三菱 eKクロススペース 「実体はスライドドア化したekクロス」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
5
燃費
2
価格
3

実体はスライドドア化したekクロス

2022.12.21

年式
2020年3月〜モデル
総評
後席スライドドアの軽自動車は人気が高い。毎日の買い物や子供の送り迎えなど、ファミリーユースではスライドドアの使い勝手は外せないという。そこに三菱が得意とするRVテイストをふんだんに採り入れた。さらに、この内外装デザインに抵抗があるユーザー向けにekワゴンをベースをしたシンプルデザインの「eKスペース」を用意した。まさに取りこぼしなしといったところ。付け加えるならば、NAエンジンの動力性能に少しゆとりがほしい。
満足している点
SUVテイストをもたせたデザインと、後席スライドドアによる利便性を組み合わせたこと、これが販売台数を押し上げた。後席のスライド量が320mmあるため、居住性/積載性のうちどちらを優先するかなど、状況により使い勝手を向上させることができる。ここもボディサイズに制約がある軽自動車にとって有利だ。しかも室内高は最大で1400mmと高いから子供であれば立ったまま車内の移動が可能だし、高齢者の乗り降りにも便利だ。
不満な点
さすがに車両重量が1000kg近くなると、いくらハイブリッドシステム(モーター出力2.7PS、同トルク4.1kgm)があるとはいえ、NAエンジンとの組み合わせでは余裕が少ない。高速道路で多人数乗車となると、終始エンジン回転域は高まるから遮音性に優れるekクロススペースでも正直つらいところだ。理想はターボ・ハイブリッド。最大トルク値である10.2kgmを常用域である2400〜4000回転で発揮するためゆとりが大きい。
デザイン

4

カテゴリーで分類するとハイトワゴンと呼ばれるのが全高(1650〜1670mm)の「ekクロス」。その全高をさらに高めたのが「ekクロススペース」だ。全高1780〜1800mmとしたことからスーパーハイトワゴンに分類される。後席ドアをekクロススペースではファミリー層に人気のスライドドアに変更した。それでいて全体のシルエットはekクロスそのものだから、躍動感にあふれる。ボディカラーも豊富に取り揃え、競合車との差別化を図った。
走行性能

3

ekクロスに対して車両重量が120kgほど重くなっていること、全高も130mm上がっていることから走行性能の違いは随所に感じる。加速性能を担保するためCVTの最終減速比をekクロスに対し12%ほどローギヤード化しエンジンの常用回転域を上昇させ、不足するであろう出力とトルクを稼いだ。結果、十分に満足のいく走りになった。重心の高さもロールセンターの見直しで対処している。同時に遮音性も見直され、静粛性は保たれたままだ。
乗り心地

2

車両重量の増加にサスペンションのダンパーやスプリングを最適化して対処しているため、走行性能は満足がいくが、やはり乗り味に関しては若干硬めの印象だ。ロールそのものが少なく、カーブでも安心して走れるし、高速道路で受ける横風への耐性も強いが、それは足元を引き締めた効果であり、その反作用として低速域では突き上げが大きめ。14インチタイヤ仕様であればマイルドになるものの、今度は走行性能でのマイナス面が顔を出す。
積載性

5

さすがスーパーハイトワゴン。ラゲッジルームの積載能力はすばらしい。リヤゲート開口部の最大幅は1050mm、開口部の高さは1080mmとほぼスクエアなので荷物の出し入れは車内に乗り込んでも行える。リヤゲート下端部の地上高はFFで590mm、4WDでも610mmだから、自転車も楽に収納できる。後席は最大で320mmスライド可能。樹脂仕様のラゲッジボードとPVC仕様の後席シートバックの設定もあるから気兼ねなく積み込める。
燃費

2

FFモデルのNAハイブリッドがWLTC総合値で20.9km/L、4WDモデルが19.0km/Lだ。ターボ・ハイブリッドになると、FFモデルが19.2km/L、4WDモデルが17.5km/L。ekクロスとの比較では、それぞれ23.3km/L、21.1km/L、21.5km/L、19.4km/Lだから車両重量増加分、前面投影面積増加分を考えれば順当な値。ただ、FFモデルのNAハブリッドでのWLTC高速道路モードは走行負荷増のため燃費値が悪化した。
価格

3

2019年当時の価格は、「M」のFFモデルが1,655,500円、同4WDモデルが1,787,500円。中間グレード「G」のFFモデルが1,771,000円、同4WDモデルが1,903,000円。そして、トップモデルにしてターボ・ハイブリッド「T」のFFモデルが1,859,000円、同4WDモデルが1,991,000円だ。GとTグレードにはメーカーオプションとしてMI-PILOTを含む「先進快適パッケージ」が設定されていた。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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