ホンダ ステップワゴン 「ステップワゴンの良いところをキープした進化」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
5
燃費
3
価格
5

ステップワゴンの良いところをキープした進化

2022.8.19

年式
2022年5月〜モデル
総評
新型になって良くなったのは事実であるが、ライバルと比べると新型になったという感動は少し薄い気がする。とは言え、メカニズムはもちろん各種装備も進化をしているし、それでいて価格設定が先代から大幅に上がっていないのはホンダに拍手を送りたいポイントだ。3列目の床下収納といったステップワゴンしか持ち合わせていない武器もあるので、このクラスのミニバンを購入検討するのであれば、ぜひ候補に入れておくべき1台であろう。
満足している点
先代モデルからさほど変わっていない価格設定と、3列目シートを床下収納できるというポイントが、ライバルに比べて良い点と言える。実際に見積もっても想像していた金額との差異が少ないものと思われる。また、3列目を床下収納できるのは、現状ステップワゴンだけとも言える状況だ。この利点が好きでステップワゴンを乗り継ぐ人も少なくない。イニシャルコストパフォーマンスの高さと、3列目のパッケージングは他にはないステップワゴンの強みだ。
不満な点
ライバルに比べて燃費性能が気になるという声もあるかもしれない。確かにそうかもしれないが、気になるほど大きな差ではないと思う。それよりも乗り心地の硬さの方が気になる。乗り心地が悪いという訳ではないのだが、1世代前のようなコツコツ感を感じてしまう。先代よりも重たくなった車重も影響しているのかもしれないが、それが乗り心地や各種走行性能にも悪影響を及ぼしているという印象を受ける。それはライバルと比べた場合でも同じ。家族のミニバンということを考えると、懸念材料となる場合もあるだろう。
デザイン

5

ミニバンの場合、全体的なシルエットは似通ってしまうが、初代をオマージュしたようなステップワゴンらしい各種ラインは、キャラクターが表れていて好印象。そのステップワゴンらしさの中に、灯火類やグリルなどのデザイン処理で今風なエッセンスを加えている部分も良い。一目見てステップワゴンと分かるし、初代のような懐かしさや親しみやすさもある。それでいてパッと見て今風に仕上がっているのだから、とてもバランスのとれた万人に受けるデザインとなっている。
走行性能

3

加速性能に関してはガソリンだとやや物足りないという声もあるかもしれないが、ニーズを考えれば十分と言えるのではないだろうか。少なくとも不足は感じない。また、この手のミニバンとしては珍しくパドルシフトが装備されているのも好印象。エンジンブレーキをストレスなくコントロールできるのは嬉しいというお父さんも多いはずだ。ただ、重量感を感じるのは少し気になる。ミニバンにそれを求めてはいけないかもしれないが、他の同クラスミニバンと比べて重心が高く、ロールが大きいという印象だ。
乗り心地

3

決して乗り心地が悪いという訳ではないが、特出して良いとも感じない。正直ライバルと比べると少し固めで、ゴツゴツとした印象がある。通常の走行ではあまり感じないかもしれないが、つぎはぎの多い荒れた路面では気になるという声もあるだろう。この点は車重の違いでハイブリッドとガソリンでも違うと思うし、2WDと4WDでも異なるポイントだ。不快というレベルでは全然ないが、ライバルと比べると乗り心地は少し気になるポイントと言える。
積載性

5

ライバルに比べて大きく積載性が高い、という印象はないものの、このクラスのミニバンとしては十分な積載性と言える。しかし、ステップワゴンのラゲッジスペースでの真価は3列目のシートが床下収納であるというところだろう。これが出来るミニバンはもう市場だと他にないと言ってもいいだろう。3列目を使わずに多くの荷物を載せたい時はとても便利だし、何より斜め後方の視界が変わらないというのも嬉しい。そしてこの3列目の収納がとても簡単というのも購入を検討する人にとっては大きなポイントになるはずだ。
燃費

3

ハイブリッドでWLTCモード20.0km/L、ガソリンで13.9km/Lという燃費性能は十分と言えるだろう。ただ、ライバルに比べると一歩劣るという印象もある。燃費性能だけで見るならば他の選択の方が幸せになれるはずだ。ただ、1800kg近い車重のクルマがこれだけ走るということを考えると立派な性能と言えるだろう。
価格

5

先代モデルよりも値上がりはしているものの、300〜400万円という価格設定はライバルに比べてリーズナブルと言える。また、各種装備が標準装備となっていて、選択すべきオプションが少ないのも魅力的なポイントと言えるだろう。価格設定はリーズナブルであるが、内外装の質感が劣るということはないし、走りの方も安っぽさがある訳ではない。このクラスのミニバンでイニシャルコストのコストパフォーマンスを求めるのであれば、最有力候補と言える。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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