現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 古き良き「日本車」が北米で再評価されるのは、当然? カスタム文化の“最前線”を考える

ここから本文です

古き良き「日本車」が北米で再評価されるのは、当然? カスタム文化の“最前線”を考える

掲載 更新 19
古き良き「日本車」が北米で再評価されるのは、当然? カスタム文化の“最前線”を考える

ディスカバリーチャンネルが注目

 最近、北米で古い日本車の人気が高まっていることが、メディアを通じて知られるようになってきた。

【画像】えっ…! これがトヨタの「年収」です(計10枚)

 特に、ディスカバリーチャンネルやヒストリーチャンネルといった人気衛星放送の番組が顕著だ。これらの番組では、北米におけるカスタムカー文化の最前線として、古い日本車が取り上げられることが多い。ここでは、日本車が北米のカスタムカー文化としてどのように成長してきたかを振り返ってみたい。

 筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)が北米の自動車事情を取材し始めた1990年代初頭には、カスタムカー文化と呼べるような大規模なムーブメントはなかった。ダットサン・フェアレディ、ダットサン510ブルーバード、ホンダS800など、1960年代から1970年代にかけて活躍したレーシングカーをモチーフにしたレーシングカー的なカスタムがいくつかあったくらいだ。

 マツダのロータリーエンジンを使ったホットロッド風のカスタムなど、モータースポーツに関連したものだけが見られた。

 しかし、1990年代後半になると、新たなカスタムが登場する。日本のドリフトレースをベースにしたものだ。日産シルビア、240SX、マツダRX-7、ロードスターなどがドリフトマシン、あるいはドリフトマシンをイメージしたストリートスポーツカスタムとして人気を博した。

 2000年代に入るとドリフトレースの人気はさらに高まり、北米を代表するモータースポーツ団体スポーツカークラブ・オブ・アメリカ(SCCA)では「フォーミュラD」というカテゴリーまで誕生した。

近年燃える「右ハンドル」ブーム

 一方、1990年代後半から2000年代前半にかけて、コアなアニメファンの間で、日本のアニメ文化をモチーフにしたドレスアップカーが誕生した。これが現在まで続く、いわゆる

「痛車ブーム」

の始まりである。ここから、カッティングシートでボディグラフィックを表現する、いわゆる「ラッピング技術」が生まれた。

 ここで重要なのは、それまでの素材となった日本車は、北米市場に正規輸出された、もしくは北米で現地生産された左ハンドル車だったということだ。

 その一方で、日本車に憧れ、日本国内仕様の右ハンドル車、つまり日本でしか流通していないモデルを所有したいというコア中のコアなマニアたちがいた。しかし、米国では右ハンドル車として公道を走れるのは生産から25年を経過したモデルだけだった。

 日本では1990年前後のバブル絶頂期に、非常に魅力的でマニアックなモデルが数多く登場した。そのなかでも、右ハンドルの日本モデルが米国で一般的に登録できるようになったのは2015年以降である。このあたりから、右ハンドルの日本車を素材にしたマニアックなカスタムカーが増え始めた。

 ここではR32スカイラインGT-Rのような北米に輸出されない高性能モデルが珍重され、米国ナイズされた独自のカスタムカー文化が生まれた。

北米で再び輝く日本の走りのDNA

 さらに、この頃になると、米国の若いカービルダーたちのなかには、古い日本車に特別な感情を抱くようになり、1960年代から70年代の日本の走りを模した改造を施すようになっていた。

 前述したように、北米ではもともとフェアレディや510ブルーバードが人気だったが、初代トヨタ・セリカ、ハコスカ2000GT、GT-R、いすゞ・ベレットなど、日本ではほとんど見かけなかったクルマが北米に高値で売れた。

 歴史的に重要なモデルの人気が高まり、それをモチーフにしたカスタムが作られるようになったのは、特に日本車に限ったことではなかった。米国車や欧州車で行われていたことが、日本車にも広がっていったというだけの話である。

 一方で、日本車の人気の高まりは、北米らしくないカスタマイズ文化をも生み出した。その一例が日本の軽自動車のカスタマイズである。ちなみに、日本の軽自動車は1960年代初頭から限定的に北米に輸出されていた。こうした軽自動車を中心とした自動車趣味はあったが、とりわけマニアックなものであったことは否めない。

日本の軽自動車もブーム

 これに対して、最近脚光を浴びている北米の新しい軽自動車趣味は、25年ルールをクリアして米国に渡った軽ワンボックスワゴンや軽トラックをベースにした面白いものである。

 日本の軽自動車は米国人には小さすぎる、というのはあくまでも部外者の意見だが、当の本人たちは、ミニマムサイズで見事に機能と一体化したクルマを、バニング(ワゴン車を用いたカスタム手法)の材料として自由にもてあそんでいる。

 最後になるが、米国には日本のいわゆる“族車”を中心としたカスタムカー文化がある。これは日本の自動車文化と呼ぶには少し抵抗がある現象だが、現地の人にとっては、例えばメキシカンのローライダーと似ているかもしれない。

