新車の納車は遅く中古はやたらと高い… 今ミニバンが必要な人におすすめの3選
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:トヨタ自動車 20
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:トヨタ自動車 20
ご承知のとおり昨今、さまざまな社会情勢の影響を受けて新車の納期はほぼ軒並み大きく遅延しており、それに伴って中古車の相場も高騰している。
中古車価格の高騰はマニアックなスポーツモデルや人気SUVなどのカテゴリーで顕著なわけだが、今や「国民車」と呼べる存在となったミニバンにおいても、その中古車価格は劇的に上昇している場合が多い。
典型的なのはトヨタ「アルファード」だろうか。
来年5月と言われている新型の登場と、現行型新車の納期が大幅に遅れている関係で新車の受注が停止となったため、「今すぐ乗れるアルファード」である中古アルファードの相場が急騰。もっともベーシックなガソリンエンジンのX(新車価格359.7万円)ですら、走行1万kmほどの中古車が400万円を超えてしまう有様だ。新車価格572万円のハイブリッドSR“Cパッケージ”も、走行1万km台の中古車には平気で700万円以上の値札が付けられている。
中古ミニバンの相場が高騰しているのは、巷で大人気のアルファードだけではない。
大変失礼ながら「微妙な立ち位置」と言えるトヨタ「エスクァイア」という絶版ミニバンでも、走行2万km超の中古車に新車時以上のプライスが付いており、同じくトヨタのシエンタも上級グレード「Z」の登録済み未使用車が370万円前後で掲載されていたりする。
こうなってくると、家族構成や家庭の事情などで「どうしても今すぐミニバンに買い替える必要があるのだが……」という人は困ってしまうわけだが、なにもすべての中古ミニバンが値上がりしているわけではない。
いや、今や大半の高年式ミニバンはけっこうな勢いで値上がってしまっているのだが、なかには「なかなかの実力派あるいは個性派」でありながら、中古車相場があんまり上がっていないミニバンも、あるにはあるのだ。
>>トヨタ エスクァイア ハイブリッドの中古車相場はこちら
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例えばそれは、2010年から2016年途中まで販売されたホンダ「フリードスパイク」だろうか。
ご承知のとおりフリードスパイクとは、先代ホンダ「フリード」の派生モデルである2列シート/5人乗りのMPVで、現行型フリード+のご先祖様でもある一台。その2列目シート以降は、まさに「秘密基地」とでも呼ぶべきゴキゲンな作りだった。
先代フリードの、同じく5人乗り仕様であった「FLEX」の2列目シートのたたみ方は「普通に前に倒して隅に追いやる」という方式だったが、こちらフリードスパイクの2列目はワンアクションでダイブダウンする。そうして現れるフラットなカーゴルームの最大前後長は、FLEXのそれより60cm近く長い2015mm。フルサイズの自転車も余裕で積載でき、身長2mを超えるNBAの選手でもなければ、身体をまっすぐにして寝ることができる。
そしてカーゴルームの床板も、表裏を返すだけで高さを2段階に変えることが可能。さらに、いわゆるハメ殺しとなっているリアクオーター裏側の壁面には、ビルトイン方式の小テーブルや角度調節機構付きのカーゴスポットライト等々が付いている。
つまりホンダ フリードスパイクとは「小さなキャンピングカー」なのだ……と言ってしまうとやや大げさだが、「半ばキャンピングカー的」とは言える“走る秘密基地”なわけだ。
そんなフリードスパイクの中古車は、まぁ「年式的にやや古いから」というのもあるだろうが、走行5万km以内の2015年式が80万~140万円といったところ(ガソリンモデル)。「どうしても3列/7人乗りじゃないとダメなんです」というご家庭には向かないが、ミニバンといっても1~4名ほどで乗っている人であれば、この「素敵な秘密基地」を中古で狙ってみるのも悪くない話であろう。
とはいえ今言ったとおり「ウチは3列/7人乗りじゃないとダメなんです」というご家庭も多いはず。その場合には、先代のトヨタ「ノア」をおすすめしたい。
