1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・押田岳と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は絶版旧車界の“横綱”とも言えるホンダCB750が登場!
「ナナハン」の呼び名はここから生まれた
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河西啓介(以下、カワニシ):ガクくん! 今回はすごいバイクが登場します。元祖“ナナハン”、ホンダが1969年に発表し、世界の二輪ファンを驚かせたエポックメイキングなバイク。ホンダ ドリームCB750 FOUR(フォア)です。
押田 岳(以下、押田):おお、シービーっすね! もちろん僕も知っています。カッコいいなぁ! 正式車名は“ドリーム”って付くんですね。
カワニシ:当時のホンダ二輪車、主に250cc以上の上級モデルには“ドリーム”という名前が付けられていたんです。創業者の故・本田宗一郎氏が好きだった“夢”という言葉からとったとも言われています。とはいえ通称は“シービーナナハン”と、呼ばれていますね。
押田:ところでCB750って、何がそんなにすごかったんですか?
カワニシ:1960年代までの二輪車は、イギリスのトライアンフやドイツのBMW、アメリカのハーレーなど、大型バイクの性能やステイタスでは欧米のメーカーが先をいっていたんです。ホンダは「スーパーカブ」が大ヒットし、マン島など世界GPレースでは勝利していたものの、その分野では遅れをとっていた。そこで“欧米のバイクを凌ぐバイクをつくろう”と、開発されたのがCB750。世界最大級の750ccという排気量、市販モデル初の並列4気筒エンジン、最高速度200km/h、ゼロヨン12.4秒という速さ、すべてが当時のバイクの常識を覆すもの。完成したCB750を見た本田宗一郎が「こんなデカいバイク、だれが乗るんだ!」と、驚いたという逸話があるぐらいです。
押田:CB750の登場で、日本のバイクが名実ともに世界一になったんですね!
カワニシ:このあと、スズキ、カワサキ、ヤマハも750ccモデルを出すようになり、やがて「ナナハン」が大型バイクを表す言葉になったんです。
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押田:“砂型エンジン”って、なんですか?
カワニシ:CB750発売当初、それほど多く売れるとは思っていなかったホンダは、設備投資が少なくて済み少量生産に向いた砂型鋳造(砂を固めて作った型に金属を流し込み固める製法)で、エンジンのクランクケースを作っていたんです。しかし予想以上の注文が殺到したため、急遽金型鋳造に変更し、量産体制を強いたんです。砂型で作られたのは7400台ほどと言われ、歴代CB750の中で最も希少なモデルとして珍重されています。
押田:わあ、面白いエピソードだなぁ。たしかにクランクケースの表面をよく見ると、ザラザラとした感じになっていますね。
カワニシ:金属表面のザラつきは砂型鋳造の欠点なのですが、見方を変えると、いかにも手作りという感じの温かみがあるんですよね。何れにしてもCB750で“砂型K0”と、言えば、そうとうな価値があるのは間違いありません。
押田:後ろから見ると、4本出しのマフラーも迫力がありますね。いい音がしそうだなあ。
カワニシ:並列4気筒エンジンであることを主張する4本出しマフラーは、CB750の大きな特徴ですね。見た目に違わず、排気音も荒々しいもの。騒音規制の厳しくなった現代のバイクが大人しく感じられてしまう迫力あるサウンドは、やはり旧車ならではの魅力ですね。
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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.3 カワサキ500SSマッハIII1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハIII」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.4 カワサキ650-RS W31970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は小説『彼のオートバイ、彼女の島』(片岡義男)に描かれたことでも知られるカワサキ“ダブサン”こと「650-RS」に試乗!俳優・押田岳の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.5 ヤマハ RD400デイトナ・スペシャル1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・押田岳と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は希少なヤマハ空冷2ストロークモデルの最終型「RD400デイトナ・スペシャル」に試乗!硬派なZと正統派のCB押田:眺めているとすごく大きく感じるんだけど、跨ってみるとじつはちょうどいいサイズですよね。ハンドル位置も高くて、乗りやすそうです。
カワニシ:CCB750は北米市場を意識したモデルで、それまでのホンダ車より大柄でゆったりとしたポジションが与えられていました。とは言え足着き性は良好で、当時の日本人でも無理なく乗ることができた。その性能と乗りやすさが評価されて、デビュー翌年の1970年には白バイに採用され、警視庁の交通機動隊に200台が納車されたそうです。
押田:世界最速の白バイじゃ絶対逃げられない (笑)。おなじナナハンでもZ2(ゼッツー)はヤンチャなイメージが強いけど、CBは正統派っていうイメージですよね。ホンダとカワサキのキャラクターの違いなのかな。
カワニシ:そうですね。Z2は1975年に公開された映画『爆発!暴走族』で主演の岩城滉一が乗っていたことから人気に火が付き、かたやCB750といえば1975年から1985年まで『少年チャンピオン』で連載されていたマンガ『750ライダー』のイメージ。こちらは青春学園もので、主人公の高校生、早川光は1971年式のK2型に乗っていましたね。
押田:高校生でCB750に乗っているなんて、羨ましい!(笑) でも、実は僕の友だちでもシービーに乗っているのがいるんですよ……いいなぁ。
カワニシ:さすがに“砂型K0”は驚くような金額になっていますが、CB750は製造期間が長く生産台数も多いので、後期のモデルなどは、かなりこなれた価格のものもありますよ。ガクくんみたいな若者でも、がんばれば手が届くはず!
押田:ほんとですか? こうしてじっさいに触れると、本当に欲しくなります。夜な夜な中古車検索が止まらなくなりそう!
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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.1 ホンダCBX400F1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1980年代バイクブームの火付け役ともなったホンダ「CBX400F」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1972年にデビューしたカワサキ「900スーパー4」に試乗!俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.3 カワサキ500SSマッハIII1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハIII」に試乗!押田岳(おしだがく)1997年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学人間科学部卒業。2016年に第29回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリに輝く。2018年、特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』に明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ役を務める。近年は映画『嗚呼、かくも牧場は緑なりけり』、ドラマ『その結婚、正気ですか?』『トリリオンゲーム』、舞台『巌流島』『ラヴ・ミー・ドゥー!!』『西遊記』など。映画『水平線』が2024年3月1日より全国公開中。
【過去連載】
Vol.1 ホンダCBX400F
Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)
Vol.3 カワサキ500SSマッハIII
Vol.4 カワサキ650-RS W3
Vol.5 ヤマハ RD400デイトナ・スペシャル
Vol.6 スズキGT380
文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・UEMATSU
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みんなのコメント
最新国産車でいいの沢山あるのに
個性を出したきゃ塗装にでも出せばいいのでは