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7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】

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7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】

2010年秋、欧州でフォルクスワーゲン パサートがフルモデルチェンジされ、7代目(開発コードB7)へと進化した。発表前から高品質な仕上げ、大胆なダウンサイジングが話題となっていたが、その走りはどうだったのか。Motor Magazine誌は発表間もなくドイツで行われた国際試乗会に参加しているので、今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年12月号より)

フォルクスワーゲンの勢いを象徴するような変身ぶり
パサートはゴルフと並ぶフォルクスワーゲンの主力車種で、その販売台数比率は同社の20%を超えている。そして、1973年の発売以来、6世代にわたって生産され、その総数は1500万台を上回る実績を誇っている。ただし、正直に言ってそのイメージは、ゴルフの陰に隠れて「出来は良いのだけれどもねぇ」という、優秀だが地味なお兄さんというものであった。しかし、7世代目のパサート(開発コードB7)は、今のフォルクスワーゲンの勢いを象徴するような変身ぶりを見せている。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

それはフォルクスワーゲンファミリーの近似性を持った端正なデザインに見られる。水平基調のフロントグリル、その両脇にレイアウトされる斜めに切れ上がったヘッドライトユニット、そのエッジからサイドパネルを縦断してリアに繋がるプレスライン、そしてやや高めに位置する横長のリアコンビネーションライトが、高級感を醸し出している。

また、フロントエンドをやや後退させ、反対にリアエンドをわずかに延長させたために、サイドビューはスポーティな印象が増した。しかし、先代と同じPQ46プラットフォームを使っており、ルーフラインは変わっていない。サイズも従来型に比べてほとんど変化はない。

実は今回の試乗会は国際試乗会とは言いながら、ドイツのメディアが主体で、用意された試乗車のエンジンバリエーションも限られたものだった。たとえば日本向けの1.4L TSIエンジン搭載車は、まだ用意されていなかった。

そこで同じ1.4Lで出力も変わらないエコフューエル、つまりCNG仕様を勧められた。これは純粋なガソリンエンジンと比べても性能の変化はなく、ツインチャージャーによって最高出力は150ps、最大トルクは220Nmをそれぞれ発生し、標準の6速マニュアル仕様でスタートから100km/hは9.9秒、最高速は212km/hに達する。

相変わらず高品質な仕上げ、そして燃費と性能を両立
実質的に広さは変わらないはずのキャビンであるが、クリーンなデザインとモダンな色調のおかげで居心地は素晴らしい。またダッシュボードの時計はアナログ表示で、まるでメルセデス・ベンツのSクラスを思い起こさせる。

一方、ラゲッジルームの容量は基本ボディが同じなのでまったく変化はない。すなわち通常の場合は603L、バックレストを倒すと1731Lへと増大する。そして、トランクルーム内の両脇にレールが配置されて、その上をパレットが前後するシステムも導入された。このパレットを手前に引き出し、ビールケースなどの重いものを手前で積載し、そのままトランクの奥へ押し込むことができるわけだ。

また、イージーオープンというトランクゲート自動開閉装置がオプションで用意されている。これは荷物を両手で持った人がカギをポケットにしまった状態で車両後方へ近づき、トランクの直前で足をバンパー下へ踏み込むような動きをすると、それを感知してトランクリッドが自動的に開くという仕組みになっている。もっかのところセダンだけの注文装備だが、やがてはヴァリアントにも採用されると思われる。

さて、走りの印象だが、非常に静かで、しかもシャシは確実に路面を捉えている感じがする。リファインされたEPS(電動パワーステアリング)は非常に自然で、ステアフィール、そして路面感覚、さらに追従性も素晴らしく、切った方向にミリ単位でノーズを変えて行くことができる感覚だ。ちなみに今回、EPSであることを利用して、パサートは省燃費だけでなく、パーキングアシストという快適装備も得ている。

さらにこれまでアッパークラスに装備されていた安全システム、たとえばスピードリミットアシスト、ダイナミックライトシステム、レーンキープシステムなどを用意している。

新しいパサートは、ちょうどゴルフVからゴルフVIへ変化したときのように非常にわかりやすいレベルアップをしている。それは高品質な仕上げと静粛な室内、そして燃費と性能を巧みに両立させたダウンサイジングエンジンの採用である。

ちょっと気になったのは、オプションのナビゲーションディスプレイは、クルマのサイズに対してはあまりに小さく、そして画質、表示内容が不十分なこと。グーグルアースくらいは採用して欲しい。

さて、フォルクスワーゲンの第3四半期税引き後の利益は400万ユーロ(約460億円)を超えたが、このパサートも、フォルクスワーゲンが快進撃を続ける大きな武器になることは間違いない。(文:木村好宏)

フォルクスワーゲン パサートヴァリアント TSI エコフューエル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4774×1820×1517mm 
●ホイールベース:2712mm 
●車両重量:1626kg 
●エンジン:直4DOHCツインチャージャー(ターボ+SC)
●排気量:1390cc
●最高出力:110kW(150ps)/5500rpm 
●最大トルク:220Nm/1500-4500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF 
●最高速:212km/h
●0→100km/h加速:9.9秒
※EU準拠

[ アルバム : 7代目フォルクスワーゲン パサート はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • fbn********
    DSGなどの信頼性に目を瞑れば50万円以下で購入可能なコストパフォーマンスの高い車種。アウディのような高級ではなく実用・実直なワゴン。
  • kmq********
    昔から地味なイメージなので、いっそ車名をマゴタンに統一したらいい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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