電動化に突き進むフォルクスワーゲン成功のカギはスマホ化にあり? 開発の最前線を取材した
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
大量に必要となるバッテリーに関してはドイツ・ザルツギッターにあるフォルクスワーゲン内のCoE(Center of Excellence=最先端技術研究所)が主導権を握る。セルの研究・開発、パイロットモデルの作製やテストを行って市販車用の仕様を決定し、サプライヤーに伝えて生産・納品をしてもらう仕組み。現在のところLG化学、SKI、サムスン、CATLなどをパートナーとしているが、内製も計画しており、すでに試験的な生産を開始している。膨大な生産計画に対してサプライヤーと手を組むことは不可欠だが、CoEが高度なノウハウを蓄積していき徐々に内製率を高めていこうという意思も見受けられる。
ID.ファミリーではバッテリーケース、モジュールの規格は決まっているが、モジュール内のセルに関しては角型でもラミネート型でも使用可能で性能はまったく同じになるよう設計。サプライヤーが分散しても問題はない。
バッテリーケースの構成は最下層にバッファー保護部が設けられ、その上にアルミニウム製バッテリーハウジングとクラッシュフレームを配置、一体型のバッテリー冷却装置(水冷式)と高/低電圧の電装システム用接続ボックスを内蔵。セルの電圧、電流、温度、均一性を監視するセルコントローラーはバッテリーハウジングの縦ビームに組み込み、システム後部にバッテリー全体のコントロールユニットが統合される。
バッテリーは正極材にニッケル(N)、マンガン(M)、コバルト(C)を使用する三元系で、昨年のMEBワークショップで提示されたロードマップを参考にすれば、2016年はNMC=1:1:1で410Wh/L(体積あたりエネルギー密度)、170Wh/kg(重量あたりエネルギー密度)。これが現行e-ゴルフに相当するものと思われる。
旧世代のe-ゴルフもNMC111で230Wh/L、140Wh/kgだったが、セルデザインの進化で密度を上げられた。ちなみに先頃発売された日産リーフe+は62kWh(3×96=288セル)で航続距離458km(WLTP)。NMC111でバッテリー重量は440kgとなっている。2018年にはNMC622で650Wh/L、280Wh/kg、2020年にはNMC811で700Wh/L、300Wh/kgと段階を踏み、2025年には800Wh/L、350Wh/kgまで持って行く計画となっている。
エネルギー密度を高めるほか、希少性の高いコバルトの使用比率を減らすことも目標であり、現在はカソードの重量比率で12~14%のところ、3~5年で5%に抑制し、コバルトフリーの研究も進めている。リチウムの資源確保に関しては中国のガンフォンリチウムと10年契約の覚書に署名したことで大部分をカバーできたとのこと。2030年頃に実用化されるだろうと見立てられている全固体電池に関してはアメリカのクアンタムスケープと提携して研究・開発している。
ログインしてコメントを書く
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
4世代目となる、ベントレーの新型「コンチネンタルGT」がいよいよ6月に登場!
スバルの「新車サブスク」始まる! フォレスターやBRZなど計8車種!? 「SUBARU×KINTO」とは
若者はどうして時間に追われているのか? 新米のら猫コンサルが見た自動車ディーラー「若者のリアル」(1)
600馬力超の水素エンジン車がル・マンで走行へ『リジェJS2 RH2』が加わりデモラン出走は3台に
春だけど熱中症に注意!? その理由とは
車の「サンルーフ」いる?いらない? 最近減ったものの「絶対必要派」と「余計なものは不要派」で見解に差 それぞれの“こだわり”とは
マイアミで敗れたレッドブルF1「マクラーレンより遅かったのは事実」とマルコ。次戦イモラでアップデートを実施へ
[15秒でわかる]ETC2.0プローブデータによる滞留可視化サービスとは
え、なんで?「ある国産セダン」がカナダに大量輸出された見えない理由
30年の歴史ある「パルサー全国ミーティング」に90台集合! 北は青森、南はオーストラリアから集まった会場で特に目立った2台を紹介します
クルマのフロントウインドウに「吸盤式お守り」の貼り付け……は違反かも! 取り付けられるモノは厳しく規定されていた
2度の“もらい事故”でBMW両車リタイア。母国レースでの悲劇に「飲み込み難い」とWRTのボッセ代表
アウトドアでも人気の日産「キャラバン」が改良 アースカラーな2つの新色も追加!
日産「エクストレイル」仕様向上! 日産90周年記念車も同時に登場、アクセントは「カッパー」
アメリカでハイブリッド勢が大躍進。EV神話のメッキがはがれて…この後どうなる?
新型「ゴルフGTI」欧州発売。大幅改良で魅力アップも…円安で驚愕の700万円超えもあり得る?
超人気モデルの納期「ウン年待ち」は今どうなってる? ランクル、アルヴェル、ジムニー最新事情
【大幅性能アップ】ポルシェ「911」ハイブリッド正式予告。チラ見せ画像とタイムからわかること
今夏、北米で発売予定の新型日産「キックス」新着フォト集! 国内仕様に期待膨らむ!
【稀少モデル】BMWが「M4 CS」発表! 超高速クーペは2000万円強、日本には何台入る?
若者も注目するアメ車の“異世界”。「ジープ ラングラー」大幅値下げ戦略と日本で人気上昇の背景