・クラシックカー
・レースカー
・ホットロッド
・チューンドカー
・ドリフトカー
・軽バニング
・族車

米国における日本車趣味は、日本におけるそれに匹敵するレベルにまで成長している。

こんな記事も読まれています

え、なんで?「ある国産セダン」がカナダに大量輸出された見えない理由
え、なんで?「ある国産セダン」がカナダに大量輸出された見えない理由
ベストカーWeb
80年代のトヨタが良すぎた!! [日本車の象徴ソアラ]が新時代のクルマと呼ばれたワケ
80年代のトヨタが良すぎた!! [日本車の象徴ソアラ]が新時代のクルマと呼ばれたワケ
ベストカーWeb
4月発売「ランクル250」は本当に“原点回帰”できたのか?
4月発売「ランクル250」は本当に“原点回帰”できたのか?
Merkmal
「三種の神器」は衰退か、自動車プラモデルは老舗が奮闘…第62回 静岡ホビーショー
「三種の神器」は衰退か、自動車プラモデルは老舗が奮闘…第62回 静岡ホビーショー
レスポンス
「Zカー」といえば思い出すのは何代目!? バブル絶頂期に登場したスポーツカー 日産・Z32型「フェアレディZ」ってどんなクルマ?
「Zカー」といえば思い出すのは何代目!? バブル絶頂期に登場したスポーツカー 日産・Z32型「フェアレディZ」ってどんなクルマ?
VAGUE
いすゞ「高級SUV」がスゴい! 同じ車に「9コ」の名前がある!? 便利すぎて「OEM供給」されまくった「車名多すぎモデル」とは
いすゞ「高級SUV」がスゴい! 同じ車に「9コ」の名前がある!? 便利すぎて「OEM供給」されまくった「車名多すぎモデル」とは
くるまのニュース
トヨタはセリカの「名ばかりのGTは道を開ける」で日産を挑発! 激怒した日産はどんなCMコピーで反撃したのか?
トヨタはセリカの「名ばかりのGTは道を開ける」で日産を挑発! 激怒した日産はどんなCMコピーで反撃したのか?
ベストカーWeb
なつかしのホンダ「N360」はラリーカーをオマージュ! 空冷ホンダ車マニアが「ホンダZ GS」からエンジンを移植して仕上げた本気仕様でした
なつかしのホンダ「N360」はラリーカーをオマージュ! 空冷ホンダ車マニアが「ホンダZ GS」からエンジンを移植して仕上げた本気仕様でした
Auto Messe Web
ヒット作の「次」は難易度高し!? なぜ発売当時R33GT-RとS14シルビアは「不人気だった」のか
ヒット作の「次」は難易度高し!? なぜ発売当時R33GT-RとS14シルビアは「不人気だった」のか
WEB CARTOP
ヘッドライトがなしで公道登録済み! V8搭載の魔改造クロスレー「アルムキスト セイバー」の250万円は妥当なお値段だった!?
ヘッドライトがなしで公道登録済み! V8搭載の魔改造クロスレー「アルムキスト セイバー」の250万円は妥当なお値段だった!?
Auto Messe Web
20年にわたってシボレー「カマロ」をカスタムし続けた結果…エンジンやミッションにも手を入れて、450馬力仕様になりました
20年にわたってシボレー「カマロ」をカスタムし続けた結果…エンジンやミッションにも手を入れて、450馬力仕様になりました
Auto Messe Web
【このメルセデス500SECなんぼ?】今やチューニングカルト的存在 40年前の「ケーニッヒスペシャルズ ワイドボディ 500SEC」
【このメルセデス500SECなんぼ?】今やチューニングカルト的存在 40年前の「ケーニッヒスペシャルズ ワイドボディ 500SEC」
AutoBild Japan
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
Auto Messe Web
英国オープン、パッカード、ブルドッグ…… クルマ界の巨匠が残した金言は月日が経っても色褪せない【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】
英国オープン、パッカード、ブルドッグ…… クルマ界の巨匠が残した金言は月日が経っても色褪せない【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】
ベストカーWeb
旧車の味はハンパない!! 2.8L直6搭載の[初代ソアラ]加速はイマイチ!? トヨタ系企業が提案する[旧車の楽しみ方]
旧車の味はハンパない!! 2.8L直6搭載の[初代ソアラ]加速はイマイチ!? トヨタ系企業が提案する[旧車の楽しみ方]
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ ニスモ」を長距離で試したら「サーキットで走らせたい」と初めて思った! 買えた人はラッキー、でもスタンダードでも十分
日産「フェアレディZ ニスモ」を長距離で試したら「サーキットで走らせたい」と初めて思った! 買えた人はラッキー、でもスタンダードでも十分
Auto Messe Web
「復活発売」までは間違いない新型プレリュードに「タイプR」は設定されるのか?
「復活発売」までは間違いない新型プレリュードに「タイプR」は設定されるのか?
ベストカーWeb
エクリプスにカマロも! アメリカで女性に人気だった「セクレタリーカー」って一体なに?
エクリプスにカマロも! アメリカで女性に人気だった「セクレタリーカー」って一体なに?
WEB CARTOP

みんなのコメント

19件
  • トム
    何にせよ窃盗だけは何とかしろよって思う。海に囲まれて船でしか持ち出せないんだから国がまともに仕事すれば確実に組織犯罪は撲滅出来る。
  • noh********
    YMOもそうだけど、海外で注目されてから、日本国民が見向きもしなかった事に突然「日本スゴイ」を言い出すのは最高にダサい。古き良き「日本車」って、みなさん、若者の車離れと言うくらい敬遠してますよね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

982.01264.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.8930.0万円

中古車を検索
ディスカバリーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

982.01264.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.8930.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村