現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつてのカペラは今? マツダ6ワゴン試乗記

ここから本文です

かつてのカペラは今? マツダ6ワゴン試乗記

掲載 更新 29
かつてのカペラは今? マツダ6ワゴン試乗記

日本製ステーションワゴンのほとんどがなくなった昨今であるにもかかわらず、マツダはステーションワゴンを簡単にはあきらめていない。かつてのカペラは今、どのように進化しているのか?

美しいステーションワゴン

一生に一度は911に乗りたい! 色褪せぬ魅力とは? 911カレラ試乗記

ステーションワゴンは美しくないといけない。SUV全盛のいまだからこそ、荷物の運搬などはそちらにまかせて、セダンやステーションワゴンはスタイリッシュに乗りたいものだ。

マツダ6ワゴンは、ほかのステーションワゴンと比べた場合、美しさでいえばピカイチであると私は思う。2012年にマツダ「アテンザ・ワゴン」として発売されていらい、8年たっても審美性が衰えていない。おとなっぽい存在感は、もういちど見直す価値があるとさえ感じた。

試乗したマツダ6ワゴン XDは、全長4805mmの伸びやかなボディに、2188ccの直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載している。2.0リッターと2.5リッターのガソリンエンジン仕様は前輪駆動のみ。このXDは、前輪駆動にくわえて4WD仕様もラインナップに持つ。わたしが乗ったのは4WDモデルだ。

ルーフの前後長は長いものの、ウィンドウグラフィクスで、荷物を運ぶための実用一辺倒の乗りもの、というイメージを回避している。サイドウィンドウは後方にいくにしたがって、上下幅が狭められ、クーペのような印象すら与える。

私が好きなのはリアクオーターウィンドウに使われているクロームのモールの造型だ。真横からみると、たんに1本の線でなく、後端ではねじりをかけて平面的に広く見せるような手法が採用されている。マツダ「CX-5」も同様だ。このデザインが、躍動感につながっていると思う。

エレガントな乗り味

マツダのディーゼルユニットの美点は、静粛性だ。とくに運転中は、エンジンルームからの音はほとんど聞こえてこない。強めにアクセルペダルを踏みこんだときだけ、“カラカラカラ”という音がするものの、それも意識していなければ気にならない程度である。

140kW(190ps)の最高出力に対し、最大トルクは2000rpmで450Nmを発生。車重は1690kgに抑えられているので、ダッシュ力も悪くない。が、力強さ感では欧州製のディーゼルにやや分があるように思う。

瞬発力ではいまひとつかもしれないが、豊かなトルクに乗って巡航している感覚はいい。アクセルペダルを踏んでいくと、ゆるやかだが確実に速度が上がっていく。

慌てず騒がず、品のよい、と形容したくなるような加速感だ。トルク感もしっかりある。マツダ6の外観からくるエレガントなイメージにも合っていると感じた。

乗り心地も印象的だ。アテンザ時代の足まわりは、設定がやや硬めで、路面のショックをガツンと伝える傾向があったように記憶している。今回は改良されたのだろう、動きはたいへんしなやかだ。

そういえば、2019年9月に「デミオ」から名称を変更した「マツダ2」でも、足まわりに手が入れられて、結果、乗り心地がうんと向上している。コンパクトなボディサイズからくる先入観をいい方向に裏切って、よく足が動き、路面の凹凸をていねいに吸収する上質な味なのだ。

マツダ6は、マツダ2に先立つ、2019年7月の登場なので、マツダ車の足まわりがよくなってきた先陣を切るモデルなのだろう。2750mmと長めのホイールベースと組み合わされて、ボディは全体としてゆっくりと上下に動く。

同時に、スプリングとダンパーの調整もよく、段差がある場合、ショックはフロントがうまく吸収。そのあと、リアが持ち上がってはねるようなこともない。フラットな乗り心地が味わえた。マツダ6は現在進行形で進化しているのだ。

スポーティな走りではないが、高速も一般道も、そしてワインディングロードもソツなくこなし、乗っているとリラックスした気分になれる乗り味を提供してくれる。

カペラというよりセンティアの後継か

室内は、(ややおおげさに言えば)誰もが一目でマツダ車とわかるデザインだ。

水平の線が強く打ち出されたダッシュボボードなど、基本的な構成はじつにオーソドックスである。

ただしスイッチ類をはじめ、ステアリング・ホイールのリムやドアハンドルまわり、それにギアシフターなど、手が触れる部分は、パッドが使われていたり、節度ある操作感だったり、と、ていねいに作り込まれている。

マツダ6はかつて存在した「カペラ」の後継と言われるものの、つくりは大きく異なる。マツダ6の上質な作りからすれば、今はなきフラグシップセダンの「センティア」や、ちょっとマニアックなユーノス「800」の後継として見るべきかもしれない。

マツダ車に共通するコクピットのデザインテーマは、落ち着きを感じさせるものなので、マツダ6にもっともしっくりくることをあらためて確認した。シンプルさと機能性とがたいへん上手にバランスしている造型だ。

今回乗った、マツダ6ワゴンXD Lパッケージ(429万5500円)は4WDのドライブトレインとの組合せ。燃費は、WLTC総合モードでリッター17km。このサイズとしては悪くない。

マツダ6はラインナップに、前輪駆動、4WD、それに6段オートマチック変速機と6段マニュアル変速機の設定がある。いまどき6MTが選べるステーションワゴンなんて、日本市場ではほとんどない。

