レクサスESは高級FRキラーだがFFの限界も。デジタルミラーは未完成
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦 2
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦 2
話題にもなっているデジタルアウターミラー(サイドミラー)についても触れておこう。はっきり言って個人的には(現状では)オススメできない。特に夜道を走る頻度が高い場合はなおさらだ。
まず、クルマの運転に慣れている人ほど使いこなしに慣れが必要。モニターが近いので焦点が合わせづらく、目が疲れる。さらに問題なのは、画面に映る対象車との距離感が掴みにくいこと。また、サイドの死角に車両がいるときの警告表示の開始が甘すぎて、車線変更できるか瞬間的に判断がつかない。画素数も粗く、昼は問題ないとしても、夜は後方車両が判別しにくい。カメラを広角に切り替える操作も、スイッチの場所が悪く直感的に使えない。
革新的なアイテムなので、多少の慣れが必要なのは仕方ないとも言えるが、現状のレベルだと慣れというより事前のトレーニングが必要。今の完成度なら、せめて光学ミラーと切り替え式にしてほしい。
もちろん、風切り音低減や、死角が小さいため交差点などで歩行者が確認しやすく、雨の日でもクリアな視界が得られるなど、メリットは大きい。今後の可能性は無限大で、危険な状況でフロントガラス等に警告を表示するなど、AR(拡張現実)への展開も期待出来る。レクサスにはさらなる技術改善をお願いしたい。
最後にこのES、ライバルは世界中のセダンとなりそうだが、直接的なライバルは不在であり、FF高級セダンという新ジャンルとして評価できる。後席をはじめとする室内空間の広さ、荷物の積載力、静かで上質な走り、それらを500万円台後半~700万円の価格レンジに収めている。バランスの良い仕上がりがESの魅力だろう。
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五味康隆(ごみ やすたか):モータージャーナリスト
自転車トライアル競技で世界選手権に出場。その後4輪レースに転向して全日本F3選手権で3年間戦ったのち、モータージャーナリスト活動を開始するという異色の経歴を持つ。確かなドライビング理論と優れた運転技術に裏付けされた解り易い解説には定評がある。みんカラブログ「eカーライフ」Youtubeチャンネル「E-CarLife」、各種SNSでも積極的に情報発信している。
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