現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ「セダン」不人気になった? かつては“定番”も今では「ほぼ壊滅」… メリット薄れたセダンは「復活」できるのか

ここから本文です

なぜ「セダン」不人気になった? かつては“定番”も今では「ほぼ壊滅」… メリット薄れたセダンは「復活」できるのか

掲載 81
なぜ「セダン」不人気になった? かつては“定番”も今では「ほぼ壊滅」… メリット薄れたセダンは「復活」できるのか

■かつて定番だったのに… なぜ「セダン廃止」相次ぐ?

「マツダ6」が生産終了し、昨年末には長い歴史を誇るトヨタ「カムリ」が国内生産を終えています。日産「シーマ」やホンダ「レジェンド」などもすでに生産を終えており、国産セダンが相次いで終了しています。
 
 では、セダンであることのメリットはどういうところにあるのでしょうか。また、今後人気が出ることはないのでしょうか。

【画像】この時代は良かった! これが「一世を風靡した名セダン」です!

 国内で、新車販売するセダンがますます少なくなっています。

 昨年(2023年)末にトヨタがカムリの国内向け生産をやめ、マツダも2024年4月中旬にはマツダ6の国内向け生産を終了予定です。

 ここ数年でトヨタ「アリオン/プレミオ」、スバル「レガシィB4」「インプレッサG4」、日産はシーマと「ティアナ」、ホンダはレジェンドと「グレイス」といったように、日本市場からセダンがどんどん消え、どのメーカーもセダンの数を少なくしてしまいました。

 参考までに2024年2月中旬時点で日本のメーカーが展開しているセダンをまとめると以下のようになります。

 トヨタ:「カローラ」「カローラ アクシオ」「クラウン(セダン)」「プリウス(公式サイト上ではセダンに分類)」「MIRAI」「センチュリー(セダンタイプ)」

 レクサス:「LS」「ES」「IS」

 日産:「スカイライン」

 ホンダ:「アコード(新型登場待ち)」

 マツダ:「マツダ3 セダン」「マツダ6 セダン(4月中旬生産終了予定)」

 スバル:「WRX S4」

 スズキ・三菱・ダイハツ:なし

 こうして並べてみると、トヨタは減ったとはいえ、まだ多く用意している印象。

 今やSUVがラインナップの中心となったレクサスも、モデル数(公式サイト上で15車種)の割には多いといえるかもしれません。

 いっぽうで他のメーカーは、用意していても1車種にしかすぎません。

 しかも日産はV型6気筒ターボエンジン搭載のスカイライン、スバルだと同社の最速モデルとなるWRX S4といった、“買う人を選ぶ”モデルを「その1車種」としています。

 もはや「どうしてもセダンが必要」もしくは「スポーツセダンが好み」という人だけに向けた商売と言えるのかもしれません。

 どうしてこうなったのでしょうか。それは「セダンの人気が低下したから」に他ならないでしょう。

 街を走るクルマをみても、かつてにくらべてセダンを見かけなくなったことを実感できます。

■セダン“ならでは”のメリットって何? 今後復活はありえるのか

 ところで、そんなセダンのメリットはどこにあるのでしょうか。

 まずは運動性能面です。セダンは重心が低いので安定性に優れ、旋回時や高速走行時の安定感が高いという物理特性上の長所があります。

 加えて、ワゴンやSUVに比べて車体を頑丈に作れ、これも走りの質を高めます。高速走行や長時間運転でも疲れにくいのがセダンの長所といえます。

 もうひとつは実用面。居住スペースと荷物を置く場所(トランク)が独立していることで、荷室下側から伝わる音をシャットアウトしてキャビンの静粛性が高まるなどのメリットがあります。

 かつてそれらは、セダンの大きなアドバンテージでした。

 そんな走りや快適性の質に、SUVの先輩である「ヨンク(四駆)」やステーションワゴンは近づけなかったのです。

 しかし時は流れ、クルマ作りが進化するにつれてステーションワゴンやSUVなどでもそれらの“差”を克服していきます。実質的にセダン以外のボディタイプが明確にデメリットを感じるという状況ではなくなりました。

