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【最新CクラスにPHEV登場】メルセデス・ベンツ C 300eへ試乗 EVモードで99km

掲載 更新 1
【最新CクラスにPHEV登場】メルセデス・ベンツ C 300eへ試乗 EVモードで99km

PHEVの上級サルーンとして現状の最適解

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】Sクラス・ライト メルセデス・ベンツC 300e 競合する欧州のPHEVモデルと比較 全113枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


プラグイン・ハイブリッド(PHEV)に対する関心が高まる昨今だが、移動距離が長い英国の個人ユーザーにとって、さほど大きなメリットは得にくいというのが実情だ。

PHEVを選べば、優れた燃費でランニングコストを抑えることができる。だがそれは、PHEVに適した利用環境の場合に限られる。

EVモードで走れる距離は長いとはいえず、駆動用バッテリーの充電が切れてしまうと、増えた車重のために本来以上にエンジンは一生懸命働くことになる。燃費効率も悪化する。環境負荷の低減に矛盾していると感じても、不思議ではない。

しかし、新しいメルセデス・ベンツC 300eは、そんな否定的な考え方を改めてくれるかもしれない。PHEVという技術が、成熟しつつあることを体現している。

C 300eのEVモードで走れる航続距離は、カタログ上で99km。従来モデルの倍へ伸びている。

最大のライバルとなる、BMW 330eのEVモードでの航続距離は59km。アウディA4には今のところPHEVは存在せず、2023年まで待つ必要がある。

平日は純EVと同等に駆動用モーターだけで運転でき、週末やいざという時のために内燃エンジンと変わらない航続距離を備えたプレミアム・サルーンをお探しなら、新しいC 300eは、現状の最適解だといえそうだ。

C 300eには、ステーションワゴンもラインナップされる。訴求力を一層高めるボディスタイルだと思う。

パワートレインとシャシーの素晴らしい融合

ハイブリッド・システムのレイアウトは、見慣れた内容。25.4kWhと充分な容量を持つ駆動用バッテリーを車体後方の荷室フロア下に搭載し、エンジンとペアを組む駆動用モーターを動かす。

駆動用バッテリーは最大55kWの急速充電に対応し、最短30分で満充電になる。駆動用モーターは9速ATと一体になっており、最高出力は128psを発揮。エンジンは2.0Lの4気筒ターボガソリンで、最高出力は203psとなっている。

C 300eのシステム総合での最高出力は312psで、モデルチェンジ前より8psほど落ちているが、不足ない数字だろう。駆動方式は、当初は後輪駆動のみ。追って四輪駆動の4マティックも登場する可能性が高い。

PHEV化に伴い車重が増えていることもあって、C 300eは300馬力から期待するほど速くはない。正式な車重は発表されていないものの、約1850kgになるだろうと予想される。もっとも、PHEVは速く走るためのシステムではないのだが。

最新のCクラスの車内には、完全にデジタル化された環境が広がる。大きなモニターが据えられ、滑らかなデザインと豪華な設えで、価格が倍のSクラスを強く意識していることは明らかだ。

このC 300eでも、その難題はしっかりクリア。インテリアだけでなく、パワートレインとシャシーのマナーも出色といえ、素晴らしいブレンドに仕上がっている。

2クラスほど上の上質な移動体験

多くの場合、C 300eは流れるように滑らかに、粛々と進む。EVモードでの能力には余裕があり、必要に応じてガソリンエンジンがパワーをアシストしてくれる。

PHEVの実力を発揮させるような勢いで加速すると、エンジンがやや遅れ気味に起動し、こもったノイズが聞こえてくる。9速ATも最適なギアへ変速するのに、少し悩む場面も見られる。しかし、それは限定的。

BMW 330eの方が、ドライブトレインは快活に働き、ガソリンエンジンも軽快に吹け上がる。だが、直接に乗り比べなければ実感しにくい差異だろう。C 300eのオイルのような滑らかさは、明らかなストロングポイントだ。

C 300eの場合、ホイールは控えめな18インチで、PHEVのCクラスには共通でエアサスペンションが組まれる。そのおかげで乗り心地はハイペースでの郊外も、ゆったりとした市街地も、非常に好感触。

スプリングの設定はソフト志向で、ボディロールは大きめ。だが、しっかり制御できている。高速道路でも静かで、筆者の腕時計の針が動く音すら聞こえるほど。

腕時計の音は、走行時の洗練性を評価する1つの指標にしているのだが、Cクラス級のDセグメント・サルーンで聞こえるのは異例。通常、2クラスほど上のモデルで達成できる水準といえる。

試乗車はC 300eのAMGラインだったが、18インチホイールとの組み合わせは、Dセグメントで最もリラックスした移動を叶えてくれるといっていい。

Sクラス・ライトとしての目標を達成

トレードオフは、興奮するような要素が殆どないこと。力強くグリップし、シャシーバランスにも優れるが、ステアリングホイールの感触は非常に薄い。ペースを速めても、楽しさが生まれてこない。

ブレーキペダルを踏んだ時の感触も、正確性に欠ける様子。とはいえ、郊外の道をハイペースで流す場面でも、柔らかいサスペンションが充分に対応してくれる。PHEVのBMW 3シリーズに離されることはないだろう。

メルセデス・ベンツは、常に奥深い味わいを与えてくれる。最新のCクラスも同様だ。ラグジュアリーで好燃費なC 300eは、Sクラス・ライトとしての目標を、見事に達成できていると感じた。

メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4500ポンド(676万円)
全長:4751mm
全幅:1820mm
全高:1438mm
最高速度:244km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:90.9-142.8km/L
CO2排出量:14-24g/km
車両重量:1850kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:312ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:9速オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • 本国で676万だと日本では750万位かな。
    Cクラスもベース車で650万と新車はちょっと
    手が出ない価格まで上がってしまった。
    今までが安かったと言えばそれまでだけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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