最新のボクスターは最良のボクスターか?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:ポルシェジャパン
前項で報告した絶妙な味つけのハンドリングには、改良されたフロントとリアのサスペンション、延長されたホイールベースと広げられたトレッド、PASMとセットオプションになるPTV=ポルシェ・トルク・ベクトリング、これもオプションの20インチタイヤ、よりパワフルで繊細なコントロールが可能になったブレーキなど、様々な要素が作用しているはずだが、いずれにせよ乗り心地とハンドリングの両方が大きくレベルアップしているのは間違いなく、それこそが新型ボクスターのハイライトだといっていい。
一方、エネルギー回生、サーマルマネージメント、オートスタート/ストップといったエコ系の機能を加えて燃費が先代より15%向上しているにもかかわらず、新しい直噴エンジンのもたらす動力性能は、まったくもって充分なレベルにある。最近のクルマとしてはクラッチペダルに若干足応えがあるものの、軽く正確なシフトが気持ちよく決まる6段MTのボクスターSがそうであるのはいうまでもないが、テストの後半に乗ったガンメタの7段PDKボクスターでも、僕自身はパフォーマンスに不満を感じることはなかった。
ちなみにSのMTは0-100km/h加速5.1秒、最高速279km/h、ボクスターのPDKは同じ項目を5.8秒と262km/hでクリアするとされる。3.4リッターのSから2.7リッターのボクスターに乗り換えると、下からの加速がちょっと物足りなく感じるのは事実だが、その代わり2.7リッターユニットは高回転域で鋭く回って硬派なドライバーを悦ばせる。さらに試乗車は、991と同様のスポーツエグゾーストシステムをオプション装着していたから、必要ならスイッチ操作ひとつで盛大な排気音を耳にすることもできた。
いずれにせよ、スタイリッシュかつスポーティな足として使いたいソフト派にとっても、ワインディングロードでのコントロールをエンジョイしたいハード派にとっても、981のコードネームを持つ新型ボクスターが先代より明らかに好ましいクルマになっているのは間違いない。そこで、仮に資金と置き場所に1台分の余裕があるとしたら、981ボクスター、1台あってもいいかなと思ったりして。その場合、僕はパワー至上主義者じゃないからベースは素のボクスターで、MTは356で愉しむからトランスミッションはPDKを選び、PASMとPTVをオプション装着する、てなところだろうか。さて色はどうする…。
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