搭載できるEV用プラットフォームであるが、「リーンバーン技術で設計された」小型のレンジエクステンダー内燃エンジン(ICE)が組み合わされている。

JLRの投資家向け説明会によると、このレイアウトは、「複数の内燃機関を1つのシンプルな小型ICEに合理化し、コストを排除する」ことを意味しているという。JLRの社内ICE生産が大幅に合理化されることになるようだ。

全体的には、マツダMX-30に採用されたプラットフォームと非常によく似たソリューションだ。ただし、マツダのレンジエクステンダー仕様では、パワーユニットとして小型のロータリーエンジンが搭載される。

電気モーターで各アクスルを駆動することにより、従来の機械式トランスミッション、ディファレンシャル、ドライブシャフト、プロップシャフトが不要になる。レイアウトがシンプルになり、駆動系のトラブルが減るだけでなく、オフロード性能の向上につながる。

なぜなら、トルクとパワーを各車輪に個別にきめ細かく割り当てることができるため、機械式のシステムよりもはるかに迅速かつ制御しやすい方法で、スリップを減らし、グリップ力の高い車輪に駆動力を振り向けることができるからだ。オンロードでのハンドリングや乗り心地の改善(アンダーステアの解消など)も同様の理由で可能だ。

自動運転など最新技術にも対応

JLRの内部資料によると、EMAは「最も価値の高い部品であるバッテリーを中心に設計されている」という。シンプルに設計され、さまざまな化学的性質のバッテリーに対応しているとのことだ。また、フラットなフロアは「最大限の室内空間を確保できる」としており、これは7人乗りのディスカバリー・スポーツの存続にもつながる特徴だ。

全輪駆動システムには、800V対応の新しい電動ドライブユニットを採用し、「クラスで最もトルク密度が高い」とされている。また、JLRのエンジニアによれば、この新しいモーターは「92%の効率」を誇り、1kWhの電力消費で6.4~7.2kmの走行が可能であるという。

同様に重要なのは、EMAでデビューすると思われる新しい電気アーキテクチャーの導入である。これは、「社内で設計された、最先端の、ドメインベースのEVアーキテクチャー」と表現されている。JLRによれば、「イーサネット・バックボーン」により「ECUの統合と削減」を可能にしているという。

資料によると、新型イヴォークとディスカバリー・スポーツには、レベル2、レベル2プラス、レベル4の自動運転機能が搭載され、他の車両や交通管制ネットワークなどのインフラとの通信が可能になるという。また、いわゆる「オフボード・データ・マネジメント」により、「メンテナンス時期の予測」が可能になる。

多くの自動車メーカーと同様に、JLRはコネクティビティによって新たな収益機会を得られることを期待している。ソフトウェアやファームウェアの無線アップデート、新世代のアプリを提供するとともに、新しい支払いシステムを可能にし、「キュレートされたデジタル・メディアとカスタマイズされたブランド体験」の実現を目指す。

パワートレイン戦略の中で、水素技術は選択肢に残っている。公式には、「プロジェクト・ゼウス」としてJLRが進めている燃料電池研究プログラムの詳細を公開するには「早すぎる」としている。

しかし、内部情報によると、燃料電池は、「先進的な電気推進」パワートレインのための航続距離延長ハードウェアとして、「将来的に活用される」可能性が示唆されている。

大型モデルを支える第2のプラットフォーム

ランドローバーは、新グローバル戦略「Reimagine(リイマジン)」の一環として、すべてのモデルのプラットフォームをMLAおよびEMAのいずれかに切り替える。

このうちMLAプラットフォームは、2022年にフラッグシップのレンジローバーに採用された後、レンジローバー・スポーツに展開される。姉妹ブランドであるジャガーのフラッグシップモデルXJ(EV)は当初、MLAを採用する予定だったが、今年初めにラインナップから外された。

アルミニウムを主体とするこのプラットフォームは、完全EV、マイルド・ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッドの各パワートレインに対応し、ランドローバーのソリハル工場で生産されるモデルに使用される。

ヴェラールの将来性についてはまだ不明だ。ランドローバーは、今後5年以内にEV専用モデルを発売することを約束しているが、ヴェラールがそのモデルとなる可能性がある。ヴェラールをEVとすることで、部分的に内燃機関を搭載するイヴォークとより実質的に差別化することができる。

