スバル クロストレック 「ジャストサイズの本格派マルチSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
3
燃費
3
価格
4

ジャストサイズの本格派マルチSUV

2022.11.28

年式
2022年12月〜モデル
総評
扱いやすいボディサイズ、スバル伝統のAWD技術、最低地上高200mmと基本はしっかりと抑えた。XVユーザーからクロストレックへの乗り換えも予想できる。先進安全技術のうち新世代アイサイトとなり3つの光学式カメラで車両前方を認識することで、これまで以上に事故の抑制効果がえられるはずだ。個人的に惜しいなと思うのは、全高が1575mm〜となっていること。従来型はルーフレールなしの場合でルーフアンテナを倒すと都市部の立体駐車場でも許容可能な1550mmだった。
満足している点
あくまでも生産車となる前のプロトタイプからの判断となるが、大きく高められた質感はクロストレックの大きな武器だ。車内中央にかまえる縦型11.6型モニターは走行時のブラインドタッチがしやすい。安全面ではアイサイトが新世代となった。レヴォーグなどのようにアイサイトXは名乗らないが、従来からの複眼式カメラ(ステレオカメラ)に、新たなセンサーとして広角カメラを搭載。都合3つのカメラでセンシングする。これにより、他車と重なる位置にいる二輪車や歩行者の認識能力が高まった。
不満な点
プロトタイプでは走行条件や触れる時間に限りがあったので不満は見つからなかった。強いていえばアイサイトXとしなかったことくらいだ。もっとも、e-BOXERはモーターの出力/トルクが小さく、燃費数値の上での貢献が見込めても走行性能の大幅な向上は得られない。また、競合他車と比較すると、カタログ上のスペック面でアドバンテージがあるとはいえない。販売がスタートする際には、別のパワートレーンの発表があるのか……。このあたりの発展が望まれるところだろう。
デザイン

4

インプレッサをベースにしたSUVモデル「XV」が新型となるにあたって「クロストレック」に名称を改めた。スタイルはベースとなる標準ボディからホイールストロークを伸ばし前後タイヤフェンダーに樹脂モールを装着し存在感をアップさせた。いわゆるSUV専用ボディではないところがポイントで、全高が高くなりすぎない、走行性能にネガティブな面が出ない、車両重量が重くなりすぎない、このあたりが大きなメリットだ。新型のクロストレックでは扱いやすいコンパクトなボディサイズも他車との違いだ。
走行性能

3

搭載するパワーユニットはデビュー時点で水平対向4気筒2.0Lのハイブリッドシステムで、スバルでは「e-BOXER」と呼ぶ。現時点(2022年11月)ではプロトタイプのみが発表されており発売はこの先だ。エンジンは出力145PS/19.2kgf・m、モーターは13.6PS/6.6kgf・mを発揮する。この数値そのものは先代モデルにあたる「XV」から変化はないが、クロストレックとなり、兄貴分の「レヴォーグ」同様、インナーフレーム構造を採用したことで走行性能は大幅に向上している。
乗り心地

3

プロトタイプ試乗からわかることは、乗り味の大きな進化だ。インナーフレーム構造は、荒れた路面やカーブなどボディに強い力がかかった際に大きな能力を発揮する。ボディ全体でしっかりと力を受け止めて、サスペンションにしっかり仕事をさせるのだ。だから、乗員すべてがリラックスして乗っていられる。遮音性も向上した。反応の良いCVTとの組み合わせだが、元気よく走らせるとエンジンの高回転域を多用する特性でありながら、XVよりもエンジン透過音は低く、振動も少ない。
積載性

3

ボディサイズがそれほど大きくないが積載能力は高い。スバルの伝統であるラゲッジルームの使いやすさはクロストレックも同様だ。マルチリンク式のリヤサスペンションだが、張り出しは少ない。前席周辺の収納スペースは数も多く、それぞれに容量があるから使いやすい。センターコンソールは運転席、助手席、どちら側からもアクセスしやすいし、シフトノブ周辺もカップホルダーの配置に工夫を凝らすことで使い勝手を向上させている。
燃費

3

こちらもプロトタイプなので生産車の数値はないが、先代XVではWLTC値で15.0km/L、市街地モード11.5km/L、郊外モード15.5km/L、高速モード16.8km/Lだった。クロストレックも同様かそれを少し上回る値になるか……。4WDに加えて、XVのe-BOXERには設定がなかった前輪駆動のFFもラインアップするので、燃費数値では期待がもてる。なみに、XVには1.6Lがあり、そちらは13.3km/L/9.6km/L/13.9km/L/15.4km/Lだった。
価格

4

プロトタイプの発表からしばらくして価格が公表された。FFモデルが2,420,000円からのスタートで、4WDモデルが2,620,000円からのラインアップとなる。上級グレードでもFFで2,790,000円から、4WDが2,990,000円からとなるため、性能と見合う価格帯であるといえる。発売は2023年春なので、納車待ちがどれほど発生するのか不明だ。e-BOXERでは使用する高精度な半導体の数も増える。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

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