マツダ CX-60 「すべて新規開発した世界戦略SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
3
燃費
5
価格
5

すべて新規開発した世界戦略SUV

2022.8.9

年式
2022年9月〜モデル
総評
良い物への考え方は一つであるとするマツダの信念から生み出されたCX-60。この先、10年〜20年かけて真価が問われるのだろう。個人的にはBEVへの対応やロータリーエンジンを活用したシリーズハイブリッドにも興味津々だが、CX-5がマツダを支えたように、今度はCX-60がマツダの躍進をもたらす存在になってほしい。
満足している点
「身体拡張能力」のひとつとしてマツダがこだわり続けた設計思想がエンジンサウンドだ。人が気持ちよいと感じる音の干渉を加えることで、伸びのある重厚なハーモニーを奏でる。シートも良い。マツダ3からの腰で支えるシート構造を昇華させ、加速力を腰で実感できるような体圧分布を実現。ボディは大きいが視界は広く、死角も少ない。
不満な点
国内の立体駐車場事情にそぐわない車幅(1890mm)と、8速ATの制御に不満を覚えるが、それ以外に気になる点は少ない。それよりも、せっかく新規に開発した技術(エンジン、プラットフォームなど)をCXシリーズ、つまりSUVだけに留めておくのはもったいない。派生車種があるからこそ、SUVであるCX-60の美点が活かされるからだ。
デザイン

4

後輪駆動のFR方式を採用するため、車体の土台であるプラットフォームを新規開発。エンジンも直列6気筒の3.3Lディーゼルを新規に開発した。そのため、デザインはいかにも後輪駆動らしい。エンジンフード部分が長く、キャビンは後ろへセットバックされた。背の高いSUVながらスポーツカー的なスタイリッシュな風貌となった。
走行性能

4

直列6気筒3.3Lディーゼルターボのほかに、同エンジンにマイルドハイブリッドシステム(MH)を組み合わせた。MHモデルでは254PS/56.1kgf・mを発揮する。最大トルクは1500回転で発揮され2400回転まで継続するから、8速AT(トルコンレスの1モーター2クラッチ方式)との組み合わせで途切れなく加速する。
乗り心地

4

第6世代の最初期モデルである2012年のCX-5以降、マツダは乗り心地と操縦安定性を高い次元でバランスさせてきた。CX-60ではさらに後輪駆動らしさをサスペンションとKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)制御で作り込み、さらにしなやかな乗り心地を両立させている。ロードスター同様の凝った開発プロセスを経た。
積載性

3

CX-5からボディサイズは拡大されているが、ラゲッジルームに関してはほぼ同等。ただし、絶対的な積載量は十分で、分割可倒式リヤリートを活用すれば長尺物積載も楽にこなす。後輪サスペンションの張り出し量も少なく、積み込みやすい。いわゆる自動開閉機構がないモデルでもゲート開閉に必要な操作力は少なくて済む。
燃費

5

CX-60では3.3Dと3.3D+MHのほかに、ガソリンエンジンとして直列4気筒2.5Lと同PHEVモデルがある。WLTCの最大値は3.3Dで19.8km/L、同MHで21.1km/L。2.5は14.2km/Lで同PHEVは執筆時現在で未定とある。3.3Dの実用燃費は高く、コンパクトSUVのCX-3並の数値だ。
価格

5

2,992,000円から始まる価格設定はバーゲンプライスだ。装備内容が異なるから単純比較はできないが、これまでの主力であったCX-5から313,500円高いだけだ。エンジン、プラットフォーム、サスペンションなどすべて新規開発しながらこの価格に抑えたマツダの戦略。さっそく市場からは好意的に受け入れられ受注は好調とのこと。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
マツダ CX-60 新型・現行モデル

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