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今年のスバルはひと味違う? モータースポーツでBEVを鍛える!? 「次世代スバルの走り」を探求って? 何が起きるのか

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今年のスバルはひと味違う? モータースポーツでBEVを鍛える!? 「次世代スバルの走り」を探求って? 何が起きるのか

■今年のスバルはひと味違う?

 スバルは2022年からスーパー耐久シリーズ(以下:S耐)のST-Qクラス(開発車両が参戦可能なクラス)に「Team SDA Engineering」として参戦しています。
 
 BRZを用いてCN燃料の実証実験、次期モデルに繋がる先行開発、そして人材育成を行なってきました。

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 中でも、同じ志で参戦するROOKIE Racing GR86とのガチンコ対決は、毎戦白熱したバトルを見せてくれました。

 今年で3年目となるTeam SDA Engineeringの活動ですが、その内容は少し変化しています。

 チーム代表である本井雅人氏は、1月の東京オートサロン2024会場で行なわれた「2024年スバルモータースポーツ活動計画」でこのように語りました。

「人材育成については不変ですが、今シーズンは将来のBEVを含めた市販車へのフィードバックを目的とした活動に切り替えます。

 シーズン途中から新たなマシンに変更し、近い将来お客様に届けられる技術を織り込みながらレース現場で車両を鍛えていきます」

 2024年シーズンのS耐の開幕戦はスポーツランド菅生で4月20-21に行なわれますが、それに先駆け3月31日に同サーキットで公式テストを実施。

 筆者は本井氏にもう少し突っ込んだ話を聞くために、足を運びました。

 早速SDAのピットに行くと、本井氏から「名刺が新しくなりました」と。肩書を見ると「経営企画本部」とありますが、本井氏は「会社からは『スバルのモータースポーツ活動を横串刺して見てほしい』と言われています」と教えてくれました。

 それはどういう事なのでしょうか。実はスバルのモータースポーツ活動は大きく2つに分かれています。

 1つはスバル自ら行なうもので、S耐に加えて全日本ラリー選手権(JRC)での技術サポートです。

 今年からWRX S4で戦う新井敏弘選手率いるSubaru Team ARAIにエンジニアが帯同。開幕戦の三河湾ラリーでは新たなトライ(専用DCCD制御)が行なわれました。

 結果はリタイヤでしたが、新井選手は「思ったよりもタイムが出ているので、クルマもとても良くなっている」と手ごたえを感じていたようです。

 更にS耐ではシーズン途中で新たなマシンへの変更を公言していますが、本井氏は新マシンについて意味深なコメントを。

「ラリーとレース、技術のやり取りは積極的にやるべきだと思っています」

 これに加えて、2024年スバルモータースポーツ活動計画の時に映し出された画像(BRZの後ろにチラッと映ったモデル)から推測すると、WRX S4なのは間違いなさそうです。

 もう一つはSTI社がリードして行なっているもので、スーパーGTとニュルブルクリンク24時間耐久レースです。

 スーパーGTはチャンピオン奪回、ニュル24時間はSP4Tクラス優勝が目標となっています。

 ちなみに今年のニュルは2009年に初参戦以降、長年に渡って陣頭指揮を取ってきた辰己英治氏のラストレースで、氏は「何としてでも勝って帰るつもりです」と語っています。

 実はこの活動にはスバルも間接的に関わっています。本井氏は続けます。

「形態やアプローチは異なりますが、どちらも『量産車開発』のために行なっている活動です。

 ただ、それそれの活動は独自に行なわれているため、『共有できているか?』と言われると。そこを何とかする事こそが、私のミッションであり役割と言うわけです」

■モータースポーツとBEV、どう繋がる?

