現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」

ここから本文です

フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」

掲載
フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」

 フェラーリのレース兼テストチームマネージャーであるジュアーノ・サルヴィは、イタリアのチームが、まだ『フェラーリ499P』を80パーセントしか理解していないと述べ、新しいサーキットを訪問することでWEC世界耐久選手権への挑戦についてより多くのことを学んでいると主張した。

 フェラーリAFコルセは昨年WECのトップクラスでデビューシーズンを成功させ、『499P』では初出場となったル・マン24時間レースで優勝し、富士を除くすべてのサーキットで表彰台を獲得するなど実質的にトヨタの唯一のライバルとなった。

「フェラーリは戦略以外のすべてで強い」と逆転勝利のトヨタ技術首脳。改善傾向のタイヤ摩耗も警戒

 新しいシーズンを迎えた彼らは、開幕戦のカタール1812kmでは地味な成績に終わり、母国ラウンドとなった第2戦イモラではドライコンディションにおいては速さを見せたものの、最後まではうまくいかず。レース後半に雨が降り出した際の致命的な戦略ミスによって敗戦。表彰台にも立つことができなかった。

 そんなイモラ6時間を前にサルヴィは、イタリアのメーカーがカタールで4位・6位・12位という結果に終わった後、マシンのポテンシャルを最大限に引き出せなかったことを不満に思っていると述べていた。しかし彼は、カタールやイモラといった新しいサーキットを訪れることで、499Pのより多くの部分を理解することができると強調した。

「昨年のシーズン終了後、異なるレイアウトの(トラック)でクルマを見る機会があったため、マシンを全面的に見直すことができた」と同氏は語った。

「高速サーキット、低速サーキット、さまざまなコーナーのあるサーキットを走ったことで、自分たちの(クルマの)長所と短所がはっきりとわかった」

「いま、我々はこのクルマについて80パーセント理解していると思う。ただ、残り20パーセントについて、もっとうまくコントロールする必要がある」

「いろいろなサーキットを走ってデータを集めれば、私たちはますます多くのことを知ることになるだろう。(プロトタイプレースの分野で)50年間データがなかったんだ! マラネロにはそれについてゼロから構築するサーバーがある」

「昨年はいい仕事をしたが、我々は新参者だった。ゆえに学習曲線はかなり険しかった。それは依然として急ではあるが、もう少し安定させるべきだと考えている」

 なおフェラーリは、カタールとイモラだけでなく、2024年カレンダーの後半に控えるインテルラゴスとサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)というふたつの新しいサーキットを、開幕2戦の舞台に加えてまた新たに学ぶことになる。

「昨年は新しいトラックに直面するたびに多くのことを学んだ」とサルヴィは続けた。

「オースティン(COTA)はまた新しいサーキットで、非常にバンピーだ。そこでMotoGPのレースを見たが、とてもバンピーだった」

「同じようにインテルラゴスも初めて訪れることになる。標高の高いトラックだ。それは私たちにさまざまな特徴を与えるだろう」

■タイヤの劣化については問題をほぼ解決か

 サルヴィによると、フェラーリAFコルセには今年から新しいチームメンバーが何人か加わっておりスタッフ間のコミュニケーションを磨いている最中だという。

「冬の間に人員面で若干の好転があった」と彼は説明した。「ポテンシャルのある新人もいるが、まだ完全に(チームに)溶け込んでいるわけではない」

「私たちは、無線通信のような簡単なことだけでも、すべてを整理することに取り組んでいる。何人かの新人は情熱に溢れているが、時にはもっと効果的なコミュニケーションが必要かもしれない。それは簡単ではないんだ」

「アングロサクソン系の人たちにとっては、もっと自然なことなのかもしれない」

「しかし、私たちはこの種のことに取り組む必要がある。これはゲームの一部であり、チームの中で築き上げ成長させるべきことのひとつだ」

 タイヤのデグラデーション(劣化)は、昨シーズンのハイパーカーのライバルたちに比べてフェラーリの“弱点”と考えられていたが、サルヴィはカタールのレースがマラネッロのフェラーリがこの面で進歩したことを示したと考えている。

「カタールでさえ、499Pのデグラデーションは悪くなかったと見ている。(2023年末の)バーレーンも悪くなかったし、カタールのために多くのことに取り組んだ」

「私たちはタイヤとは別に、ドライブスルー(ペナルティ)のような問題もあった。でも、デグラデーションはまったく悪くなかった。我々は正しい方向に進んでいると確信している」

 地元イモラでのイベントの後、フェラーリ勢のベストリザルトがふたたび4位だったことを受け、サルヴィは「このクルマには間違いなく満足している」と付け加えた。

「カタールの後、私たちは適切な方法でクルマを開発した。そして、ドライバーたちが(マシンに)満足しているのを見ることができた。それゆえに(結果については)最悪な部分だったのは確かだ」

