F1第6戦マイアミGPの決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がランド・ノリス(マクラーレン)に逆転を許して、2位に終わった。
フェルスタッペンが優勝できなかったレースは、今年はすでにオーストラリアGPでも経験しており、年間19勝した昨年も3度ある。しかし、ポールポジションからスタートして、コース上で逆転負けを喫したというケースは、この2シーズンなかった。マイアミGP以前に、ポールポジションからスタートして、コース上で逆転負けを喫した最後のレースは、2022年のオーストリアGP。どちらもスプリント・フォーマットだった。
フェルスタッペン2位「今日のノリスは飛ぶように速かった」グリップに苦しみマシンにダメージも:レッドブル/F1第6戦
今回のマイアミGPでポールポジションからスタートしたフェルスタッペンがノリスに逆転を許したのは、レース中盤に導入されたセーフティカーによるところが大きい。ピットインせずに先頭を走っていたノリスがホームストレートを通過した後にセーフティーカーが出たため、最初にセーフティーカーの背後につかまったのがフェルスタッペンとなった。そのため、ノリスは30秒以上のリードを築いて、ピットイン。トップのままコースに復帰した。
しかし、これだけがフェルスタッペンの敗因ではない。最大の敗因は、ピットストップで履き替えたハードタイヤでのパフォーマンスだった。
「スタートで履いたミディアムタイヤはそんなに悪くなかった。ところが、ピットストップの後、交換したハードタイヤが最悪だった。高速でアンダーステアだったと思ったら、低速ではオーバーステア。全然攻めることができなかった」
それが、セーフティカー明けのレース再開後、ノリスをつかまえきれず、徐々に引き離された理由だった。
なぜ、フェルスタッペンはハードタイヤに苦しんだのか。それは、この週末フェルスタッペンがハードタイヤを履いたのは、レースが初めてだったからだ。そして、それはスプリント・フォーマットが関係していた。スプリント・フォーマットはフリー走行を1回走った後、スプリント予選となるため、ハードを使う機会がなかなかない。スプリント予選ではミディアムとソフトを使うことが義務付けられており、土曜日のスプリントもミディアムが主流。予選ではソフトが中心となるからだ。
もちろん、フェルスタッペンがハードタイヤを履いて走ったレース後半は、その直前にターン15のシケインにあるボラード(コーン)にマシンをぶつけて、ダメージを負っていたことも関係していた。クリスチャン・ホーナー代表は、こう説明する。
「マックスは21周目にボラードに接触した際にフロアにダメージを負ってしまった」
しかし、ボラードにマシンを当てたのはフェルスタッペンであり、それもレースの一部だ。ボラードにマシンを当てなければならないほど、この日のフェルスタッペンは余裕がなかった。それは2番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)との差をなかなか広げることができなかったから。マイアミGPでマクラーレン勢が速くなったのは、アップデートを投入していたからだ。
そして、そのことを誰よりも痛感しているのは、フェルスタッペン本人だ。
フェルスタッペンはこう振り返る。
「レースで勝つためにはすべてがうまく機能する必要があり、それはみんなが思っているほど簡単なことではないということが、今日のレースでよくわかった」
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)もこう敗戦を分析する。
「セーフティカーが入ったタイミングが不運だったこともありますが、今年はマクラーレンとフェラーリが速くなってきている。マックスも特にミスをしたわけではないのに、勝てなかったところを見ると、我々も完璧なレースをしないと、サーキット特性や展開によっては、簡単には勝てない状況になっているのだと思います」
開幕6戦を終えて、レッドブル4勝、フェラーリ1勝、マクラーレン1勝。新しいトップ3によるチャンピオンシップ争いは2週間後、いよいよヨーロッパラウンドに突入する。
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