美しいデザインと優れたハンドリング、高い実用性に上質なつくり、そして6MTまで選べるあたり、マツダというのはつくづく「クルマ好きのメーカーだなぁ」と思うのだった。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

こんな記事も読まれています

2023年 欧州でリコールの多かった自動車ブランド 20選 1車種で「9件」発生も
2023年 欧州でリコールの多かった自動車ブランド 20選 1車種で「9件」発生も
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「ディアブロGT」「カウンタック」が「ヴィラ・デステ」に登場!「エンジンサウンド賞」を受賞したのは…?
「ミウラ」「ディアブロGT」「カウンタック」が「ヴィラ・デステ」に登場!「エンジンサウンド賞」を受賞したのは…?
Auto Messe Web
誇り高き「重厚感」 アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(2) 魅力の中心がV8エンジン 好調のトリガー
誇り高き「重厚感」 アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(2) 魅力の中心がV8エンジン 好調のトリガー
AUTOCAR JAPAN
アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1) V8エンジンは「グループCカー」 未来を背負ったクーペ
アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1) V8エンジンは「グループCカー」 未来を背負ったクーペ
AUTOCAR JAPAN
WRCサルディニア|タナク、まさかの逆転勝利。オジェ最終ステージのパンクに泣く
WRCサルディニア|タナク、まさかの逆転勝利。オジェ最終ステージのパンクに泣く
motorsport.com 日本版
脅威の速さで奪首も痛恨のドライブスルー……14号車ENEOS福住仁嶺、落胆も前を向く「何かが起きた時、チャンスを掴むためにプッシュした」|スーパーGT第3戦鈴鹿
脅威の速さで奪首も痛恨のドライブスルー……14号車ENEOS福住仁嶺、落胆も前を向く「何かが起きた時、チャンスを掴むためにプッシュした」|スーパーGT第3戦鈴鹿
motorsport.com 日本版
まさに王者の戦いぶり。62kg搭載のポイントリーダーau TOMS、燃費走行も駆使して5位入賞「面白いようにアンダーカットできた。作戦としては完璧」
まさに王者の戦いぶり。62kg搭載のポイントリーダーau TOMS、燃費走行も駆使して5位入賞「面白いようにアンダーカットできた。作戦としては完璧」
motorsport.com 日本版
「エアブラシ」全盛でも「筆描き」にこだわるデコトラ野郎もいる! 芸術的な「箱絵」の手法による違いとは
「エアブラシ」全盛でも「筆描き」にこだわるデコトラ野郎もいる! 芸術的な「箱絵」の手法による違いとは
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol39. 高岡早紀さん(後編)
愛車の履歴書──Vol39. 高岡早紀さん(後編)
GQ JAPAN
Dstartion RacingスーパーGT初優勝。藤井誠暢手応え通りの圧勝劇「これだけ完璧にまとめ上げられることはなかなかない!」|スーパーGT第3戦鈴鹿
Dstartion RacingスーパーGT初優勝。藤井誠暢手応え通りの圧勝劇「これだけ完璧にまとめ上げられることはなかなかない!」|スーパーGT第3戦鈴鹿
motorsport.com 日本版
「止まれ」かと思ったら…ナニコレ!? 「日本唯一」激レア道路標識、なぜできた?
「止まれ」かと思ったら…ナニコレ!? 「日本唯一」激レア道路標識、なぜできた?
乗りものニュース
[15秒でわかる]メルセデスAMG『ピュアスピード』コンセプト…初のミトスブランド
[15秒でわかる]メルセデスAMG『ピュアスピード』コンセプト…初のミトスブランド
レスポンス
Moto2イタリア決勝|小椋藍、ロケットスタートで5位。ロバーツがスパート決め優勝
Moto2イタリア決勝|小椋藍、ロケットスタートで5位。ロバーツがスパート決め優勝
motorsport.com 日本版
笹原右京、ジュリアーノ・アレジとのスーパーGT初優勝を喜ぶ「遂に勝てた……やっと勝利を手にできてホッとした」|スーパーGT第3戦鈴鹿
笹原右京、ジュリアーノ・アレジとのスーパーGT初優勝を喜ぶ「遂に勝てた……やっと勝利を手にできてホッとした」|スーパーGT第3戦鈴鹿
motorsport.com 日本版
「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? 新ビジネスになりそうな“もしものサービス”とは?
「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? 新ビジネスになりそうな“もしものサービス”とは?
乗りものニュース
ダンプカーの車体にある「謎の文字と番号」の正体は? 「足立 営 12345」は何を意味しているのか 実は「経済成長」と深い歴史があった!?
ダンプカーの車体にある「謎の文字と番号」の正体は? 「足立 営 12345」は何を意味しているのか 実は「経済成長」と深い歴史があった!?
くるまのニュース
フォールディングバイクの完全体! 移動のクオリティを高める小さな英国製自転車「ブロンプトン」の魅力
フォールディングバイクの完全体! 移動のクオリティを高める小さな英国製自転車「ブロンプトン」の魅力
VAGUE
エンジンの最大回転数は10000rpm!ランボルギーニが「ウラカン」の後継となるHPEVモデルに搭載予定のエンジンを発表
エンジンの最大回転数は10000rpm!ランボルギーニが「ウラカン」の後継となるHPEVモデルに搭載予定のエンジンを発表
@DIME

みんなのコメント

29件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

283.0419.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8249.8万円

中古車を検索
アテンザワゴンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

283.0419.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8249.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村