SL63AMG×SL65AMG 清水和夫が選ぶのは?
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:メルセデス・ベンツ日本
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:メルセデス・ベンツ日本
メルセデスのロードスターは50年以上の歴史がある伝統的なモデルだ。初代の300SLは50年代初めにルマン24時間レースで活躍し、ライトウェイトスポーツの代表選手として一躍有名になった。当時としては画期的な機械式ガソリン直噴エンジンやガルウイングボディなど先進的な技術に満ちあふれていたことも名車と呼ばれる所以かもしれない。そのロードスターが現在の五代目SLのルーツであるが、初代のSLには、300SLのレーサーモデルがルマン24時間レースで観客席に飛び込み、数十名の命を奪うという、悲しい出来事が起きてしまう。以来、メルセデスは公式レースから撤退したのであった。
皮肉にもメルセデス・ベンツーがレース活動から撤退したおかげで、ダイムラーのエンジン技師だったハンス・ヴェルナー・アウフレヒトは会社を辞め自らチューニング会社AMGを設立したのだ。ルマンの惨事がなければAMGも生まれていなかったかもしれない。
さらにメルセデスの歴史を遡るなら、そのブランド誕生の秘話について語らなければならない。いまから100年ほど前に南フランスのニースを拠点に活動していたダイムラー・ベンツの販売会社の社長が、自分が参加するベンツのレーシングカーに愛娘の名前である「メルセデス」の名前をつけた。それ以来ダイムラーベンツではなくメルセデスというブランドで販売することになったのだが、メルセデスというブランドには「軽く速く美しい」というメッセージが込められていた。50年後の1952年に初代メルセデスSLが開発された時のコンセプトは、メルセデス・ブランドに忠実に「軽く速く美しい」というものであった。
冒頭に「AMGはサディスティックなメルセデスか?」という問いがあるが、そのお仕置きを受けるドライバーはマゾヒスティックとも言える。実際にそうかもしれないが、AMGという女王様は、とても優雅な人であることは間違いないだろう。それでは実際の走り味についてレポートすることにしよう。
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