スバルは2023年8月に電動化計画のアップデートを公表。

その内容は「会社の舵をバッテリーEVに切り、経営資源をバッテリーEVに集中する」と言うものです。

具体的には2028年末までにBEV8車種をラインアップし、2028年に北米でBEV40万台を狙うそうです。

2024年のS耐の活動は「将来のBEVを含めた市販車へのフィードバック」とありますが、多くの人はピンと来ていないようです。そこでズバリ、聞いてみました。

「BEVはバッテリー搭載で車両重量は重くなりがちです。

 それでも『スバルらしいね』と言ってもらうには、重くても運動性能を良くするためのシャシの考え方が必要です。その実証にS耐は活用できると考えました。

 つまり、重くても『速く、気持ちよく、/誰にも乗りやすい』走りの探求です」

 つまり、2024年のS耐の活動は個々のモデルの開発ではなく、「次世代スバルの走り」を探求するための開発と言うわけです。

 最後に多くの人が気になるWRCについて聞いてみました。

 最近ではモリゾウこと豊田章男氏がスバルに「WRCへの復活」というラブコールを送っていますが、どうなのでしょうか。

 本井氏は「個人的にはやりたいと思うのは当然です。ただ、やるためには『意義』がないと」

 筆者はこのように考えます。スバルはこれまでのWRC参戦で「クルマ」も「人」も鍛えられてきた事は間違いありません。

 ただ、残念ながら現時点ではスバルがWRCに参戦するメリットが少ないのも事実です。

例えば、世界選手権と言いながらもスバルがビジネスの主戦場する北米での開催が無い事、Rally1車両(トップカテゴリ)に適するモデルがスバルにラインアップされていない事など、マーケティングや耐費用効果なので面から見ると、旨味が少ないのです。

スバルのWRC復帰を願う豊田氏は、以前筆者にこのような話をしてくれました。

「私はFIA評議員をしていますが、以前からスレイエム会長と『Rally1が3チームじゃ少ないよね』という話はしています。

現在多くのメーカーのモデルが参戦するRally2は盛り上がっていますが、やはりWRCの頂点であるRally1を盛り上げるためには、参加者(=メーカー)を増やす必要があります。

スバルとは今も仲良くやっており、話し合いはいつもしていますよ」

つまり、スバルを“その気”にさせるためには、「WRCを変える」と言う決断も必要になってくるような気がしています。

 とは言え、スバルはモータースポーツ活動の意義を良く知るメーカーです。

 スバルのCTO・藤貫哲郎氏はこのように語っています。

「モータースポーツを経験すると、クルマ1台を見ることができるエンジニア、アジャイルに行動ができるエンジニアが育ちます。

 そのため、S耐のプロジェクトは若いエンジニアを中心に構成しています。

 量産車のエンジニアは『モータースポーツは自分達とは管轄が違うので』と言う人が多いですが、『いやいや、クルマである以上は何も変わらない。すべて量産技術に繋がっている』と言う事を、身を持って理解してもらいたいです」

※ ※ ※

 そのためには、今参戦しているカテゴリーで全力を尽くす事が大事。そのためにも皆で応援していくことが大切です。

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みんなのコメント

3件
  • kos********
    初代インプレッサWRX STI(250ps)に乗った時の衝撃が忘れられない。新社会人1年目だったが、即買いした。EJ20は「ボロロロロ」とBoxerエンジン特有の雄たけびを上げ、シフトアップしアクセルを踏み込むとシートに押し付けられるような過激な加速に病みつきになった。燃費は街乗り5Km未満、高速でも10Km程度だったが、当時はハイオクでもリッター100円前後だったから、ケチることもなかった。5年無事故で乗って買い取りは額は(確か)120万円だった。今中古車価格を見たら、同年代車が270万円!らしい。そのあと、3代目のレガシーワゴン(280ps)に乗って、BMWのM3にも乗ったが、初代WRX STIのステアリングを握った際の衝撃が忘れられない。スバルよ!あの衝撃を今一度!
  • 葛葉恭次
    鍛えるwww

    もう骨粗鬆症状態で息も絶え絶えのEVをこれ以上イジメるかw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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