こんな記事も読まれています

RBのホームレースで2台揃ってQ3進出「今週末の裕毅はとても乗っていた」とHRC折原氏。CEOも称える/F1第7戦
RBのホームレースで2台揃ってQ3進出「今週末の裕毅はとても乗っていた」とHRC折原氏。CEOも称える/F1第7戦
AUTOSPORT web
アップグレードは「期待どおりに機能した」とメルセデスF1。一方で不安定な挙動のせいで恩恵も減っていると認める
アップグレードは「期待どおりに機能した」とメルセデスF1。一方で不安定な挙動のせいで恩恵も減っていると認める
AUTOSPORT web
角田、今季最高グリッド獲得でチームへ感謝「クルマにペースがなければ今日のようなアタックはできなかった」/F1第7戦
角田、今季最高グリッド獲得でチームへ感謝「クルマにペースがなければ今日のようなアタックはできなかった」/F1第7戦
AUTOSPORT web
フェラーリでなにが? 突然の交代、ルクレールがチームと自身の凱旋レース前にエンジニアを代えた理由
フェラーリでなにが? 突然の交代、ルクレールがチームと自身の凱旋レース前にエンジニアを代えた理由
AUTOSPORT web
ルクレール、予選でトップを維持できず「アップグレードの最適化にはもう少し時間が必要」フェラーリ/F1第7戦
ルクレール、予選でトップを維持できず「アップグレードの最適化にはもう少し時間が必要」フェラーリ/F1第7戦
AUTOSPORT web
プジョー、WECスパでの9X8のペースに落胆も、次戦のル・マン24時間では異なる結果に期待
プジョー、WECスパでの9X8のペースに落胆も、次戦のル・マン24時間では異なる結果に期待
AUTOSPORT web
同じにはならない「セカンドマシン問題」。2027年以降の新マシン規則/MotoGPの御意見番に聞くフランスGP
同じにはならない「セカンドマシン問題」。2027年以降の新マシン規則/MotoGPの御意見番に聞くフランスGP
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、コースオフを繰り返し、0.541秒差の7番手「ひどい一日。快適に走れなかった」/F1第7戦金曜
フェルスタッペン、コースオフを繰り返し、0.541秒差の7番手「ひどい一日。快適に走れなかった」/F1第7戦金曜
AUTOSPORT web
【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】重要イベントで勝利。コース内外でレッドブルにプレッシャーをかけるブラウン
【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】重要イベントで勝利。コース内外でレッドブルにプレッシャーをかけるブラウン
AUTOSPORT web
ハミルトン、メルセデスにアントネッリの起用を促す。「僕なら、おそらくキミを迎え入れるだろう」
ハミルトン、メルセデスにアントネッリの起用を促す。「僕なら、おそらくキミを迎え入れるだろう」
AUTOSPORT web
レッドブルは優位でも「もはや安全地帯にはいない」とフェラーリ代表。もう少しの改善で毎週末戦えるようになると期待
レッドブルは優位でも「もはや安全地帯にはいない」とフェラーリ代表。もう少しの改善で毎週末戦えるようになると期待
AUTOSPORT web
マイアミで敗れたレッドブルF1「マクラーレンより遅かったのは事実」とマルコ。次戦イモラでアップデートを実施へ
マイアミで敗れたレッドブルF1「マクラーレンより遅かったのは事実」とマルコ。次戦イモラでアップデートを実施へ
AUTOSPORT web
オー・ルージュでトヨタらを続々オーバーテイクのルーキー「完璧なレース。赤旗がチャンスを奪っただけ」プロトン大躍進
オー・ルージュでトヨタらを続々オーバーテイクのルーキー「完璧なレース。赤旗がチャンスを奪っただけ」プロトン大躍進
AUTOSPORT web
「勢いを保てればチャンピオンになれる」選手権首位キャシディが語る4年目のFE。ダ・コスタはWEC復帰を望む
「勢いを保てればチャンピオンになれる」選手権首位キャシディが語る4年目のFE。ダ・コスタはWEC復帰を望む
AUTOSPORT web
ラッセル「毎週5位~8位を争うのが現状」短期的な解決策は役に立たず、今後数週間は“痛みを伴う”と覚悟
ラッセル「毎週5位~8位を争うのが現状」短期的な解決策は役に立たず、今後数週間は“痛みを伴う”と覚悟
AUTOSPORT web
ハースF1残留を望むマグヌッセン。加入が噂される若手については「プロフェッショナルで一貫性があることを願う」
ハースF1残留を望むマグヌッセン。加入が噂される若手については「プロフェッショナルで一貫性があることを願う」
AUTOSPORT web
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第6戦】「どんどん強くなる。まだ限界が見えない」代表も太鼓判のポテンシャル
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第6戦】「どんどん強くなる。まだ限界が見えない」代表も太鼓判のポテンシャル
AUTOSPORT web
レッドブル&HRC密着:RB20に5つのアップデートを実施。初日は「期待ほどパフォーマンスはよくなかった」と不安が残る
レッドブル&HRC密着:RB20に5つのアップデートを実施。初日は「期待ほどパフォーマンスはよくなかった」と不安が残る
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村