 そんな流れもあり、より利便性の高いSUVやミニバンに乗用車の中心が移行したということでしょう。

 SUVは見晴らしの良さや段差を気にしなくていいこと、ミニバンは室内が広いことなどでセダンに対する使い勝手のアドバンテージがあります。

 昨今、SUVは日本の乗用車販売におけるボディタイプ別のシェアが約6割を占める“多数派”となりました。

 では、この先、乗用車の中心がセダンに戻ることはあるでしょうか。

 筆者(工藤貴宏)は、「可能性はゼロではないが、限りなく低い」と考えます。

 なぜなら、消費者がセダンならではのメリットを感じにくいからです。

 前出のように、セダンのメリット(他のボディタイプに対するアドバンテージ)はかつてに比べてずっと小さくなりました。

 そんなセダンのメリットよりもSUVやミニバンの特徴に魅力を感じるのであれば、消費者が再びセダンに戻ってくる可能性は少ないと考えるのが自然です。

 むしろこの先、運転サポート技術の進化で自動運転に近づけば近づくほど、高速移動中にいかにリラックスできるかが求められるようになるでしょう。

 つまりミニバンのような空間重視のクルマが人気となる可能性が高いと判断できます。

※ ※ ※

 かつての日本には「冠婚葬祭はセダンでないと」という風潮があり、それも乗用車の中心がセダンとされた理由のひとつでした。

 しかし今では、そう考える人はほとんどいないでしょう。

 ハードウェアとしてのセダンのアドバンテージのほかに、そういった社会の変化もセダン離れを進め乗用車の多様化をもたらした理由のひとつになっていると考えられます。

こんな記事も読まれています

阪神高速『港大橋登頂』ツアー開催決定…50周年イベント
阪神高速『港大橋登頂』ツアー開催決定…50周年イベント
レスポンス
超ゴツいのに超静か! 横浜ゴムの見た目と性能を兼ね備えたSUV/ピックアップトラック用オールテレーンタイヤ「ジオランダーA/T4」に試乗!
超ゴツいのに超静か! 横浜ゴムの見た目と性能を兼ね備えたSUV/ピックアップトラック用オールテレーンタイヤ「ジオランダーA/T4」に試乗!
くるまのニュース
ボディからキノコが生えたってマジ!? リアルな「木」を外板に使った初代「ミニ・カントリーマン」はいま見ると衝撃!!
ボディからキノコが生えたってマジ!? リアルな「木」を外板に使った初代「ミニ・カントリーマン」はいま見ると衝撃!!
WEB CARTOP
サッカー界のレジェンド、ジネディーヌ・ジダンがル・マン24時間レースのスターターに決定
サッカー界のレジェンド、ジネディーヌ・ジダンがル・マン24時間レースのスターターに決定
motorsport.com 日本版
市販されなかったのが残念すぎる! 86をワゴン化した「シューティングブレーク」が理想的な1台だった
市販されなかったのが残念すぎる! 86をワゴン化した「シューティングブレーク」が理想的な1台だった
WEB CARTOP
ミニバンのロールスロイス? 4座の最上位モデル納車開始…中国ジーカー
ミニバンのロールスロイス? 4座の最上位モデル納車開始…中国ジーカー
レスポンス
旧ビッグモーター事業承継のウィーカーズ田中慎二郎社長、秋口には「改革プラン」公表へ
旧ビッグモーター事業承継のウィーカーズ田中慎二郎社長、秋口には「改革プラン」公表へ
日刊自動車新聞
トヨタが新「コンパクトSUV」発表! ハイブリッド強化で高性能化! “オシャグリーン”の「新ヤリスクロス」欧州で登場
トヨタが新「コンパクトSUV」発表! ハイブリッド強化で高性能化! “オシャグリーン”の「新ヤリスクロス」欧州で登場
くるまのニュース
轟音! 爆炎! この“MADな世界”で生き残れ! 待望のシリーズ最新作『マッドマックス:フュリオサ』
轟音! 爆炎! この“MADな世界”で生き残れ! 待望のシリーズ最新作『マッドマックス:フュリオサ』
バイクのニュース
ポルシェ、新型「911」を発表! 初の電動ターボハイブリッドシステムを搭載した「911カレラGTS」が登場。
ポルシェ、新型「911」を発表! 初の電動ターボハイブリッドシステムを搭載した「911カレラGTS」が登場。
くるくら
エンジンを諦めない! トヨタ、スバル、マツダが「新エンジン」開発宣言。電動化時代に向けた3社の取組みとは?
エンジンを諦めない! トヨタ、スバル、マツダが「新エンジン」開発宣言。電動化時代に向けた3社の取組みとは?
くるくら
導入補助金52万円が適用可能!メルセデス、EQE350+の特別仕様車「エレクトリックアート」を30台限定で発売!
導入補助金52万円が適用可能!メルセデス、EQE350+の特別仕様車「エレクトリックアート」を30台限定で発売!
LE VOLANT CARSMEET WEB
相次ぐ車内の子ども置き去り事故、防止へ…オートバックスが『こまもり』を発売
相次ぐ車内の子ども置き去り事故、防止へ…オートバックスが『こまもり』を発売
レスポンス
F1ラスベガスGP、低価格のチケットを導入。2年目の開催に向け、ファン層拡大を狙う
F1ラスベガスGP、低価格のチケットを導入。2年目の開催に向け、ファン層拡大を狙う
motorsport.com 日本版
【国内試乗】本格オフローダーにしてこの美しいシルエット。これだけで選ぶ価値ありです!「ランドローバー・レンジローバーヴェラール」
【国内試乗】本格オフローダーにしてこの美しいシルエット。これだけで選ぶ価値ありです!「ランドローバー・レンジローバーヴェラール」
LE VOLANT CARSMEET WEB
[発売後1ヶ月、販売店に聞いてみた] 今春マイナーチェンジしたホンダ ヴェゼル、ユーザーの反響はどうなのか?
[発売後1ヶ月、販売店に聞いてみた] 今春マイナーチェンジしたホンダ ヴェゼル、ユーザーの反響はどうなのか?
月刊自家用車WEB
三菱 ミニキャブトラックの安全装備強化など一部改良
三菱 ミニキャブトラックの安全装備強化など一部改良
Auto Prove
三菱自動車、「ミニキャブトラック」を一部改良 仕様向上で最大23万円値上げ
三菱自動車、「ミニキャブトラック」を一部改良 仕様向上で最大23万円値上げ
日刊自動車新聞

みんなのコメント

81件
  • mil
    FRのセダンやクーペは運転して楽しいです
    運転好きのチョイスで一定数は残るでしょうね
    自分もその一人です
  • bai********
    別にセダンもリヤシートが倒れてトランクと
    つながって長物積める様にすれば
    十分使える
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.5468.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.8467.0万円

中古車を検索
カムリの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.5468.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.8467.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村