レクサス NXハイブリッド 「PHEVモデルを有する電動化レクサス」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
3
燃費
3
価格
3

PHEVモデルを有する電動化レクサス

2022.6.24

年式
2021年11月〜モデル
総評
レクサスに限らずだが、同一ブランドでこれだけSUVが増えると差別化を保つのが難しくなる。技術者からすればプラットフォームが異なりボディサイズや電動化の制御が違うとなるから理論破綻していないのだろうが、ユーザーからすれば価格とサイズの違いが主体となる。この先はいかにして同一ブランドの車種間で個性を明確に主張できるか、ここが生き残りを左右する。NXはその最初の一台となった。
満足している点
レクサスはいわゆる乗り味に代表される走行性能を特化させ、その上で電動化、さらにはレクサスらしい上質さを携える。欧州ブランドに本気で立ち向かうことを主眼とした。いざ乗り込んでみると確かに上質だが、欧州各モデルと違って、乗り味は全般的にしなやかさを押し出す。それは性能に特化したF SPORTであっても同じ。独自の世界観をクルマ全体で演出している点に好感を抱く。
不満な点
電動化への難しさを自ら証明した。450h+では18.1kWhの大容量バッテリーを床下に配置。低重心化とロールセンターの最適化によって運動性能そのものは非常に高い。が、レクサスがねらったしっとり感からは遠ざかっている。350hでは達成できていることから、これはひとえにバッテリー重量の増加による物理的な課題。2次バッテリーの進化と共に解決策を待ちたい。
デザイン

4

レクサス初のプラグインハイブリッドを搭載した450h にはじまり、2.5Lハイブリッドモデルの350hと2タイプの電動化モデルをラインアップする。デザインの上からもこれまでよりも塊感を出しながら各所のエッジを効かせた新しいデザイン言語で勝負をかけた。先頃発表されたBEVである「RZ」や、クーペライクなSUV「新型RX」とのバランスも考慮された独自の世界観だ。
走行性能

5

450h は直列4気筒2.5Lに182PSのモーター、後輪にE-Four用の54PSのモーターを持つ。350hも同じ2.5Lで備わる前後モーターも同じ(FFは前モーターのみ)。違いはバッテリー容量と電力出力特性。450の18.1kWhに対して350は1.1kWh。350の全開加速を1とすると、450は2倍以上の加速度イメージ。躍度コントロールも450はかなりアグレッシブで強烈。
乗り心地

3

同じハイブリッドでも350と450でずいぶんと異なる。350hはガソリンモデルと遜色ない滑らかさがあり、後輪からの突き上げもマイルド。それが350h比で190kg重くなる450h では、ちょっとした段差でも車体が敏感に反応する。振動特性そのものはマイルドながら、終始、重いバッテリーが車体下部にあることを意識させられる。ランフラットタイヤとの相性に左右されているようだ。
積載性

3

後席は6:4の分割可倒式でグレードによっては電動格納機能まで付く。リヤゲートには足を車体下部に出し入れすることで開閉可能な電動バックドア機能も用意された。容積そのものは520〜1411Lとそれほど大きくないものの、SUVならではの高さを活かしたラゲッジルームでかさばる荷物も積載しやすい。床、サイドと周囲に敷き詰められたカーペットの毛足が長く、上質だ。
燃費

3

450h のWLTC値は19.8km/L、対する350h(4WD)は19.9km/Lだ。バッテリー搭載量が16倍多い450h の数値が350hに近いのは走行パフォーマンスに振ったハイブリッドシステムだからだ。ちなみに450h のEV走行モードは88kmと長い。試乗した都内ルートでは平均車速が13km/h程度だったこと、走行性能の確認を繰り返したことから、12km/h程度だった。
価格

3

350hが5,200,000円から、450h が7,140,000円からとかなり高額。もっとも、このクラスの輸入SUVを購入するとなると2.0Lターボモデルであっても優に500万円を超え、パッケージオプションを選ぶとすぐに100万円以上高くなる。その点、この2モデルはハイブリッドで装備も最初から充実している。ちなみに2.4Lターボの350(4WD)は5,990,000円だ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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