こんな記事も読まれています

マツダの新型SUV『CX-70』、ターボ+ハイブリッド搭載…メキシコ市場に導入へ
マツダの新型SUV『CX-70』、ターボ+ハイブリッド搭載…メキシコ市場に導入へ
レスポンス
やっぱりいまはコーティング! ワックスのツヤが最高! クルマの「ワックスvsコーティング」論争を考える
やっぱりいまはコーティング! ワックスのツヤが最高! クルマの「ワックスvsコーティング」論争を考える
WEB CARTOP
SC4度出動の荒れたレースをレオンが逃げ切り優勝|F3イモラスプリントレース
SC4度出動の荒れたレースをレオンが逃げ切り優勝|F3イモラスプリントレース
motorsport.com 日本版
超人気クロカン四駆! トヨタ新型「ランクル250」フルオプションで買うと「いくら」!? “1000万円以内”で買えるけど「しばらく買えない」理由とは
超人気クロカン四駆! トヨタ新型「ランクル250」フルオプションで買うと「いくら」!? “1000万円以内”で買えるけど「しばらく買えない」理由とは
くるまのニュース
アバルト「F595C 2ndエディション」登場! 165馬力のホットハッチ・オープンモデルは限定90台
アバルト「F595C 2ndエディション」登場! 165馬力のホットハッチ・オープンモデルは限定90台
VAGUE
「乗り物マニア」をターゲットに…はとバス、多摩モノレールと京王電鉄と連携した特別見学ツアーを発表
「乗り物マニア」をターゲットに…はとバス、多摩モノレールと京王電鉄と連携した特別見学ツアーを発表
レスポンス
自動車事故経験者が役に立ったと思う補償、3位弁護士特約、2位対物賠償、1位は?
自動車事故経験者が役に立ったと思う補償、3位弁護士特約、2位対物賠償、1位は?
@DIME
トライアル世界選手権出場のトニー・ボウら3選手が苗木を植樹/モビリティリゾートもてぎ
トライアル世界選手権出場のトニー・ボウら3選手が苗木を植樹/モビリティリゾートもてぎ
AUTOSPORT web
ボルグワーナー、クリーンモビリティ技術を展示…人とくるまのテクノロジー展 2024
ボルグワーナー、クリーンモビリティ技術を展示…人とくるまのテクノロジー展 2024
レスポンス
スズキがインドで新型スイフトを発売。パワートレインには新たなZシリーズエンジンを採用
スズキがインドで新型スイフトを発売。パワートレインには新たなZシリーズエンジンを採用
カー・アンド・ドライバー
フェラーリ、アップデートの狙いを説明。パフォーマンスの偏りを減らし、ドライバーに自信与えるマシンへ|エミリア・ロマーニャGP
フェラーリ、アップデートの狙いを説明。パフォーマンスの偏りを減らし、ドライバーに自信与えるマシンへ|エミリア・ロマーニャGP
motorsport.com 日本版
渋谷で何があった…警視庁で初検挙! クルマが跳ねる「ホッピング走行」が問題に!? どんな行為なのか
渋谷で何があった…警視庁で初検挙! クルマが跳ねる「ホッピング走行」が問題に!? どんな行為なのか
くるまのニュース
チーム側のGP開催数「増加反対」を受け、F1のCEOはヨーロッパとアジアでのローテーションを計画
チーム側のGP開催数「増加反対」を受け、F1のCEOはヨーロッパとアジアでのローテーションを計画
AUTOSPORT web
今週、話題になったクルマのニュース5選(2024.5.18)
今週、話題になったクルマのニュース5選(2024.5.18)
@DIME
ゼンリン パナソニックのカーナビ「Gorilla」用2024年版更新データを7月4日から発売
ゼンリン パナソニックのカーナビ「Gorilla」用2024年版更新データを7月4日から発売
Auto Prove
横浜で「カー消し相撲バトル」が開催、本物のスーパーカーも登場 5月18・19日
横浜で「カー消し相撲バトル」が開催、本物のスーパーカーも登場 5月18・19日
レスポンス
テラチャージのEV充電器、マンションの機械式駐車場に初めて導入
テラチャージのEV充電器、マンションの機械式駐車場に初めて導入
レスポンス
アンダー250万円の日産「コンパクトカー」なぜ人気? 加速感イイのがポイント? 「NOTE」の魅力とは
アンダー250万円の日産「コンパクトカー」なぜ人気? 加速感イイのがポイント? 「NOTE」の魅力とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

699.0964.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

125.0984.3万円

中古車を検索
レンジローバーイヴォークの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

699.0964.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

125.0984.3万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村