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「シンプルとは何もないことではなく洗練」「雑音への我慢も必要」 新型ホンダ・アコードのデザイン担当者を直撃インタビュー!

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「シンプルとは何もないことではなく洗練」「雑音への我慢も必要」 新型ホンダ・アコードのデザイン担当者を直撃インタビュー!

 この記事をまとめると

■伸びやかになったデザインが話題の新型ホンダ・アコード

「高級ミニバン」vs「高級セダン」 後席で移動するならどちらが快適か

■新型アコードはクローム類やノイズを減らしシンプルなデザインとすることを目指した

■新型アコードのデザインのテーマは、「低く、薄く、長くワイド」である

 新型アコードのデザイナーにそのスタイリングの意図を聞いた

 ホンダが3月8日に発売した11代目の新型アコードは、より伸びやかになったスタイリングがすでに各方面で話題になっているようです。

 では、その造形の意図や狙いはどこにあるのか? 今回は、エクステリアを担当したオートモビルデザイン開発室の石井さんにあらためてお話を聞いてみました。

 フォーマルでありながら個性的なスタイルを目指す

──では最初に。新型をデザインするに当たって先代のスタイルをどのように評価、総括したのでしょうか?

「先代は北米市場で好評でしたが、堂々として流麗な佇まいがセダンとして高い完成度をもっていたと思います。とくにAピラーを後ろに引いたスリークなキャビンによる車格感の高さや、クロームパーツ類による加飾的な質感は欧州のライバル車に肩を並べていました」。

──それに対して新型のコンセプトは「CREATIVE BLACK TIE」としましたが、その意図はどこにありますか?

「BLACK TIE」はドレスコードとして使われている言葉ですが、そこにCREATIVEを加え、フォーマルだけど個性的なスタイルを目指しました。セダンとしての基本をしっかり押さえ、どこに出しても恥ずかしくない信頼感や大人のセンスを示したい。そこで、先代に対してはクローム類をなくすこと、ノイズを減らしたシンプルな造形にすることを考えました」。

──パッケージ面では、先代と同じホイールベースに対し、全長を75mm延ばしました。長いオーバーハングはスタンスに悪影響を及ぼしませんか?

「延長分はフロントの歩行者保護要件に使っていますが、長いノーズはボディを低く見せることができるし、優雅さや伸びやかさも打ち出すことができます。また、オーバーハングの長さに対しては、ブラックのワイドなロアグリルによって鼻先を軽く見せているんですよ」。

──ファストバック風のシルエットは、たとえばアウディやBMWなど欧州のライバルを意識したのでしょうか?

「というより先代を踏襲した格好ですね。ただ、今回は骨格からすべて変えることでより伸びやかさを意識しています。とくに、ボディサイドの面のピークからリヤに向けて下る流れを作ることで、リヤスポイラーを先代より低く見せることができた。セダンとしてしっかり3ボックスに見えつつ、ぎりぎりファストバックでもあるんですね」。

「低く、薄く、長くワイド」である

 言いたいことがしっかり見えるデザインを目指す

──今回は「低く、薄く、長くワイド」をテーマにしています。最近は厚いボディに薄いキャビンが主流ですが、なぜそこまで「薄さ」にこだわったのでしょう?

「そこはホンダらしさでしょうか。1980年代のホンダ車はグラッシーなキャビンが特徴でしたが、基本はそれを引き継いでいる。ボディを厚くするとタイヤも大きくするなどクルマ全体が肥大してしまい、ランニングコストもかかってしまうんですね。また、薄さは視界の良さを重視した結果でもあるんです」。

──フロントグリルは繊細というか、構成パーツが薄く、折り紙のようなイメージが新鮮です

「はい。これはノイズを減らしてツルンとしたボディにすることと、ローアンドワイドを強調するためにシャープな造形を目指したものですね。先代は縦長のグリルでしたが、ここでも薄さを出したかった。これはリヤも同じで、ブラックのガーニッシュのなかにグラフィック類を収め、凹凸を極力なくしています」。

──ボディサイドではシンプルな面の張りが特徴的で、先代とはかなり表情が異なりますね

「先代のキャラクターラインは面を一度大きく引っ込めてから張り出したもので、非常にグラマラスな表現でした。新型は最近のホンダ車に沿い、ボディ全体をひとつのカタマリに見せるためにより繊細な表情とした。ここはモデラーの力が発揮された部分ですね」。

──しかし、こうしたシンプルな面に対しては専門家からも「ノッペリしている」「もの足りない」といった声が聞かれますが……。

「そうですね(笑)。全員に理解してもらうのは難しいのですが、ちゃんとわかってくれる人はいるだろうと……。私たちとしては、骨格のよさを前提にホンダらしいスポーティさ、ダイナミックさ、エレガントさなどを愚直にやることが大切だと思ってデザイン開発を行っています」。

──では最後に。前の質問にも関連しますが、今回の新型を手がけ、美しさとシンプルさを兼ね備えたデザインには何が必要だと感じられましたか?

「足し算のデザインは簡単ですが、やはり引き算は難しいですね。これは個人的な考えですが、シンプルとは何もないことではなく「洗練」だと思っています。いい方を変えれば一貫性を持つということで、「いいたいことが見えている」のが重要です。それには熟成が必須で、いろいろな雑音が聞こえても、そこまでグッと我慢することが大切なんですね」。

──意図が明快に見えるというのは重要ですね。本日はありがとうございました。

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みんなのコメント

4件
  • cid********
    シンプルをホンダの文化にするなら、20年は踏ん張って!
    昔のエレガントなホンダ車が好きでした。
  • ydw********
    どの業界でもそうだろうが、性能に支障がないのであれば、自分達のこだわりを持って作りたいものを作るのが良いだろうね。特にデザインなど、売れるからとアレでもないコレでもないと弄るのでなく、浸透するまで根気強くアピールしていくのが必要かと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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