現行型ノアの中古車(登録済み未使用車)はガソリン車の一番安いやつでも270万円からとなっており、ハイブリッドは370万円スタート、500万円以上の値札が付いている物件もまぁまぁある。
であれば――まぁ先代ノアでも高いやつは高いのだが、走行2万km前後の衝突軽減ブレーキ付きモデルを200万円前後という納得のプライスで入手することも可能なのだ。ここで姉妹車ヴォクシーを含めずノアとしたのは。先代ヴォクシーの同条件物件だと20万円ほど高いためである。
先代ノアは、2021年12月にデビューしたばかりの現行型ノアと比べれば「5ナンバー級ミニバンとしての総合力」はさすがに劣る。
だが普通にご家族が使う分には実用性能は十分だ。2.0L直4エンジンのパワーに物足りなさを感じることはほぼなく、室内の広さは現行型のほうが前後長が広くなってはいるがほぼ一緒。いざというときに安心な衝突軽減ブレーキ付きを選べばフツーにナイスなミニバンである。
現行型ノアやヴォクシー、あるいは次期型アルファードの納車を首を長くして待つのも悪くはないと思う。だが走行2万kmぐらいの即納可能な先代ノアを200万円ちょいぐらいでサクッと買い、さっさと家族で楽しくお出かけしてしまうのも、同様に悪くないと思う次第だ。
3列目のシートをどうしても必要とする人は先代のノア、「2列でもぜんぜんOK」という人には、同じくホンダのフリードスパイクにご注目いただきたいわけだが、世の中には「荷物とかを載せやすいなら、フリードスパイク以上に小さいやつでもぜんぜんオッケー」という方もいらっしゃろう。
そんなあなたには――これをミニバンと呼ぶべきかどうかはさておき(たぶん呼ばないだろう)――トヨタの「ポルテ」および「スペイド」というコンパクトワゴンをおすすめしたい。
初代ポルテは2004年7月に発売された、助手席側に電動スライドドアを採用した3ドアのコンパクトワゴン。その開口部の広さと地上高300mmという低床っぷり、そして1390mmもの室内高により、コンパクトな寸法からはまるで想像できないほどの使い勝手を炸裂させた一台だった。
そして2012年7月にはフルモデルチェンジを受けて2代目に進化。このとき、デザイン違いの姉妹車である「スペイド」が追加された。本稿で推したいのはこの2代目ポルテと初代スペイドの中古車である。
>>トヨタ ポルテの中古車相場はこちら
>>トヨタ スペイドの中古車相場はこちら
助手席側には大ぶりなスライドドア1枚が与えられ、運転席側には普通のヒンジ式ドアを配備するという基本線は初代同様だが、2代目は運転席側の後部にもスイングドアを追加。ボディサイズは初代とおおむね同様の全長3995mm×全幅1695mm×全高1690mmで、「子供が立って乗り込める」という室内高は健在。そして「レクサスLSに匹敵する」と言われた前後シート間距離も健在だ。
さらに助手席は前後700mmのスライドが可能で、縦1250mm×横1020mmの大開口スライドドアと相まって、後席へのアクセスは世界トップレベルと言えるほど(?)容易。26インチの自転車も横向きに積むことができ、助手席を前に倒せば、その背もたれはテーブルとして使うこともできる。
繰り返しになるが、「3列シート車を家族5人ぐらいで使いたい」という人には、ポルテ/スペイドはまったくもって向かない車だ。しかし「ウチの車にはいつも1~3人ぐらいしか乗っていない」という人であるならば、わざわざバカでかいミニバンを買う意味はない。いや別に買ったっていいのだが、「でもウチはポルテかスペイドで十分なのかも?」という視点も、いちおう持っていたほうがいいだろう。
そんな2代目トヨタ ポルテを「走行2万km以内」と低走行車に絞った場合、中古車価格は60万~100万円といったところで、同条件のスペイドもほぼ同じくらい。両モデルには、ちょっとアウトドアっぽい意匠にした「グランパー」という特別仕様車も用意されていた。
そのグランパーを探してみることを含め、少人数でミニバンを使用することを検討している人には、ポルテならびにスペイドという「小さいけどビッグに使える異色コンパクトワゴン」も、オルタナティブな検討対象にしてみることをおすすめしたいのだ。
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