ジムニーをかわいいだけで選んでいいのか実際に乗って考えてみた
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:小林 俊樹 11
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:小林 俊樹 11
そう考えると、女性にとってはジムニーよりもパワーのある1.5Lエンジンを搭載する「ジムニー シエラ」の方がしっくりくるのかもしれない。そもそもジムニーは、見た目は従来のモデルらしく無骨な感じは残るものの、室内は静粛性が高くて軽自動車っぽさを感じさせないし、インテリアもこだわりがあるデザインだったり、触ってみた感触はどこもモダンにまとめられている。そうすると、軽自動車のパワーのないエンジンだけが少し取り残されてしまっているような気がしたのだ。
シエラとジムニーの違いはそのエンジンとタイヤの上に張り出すオーバーフェンダーくらいで、それ以外の見た目とか内装などほとんど一緒。オーバーフェンダーがいやと言われてしまったらジムニー一択なのだが、シエラの見た目を受け入れることができるのであればシエラをおすすめしたい。トータルバランスでみると、より違和感なく自然だと感じられるのはシエラなのではないかと思った。
若い人たちは「古いものは古いもの」と割り切って楽しめるところがあるが、それが「モダンなもの」だと感じたら、とことん利便性や効率などを考えはじめる。新型ジムニーは、どちらかと言えば「古さ」ではなくやはり「新しさ」を感じるモデルだ。だからこそ、バランスの整ったジムニー シエラの方が期待を裏切らず長く付き合えるモデルになる気がする。
「価格はどうなんだ」と言われたら、それはジムニーの方が価格は安いし軽自動車なので維持費も安い。それでも、私は「ずっと乗り続けたい」と思う気持ちを優先したい。せっかく「かわいいクルマ」を見つけて買ったとしても、車線の合流でいつもドキドキしたり、なんだか長距離移動が疲れるから遠出は嫌と、クルマに積極的に乗る機会が減っていくのは寂しいことだ。
「運転に自信がないから」と小さい軽自動車を買う女性が多いが、本当は女性にこそ、軽自動車ではないクルマに乗って、その安心感や楽しさを知ってもらいたいと思う。そんな思いから若い人や女性にはジムニー シエラをおすすめしたいと思った。
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伊藤 梓(いとう あずさ):ライター
クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーという異業種から自動車雑誌の編集者へと転身。2018年からクルマの魅力をより広く伝えるために独立。自動車関連のライターのほか、イラストレーターとしても活動している。
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