美しく、より速く…新型ジャガーXKシリーズ

軽やかな身のこなし

最初にスターターボタンを押したのはNAエンジンの「PORTFOLIO」である。6速ATをDレンジに入れアクセルを踏み込む。すると思いのほかボディが軽く感じられた。この辺の感覚はジャガースポーツの真骨頂。軽快な身のこなしが、“ネコ科”と呼ばれる要因でもある。

298psから385psにパワーアップされたユニットは申し分なく、力強くクルマを前に押しだす。フラットトルクというより、リニアに加速する感覚がスポーツカーらしい。また、エンジンサウンドもこのクルマのウリ。イタリアンエキゾチックカーとは異なる低音から爆裂する音が英国車風で、ファンの心を掴む。

これに対し、もはやオーバースペックとも言いたくなるのが510psを発揮する「XKR」。スーパーチャージャーが下からトルクをもりもり出すため、出だしからカラダを持っていかれる。0-100km/h加速＝4.8秒は伊達じゃない、というのが素直な印象だ。

“ネコ科”の神髄である身のこなしは、アダプティブダイナミクスが生みだしているものだ。これは従来の電子制御式ダンパーCATSをさらに進化させたもの。アダプティブダイナミクスでは、毎秒100回の頻度で車体動作を解析するので、それに合わせたダンピングの設定が行われる。ロールを抑え、バウンシングを一発で収める強力な武器だ。これにより、かなりタイトなコーナリングもフラットライドで決められる。安定した姿勢がアクセル操作を自由にさせてくれるのは言うまでもない。